おぞましい見当違い
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
あちこちが破壊され植物や獣そしてモンスター達が徘徊し互いに争い暴れ回っていた。その状況を見てだった。
アダルジーザは守衛に代わって案内をしてくれたこの研究所の研究員の一人であるヘンリー=ビーコに尋ねた。若いゴブリンの錬金術師だ。
「責任者は何処や」
「所長ですね」
「今回の事態の説明を聞きたい」
責任者自らというのだ。
「まずはな」
「その所長がです」
「所長が?」
「引き起こしたことで」
「というと」
「はい、実は所長は近頃精神的に極めて不安定な状況にあって」
研究員はアダルジーザに話した。
「家庭で奥さんが浮気をされて」
「不倫か」
「それも多くの方と」
「そんな奥さんやったんか」
「後妻とのことですが」
「それでおかしくなったんか」
「はい、そしてご自身の研究でも行き詰っておられたらしく」
仕事の方でもというのだ。
「近頃よく塞ぎ込んでおられました」
「そしておかしくなって」
「先程です」
研究員はさらに話した。
「研究所で研究や実験の為に飼育しているモンスターや獣達の獣性を完全に開放する薬をガスで撒布したのです」
「それでか」
「この事態に陥りました」
そうなったというのだ。
「そうなりました」
「そやったか」
「はい、そして」
研究員はアグアルーザにさらに話した。
「所長はさらにです」
「やってるんやな」
「異世界から悪魔や天使も召喚しています」
「それでその連中もやな」
「獣性を開放されています」
撒布されたガスによってというのだ。
「そうなっています」
「それはな」
「はい、ここまでお話すればおわかりですね」
「わい等やないとどうにもならんな」
「星の方々でなければ」
強大な力を持つ彼等でなければというのだ。
「それで副宰相もです」
「丁度わい等ここに来たしな」
「我々としても都合がいいです」
「ほなな」
「ことの解決にですね」
「あたるわ」
アグアルーザは研究員に答えてだった、そのうえですぐにだった。
研究所の中のモンスター達を倒しだした、獣性を開放されている彼等は普段より凶暴でしかもだった。
「スピードもパワーも」
「普段より上やな」
二人共エイプの攻撃をかわしつつ言った、エイプの拳が壁を壊したのを見てだ。
「獣性が開放されて凶暴になってる」
「精神的なストッパーがなくなってるからな」
「自分が傷付いてもええ」
「そう思ってるからやな」
「思いきり動けてる」
「そういうことやな」
「そやな、しかしな」
アグアルーザは強い声でカブラルに話した。
「ここはな」
「研究所にいる獣やモンスター達をな」
「動けなくしてや」
戦って戦闘不能にする、完全に倒さないのは研究所で飼育しているもので研究所の貴重な財産であり失う訳にはいかないからだ。
ページ上へ戻る