ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第十二幕その四
「今回も苦労とは思っていなかったよ」
「そうだったんだ」
「そしてもう次の論文にかかっているよ」
「今度は医学だね」
「心臓のことでね、こっちになったから」
「そちらの研究と執筆をだね」
「はじめているよ」
泉鏡花の論文を書き終えてすぐにというのです。
「そしてその後は太宰治について書くよ」
「先生は本当にいつも論文を書いているね」
「学者は論文を書くことが仕事だからね」
それでというのです。
「これからもね」
「論文を書いていくんだね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「発表していくよ」
「それでこそ先生であり本当の学者さんだね」
「その言葉が嬉しいよ」
先生は王子の今の言葉ににこりと笑って答えました。
「僕もね」
「そうなんだ」
「うん、だからね」
それでと言うのでした。
「その言葉を励みにしてね」
「そうしてだね」
「また書いていくよ」
論文をとです、先生は言うのでした。そして王子はその先生に対して笑顔でこうも言ったのでした。
「あとお姫様に言われたことだけれど」
「何かな」
「うん、先生に良縁があることだけれど」
「そのことだね」
「僕もそう思うから」
こう先生に言うのでした。
「きっとね」
「僕も何時かなんだ」
「そう、いい人と結婚してね」
そうしてというのです。
「今以上に幸せになれるよ」
「そうなれば嬉しいね」
「先生みたいないい人いないから」
だからだというのです。
「絶対にその先生に相応しいいい人がね」
「僕の前に現れてくれてだね」
「一緒になってくれるよ、というかね」
王子はわかっているというお顔で述べました。
「もういると思うよ」
「僕の前にかな」
「既にね」
「それは違うんじゃないかな」
「いやいや、先生が気付いていないだけでね」
「もういてくれているんだ」
「後は先生が気付けば」
それでとです、王子はにこりと笑ってお話しました。
「それで幸せになれるよ」
「今以上にだね」
「今以上に幸せな生活がはじまるよ」
結婚してというのです。
「そうなるから」
「ううん、だとしたら誰かな」
先生はここまで聞いて腕を組んで考えるお顔になりました。
「その人は」
「まあじっくり見ればというかちょっと見ればね」
「わかるかな」
「皆わかってるんじゃないかな」
先生の周りの人達はです、このことは王子の言う通りです。
「もうね」
「そうかな」
「絶対にね、そしてね」
「幸せになるんだね」
「本当に今以上にね」
「そうなることを願うよ、しかし先生本当に恋愛の自信はね」
「ないよ」
先生は王子にはっきりと答えました。
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