レーヴァティン
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第百十五話 半島の後からその十四
「絶対に勝とうって思ったらな」
「それで来るでござるな」
「しかもな、今この辺りはな」
「はい、平地でござる」
「騎馬で戦うには絶好だよな」
「左様でござるな」
「絶対来るな、昼に来るか夜に来るか」
時間のことはというと。
「わからないけれどな」
「それでもでござるな」
「来るな、じゃあな」
「それならでござるな」
「備えはしておくか」
「絶対に来ると見たうえで」
「そうしていこうな」
「それでは」
進太も頷いた、そしてだった。
久志達は今は軍勢の警戒を強くさせた、そうしつつ水源を占領しそこでの水を飲む。だがその水も飲みつつ。
久志は進太にだ、こうも言った。
「これまでこっちの世界でもな」
「お水はでござるな」
「こんなに大事にはな」
「思わなかったでござるな」
「ああ、けれどここじゃな」
「大事でござるな」
「まさに命っていう位にな」
そこまでというのだ。
「大事だな」
「左様でござるな」
「若しもだよ」
久志は水を飲みつつこうも言った。
「お水がないとな」
「まず生きられないでござる」
「人がな、そして農業もな」
こちらもというのだ。
「出来ないしな」
「だからお水があってこそでござる」
「人が生きられて文明も成り立つな」
「そうでござるよ、そして今拙者達は」
「その水を手にしているからな」
「相手はでござる」
「それを奪い返そうとしてるな」
「若しくはでござる」
さらにと言うのだった。
「あえて手に入れさせる」
「餌か、水源は」
「拙者達をここに引き寄せる」
「その可能性もあるか」
「今思ったでござるが」
「じゃあ余計にだな」
「敵は来るでござるよ」
進太も水を飲んでいる、そうしつつ久志に話した。
「拙者達は餌を口にしたのでござるから」
「撒き餌に引っ掛かったか」
「敵から見ればでござる」
「じゃあ撒き餌を食ってからな」
それならとだ、久志は進太に不敵な笑みで答えた。
「倒してやるか」
「そうするでござるな」
「それならそれでな」
不敵な笑みで言うのだった、そうして今は水を飲みつつ敵を待つのだった。もう既に戦いはじまっていた。
第百十五話 完
2019・5・24
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