DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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お友達
<ロマリア~アッサラーム>
アッサラームへと続く大草原に響く歌声…『カントリーロード』を気持ちよさそうに歌うリュカ。
モンスターの一団に襲われ、戦闘を余儀なくされるアルル達…
「ふぅ…俺達結構強くなってきたよな!」
戦闘を終え、ハツキのホイミで傷を癒しながらウルフが感想を述べる。
「そうね…戦闘回数だけは多いもんね…そりゃ強くもなるわよ!」
アルルは、まだ歌い続けているリュカに嫌味を言ったが、気にする様子は微塵もない。
「あ、ある意味リュカさんのお陰で強くなってるんですね!…私達の為に歌ってるのかな?」
自分の歌に浸っているリュカを4人が見つめる…
「…そんなわけないだろ!?」
ウルフの意見が満場一致で可決された。
<アッサラーム>
まだ夕方と呼ぶには早い時間、アルル達はアッサラームへと辿り着いた。
一行は何時もの様に宿を確保し、町へと繰り出し旅に必要な物を購入する。
幾つかの店を見回ったアルル達は、1軒の店で足を止める…
「おお、私の友達!お待ちしておりました!売っている物を見ていって下さい!」
店内へ入った途端、度を超えた愛想の良さで話しかけてくる店主…
「と、友達って…私達の事?」
「そうです、そうです!皆さん、私の友達!」
「イェ~イ!僕達友達!友達価格で売ってちょ~だい!」
「はい、私と貴方、友達!買っていってちょ~だい!!」
店主と一緒にはしゃぐリュカ。
そんな中、売っている物を見るアルル達。
「結構良い物を売ってるわね…」
「この杖…『魔道士の杖』か!?」
ウルフは1本の杖を手に驚いている。
「おお!さすが友達、お目が高い!24000ゴールドです。お買いになりますよね!」
「に、24000ゴールド!!?買えるわけ無いだろ!」
「おお、お客さん。とても買い物上手。私、参ってしまいます。では、12000ゴールドに致しましょう。これならいいでしょう?」
「おいおい、いきなり半額かよ!」
リュカが小声で突っ込む。
「それだって高いよ!」
「おお、これ以上まけると、私大損します!でも貴方友達!では、6000ゴールドに致しましょう。これならいいですか?」
「おぉ、友達!僕達にはこの杖が必要。友達を救うと思って、もっと安くしてぇ!」
リュカが調子に乗って値切り出す。
「おお、貴方酷い人!私に首吊れと言いますか?分かりました。では、3000ゴールドに致しましょう。これならいいでしょう。」
当初の8分の1に値さがった魔道士の杖…
「おぉ、僕達モンスターと戦うのに、この杖が必要!それなのにこんな高値で売るなんて!アナタこそ僕達に死ねと言いますか!?」
リュカが楽しそうに値切り続ける。
「そ、そんなつもりは…わ、分かりました…1500ゴールドで…どうでしょう?…こ、これ以上は安く出来ませんよ!」
店主の口調が変わり、表情も引きつっている。
「おいおい!僕達友達だろ!アナタが最初に言い出した…友達だったら、もっと安く出来るよな!?」
リュカは満面の笑みで店主の肩を抱く…ただ、声のトーンが笑って無い!
「し、しかし…私にも生活が…」
「僕達には旅が待っている!旅先では危険が付き物だ!折角出会えた友達だが、今日で最後かもしれない。そんな友達を見捨てるなよ!…安くできないのなら、その『マジカルスカート』を、オマケにつけてよ。いいよね!」
「………そ、それは………」
「と・も・だ・ち…だろ!!」
半ば脅しである。
「分かりました…魔道士の杖とマジカルスカート…1500ゴールドです…」
店主が力無く承諾する…しかしリュカの攻撃は止まらない!
