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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第十二幕その九

「お豆腐は知ってるけれど」
「こうした食べ方は知らなかったんだね」
「ええ、中国のお料理とも違うわね」
「日本ではこうしてね」
「お豆腐だけで茹でて食べることもあると聞いてたけれど」
「それがこのお料理でね」
 先生は妹さんに微笑んでお話しました。
「湯豆腐というんだ」
「そうなのね」
「それでね」
 先生はさらにお話します。
「これが凄く美味しいから」
「だからなのね」
「皆で食べようね」
「ご馳走になります」
 サラのお隣にいる端正な紳士の人、彼女のご主人がここで先生に言いました。背は高くて姿勢もよくびしっとしたスーツを着ています。
「この度は」
「はい、どうぞ」
「遠慮しなくていいから」
 サラはご主人に微笑んで言いました。
「兄さんはそういうことは好きじゃないから」
「そうなんだね」
「ええ、だからね」
 それでというのです。
「私達もね」
「遠慮しないで」
「そしてね」
「この湯豆腐もだね」
「食べましょう」
「お豆腐は一杯ありますから」
 トミーもサラ達に笑顔で言います。
「遠慮しないで下さい」
「お金かかったでしょう」
「いえ、日本じゃお豆腐は凄く安いんですよ」
「そうなの」
「ですから沢山買っても」
 そうして湯豆腐として食べてもというのです。
「あまり大したお金にならないですから」
「だからなのね」
「どんどん食べて下さい」
 トミーはまたサラに言いました。
「そうして下さい」
「それじゃあね」
「そう、皆で湯豆腐を食べて」
 王子もいて言います。
「お酒も飲んで楽しもうね」
「お酒は冷えの日本酒だよ」
 先生がお酒のお話をしました。
「そちらにしたよ」
「日本酒ね」
「うん、熱しようとも思ったけれど」
「冷え、普通のお酒にしたのね」
「そうなんだ」
 こうサラに言うのでした。
「そちらにね」
「そうなのね」
「それじゃあね」
「ええ、お酒もね」
「楽しんでね、こちらも一杯あるからね」
「日本では日本酒も安いのね」
「うん、そうだよ」
 その通りだというのです。
「だからね」
「こちらもなのね」
「楽しんでね、じゃあ食べよう」
 こうして動物の皆も入れて湯豆腐とお酒を楽しみはじめました、そうしてサラはご主人と一緒に湯豆腐と日本酒を口にしてです。
 すぐにです、先生に笑顔で言いました。
「ええ、確かにね」
「美味しいね」
「とてもね、あっさりしていてね」
「イギリスにはない味だね」
「日本ならではの」
 まさにというのです。 
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