ある晴れた日に
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643部分:悪魔その四
悪魔その四
「調べるってのはどうかしら」
「それいいじゃね?」
「そうだよな」
「ああ」
春華に坪本、佐々はそれに乗った。
「ひょっとしたらそれに引っ掛かってな」
「住所がわかって」
「一気に調べてな」
「いや、それはどうかな」
しかしだった。加山がその案には難しい顔を見せてきた。
「そうやって個人情報を調べるのは今は五月蝿いよ」
「駄目なのよ」
「うん、それにね」
加山は咲に応えてさらに話した。
「彼の家の中を調べるって不法侵入じゃないの?」
「そういえばそれって」
「確かに」
皆彼の言葉でそのことにも気付いた。
「それは完全に犯罪だから」
「だったらそれはできないのかよ」
「名案なのにな」
「無理か」
「うん、絶対に止めた方がいいよ」
こう春華と坪本、佐々に述べる加山だった。
「それはね」
「じゃあやっぱりあれか?」
「今のところは様子見かよ」
野茂と坂上は不機嫌な顔でその加山に問うた。
「そうなるよな」
「そうだよな」
「うん」
そしてそれを認める彼だった。
「残念だけれどね」
「ちっ、何なんだよ」
「それはよ」
「どうしようもないじゃない」
ここでまたうんざりとした顔になる一同だった。
「今のところは」
「それじゃあ」
「そうみたいね」
千佳も項垂れていた。
「本当に今はね」
「そうだな。それじゃあ」
「今は」
これで話が終わろうとしていた。しかしであった。
野本はふと教室の窓を見た。そして何を思ったのかふとベランダの方に歩いて行った。すると。
「な、そんな訳あるかよ!」
「あれっ、野本」
「どうしたの?」
「一体」
「おい、見ろよ!」
こう皆に言うのだった。
「あいつが!」
「あいつ!?」
「誰なのよ、それ」
「だからあいつだよ!」
その皆に顔を向けてさらに叫ぶ。
「あいつが来てるんだよ!学校に!」
「まさか」
最初に察したのはここでも恵美だった。
「あれが来たっていうの?」
「ああ、そうだよ!」
怒った声で叫んだのだった。
「吉見だ、あいつが!」
「えっ、嘘!」
「あいつが!?」
「学校にかよ!」
「来い、こんなことってあるかよ」
声が震えていた。あの野本がである。
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