「おぉ、友達!ありがとう、さすが友達!じゃぁ、はい。1500ゴールド!杖とスカート3着貰って行くよ!」
「さ、3着!!?な、何で3着も!?」
「だって女の子3人居るんだよ。3着必要でしょ!じゃぁ友達!またね~」
「に、2度と来るなー!!!」
店主の悲痛な叫びが店内に木霊する。
「ほらウルフ。大事に使えよ!」
店から少し離れた所で、先程の戦利品をみんなに配るリュカ。
「しょ、商人顔負けの値切りっぷりやな!店のおっちゃんに同情してもうたわ!」
「魔道士の杖とマジカルスカート3着を、鉄の槍より安く買うなんて…リュカさん買い物上手!」
「最初に吹っ掛けてきたのはあっちだ!」
「それにしても、やっぱ凄いなリュカさんは!勉強になるよ」
羨望の眼差しでリュカを見るウルフ。
「さぁ、取り敢えず買い物は済んだでしょ?一旦宿屋へ戻ろうよ。お腹空いちゃった」
アルル達はリュカの希望で宿屋へ戻る。
少女3人は、リュカがくれたスカートを穿き、宿屋1階のレストランへ現れた。
「ど、どうですか…似合います?」
少し恥ずかしそうにハツキが訪ねる。
「このスカート、防御力があるのね…この先、重宝するわ!」
照れ隠しをしながらアルルが喜ぶ。
「戦闘で激しく動いたら、パンチラし放題やな…リュカはん、それが目当てなん?」
リュカの前で一回転してエコナが可愛く微笑む。
「うん。僕の思った通り、みんな可愛い!値切って良かった!!」
「俺の所にはスカート見せに来ないのは何故?」
ウルフの寂しそうな問い掛けにハツキが答える。
「だってアンタ、購入に何も寄与してないでしょ!リュカさんが買ってくれたんだから!」
「出だしは俺の魔道士の杖からだろ!」
「まぁまぁ…そんなに拗ねるなよウルフ。後で一緒に『ベリーダンス』見に行こうよ!」
「………リュカさん、ベリーダンスって何ですか?」
「うん!アッサラームの劇場でね、毎晩裸同然のねーちゃんが踊るんだって!さっき町の人に聞いたんだ!だからさっさと夕飯済ませて、町に繰り出さないと!」
「何や!ダンスならウチがリュカはんの上で、幾らでも踊るねんで!」
「うん。それはまた今度楽しませてもらうよ」
本当にさっさと夕飯を済ませたリュカは、ウルフを伴い町へと繰り出す。
アルルとエコナは夜間営業の武器屋に行く為、男二人のお目付役はハツキになった。
「あー…楽しみだな~!どんなダンスなんだろう?ブルンブルン揺れちゃうかな!?」
「もう!リュカさんエッチすぎです!ウルフもそう言うのが好きなの?エロガキね!」
ウルフは何も言えず黙り込む…
幼い頃から面倒を見てくれたハツキには、やはり逆らえないのだ。
「あ~ら、素敵なお兄さん!ねぇ、パフパフしましょ。いいでしょ?」
リュカ達は不意に女性に声をかけられた。
「…パフパフ~?」
怪訝そうなリュカ。
「…パフパフって何ですか?」
本気で知らない純情ウルフ。
「きっと如何わしい事よ。相手しちゃダメ!」
決めつけるハツキ。
リュカは女性の胸を注視して呟く。
「それで出来んの?足りなくね?」
「な!!失礼ね!」
「あの、パフパフって何ですか?」
「あら、坊やは興味あるの?お姉さんが優しく教えてあげるから、私の部屋に来ない?」
女性はウルフを妖しく誘う…
「よしウルフ!何事も経験だ!行ってこいよ!僕はベリーダンスを堪能してくるから!」
そう言うとリュカはその場を立ち去ってしまった…もちろんハツキも一緒に…
そして残されたウルフは、女性に手を引かれ彼女の部屋まで付いて行く事に…
大人の階段を登りきる事が出来るだろうか!?
ウルフに幸せは訪れるのだろうか!?
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