レーヴァティン
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第百十五話 半島の後からその十一
「陸軍にもだよ」
「そうですか」
「我々はどうしても水軍重視で」
「術を使える者は水軍に回しますが」
「棟梁が陸軍にも回されますか」
「ああ、カルタゴはやっぱり水運国家なんだな」
士官達の口調からだ、久志はこのことを再認識した。そしてそのうえで彼等に対してこう言ったのだった。
「だから人材はか」
「どうしても水軍です」
「我等士官はともかくです」
「カルタゴの者は水軍に入ります」
「軍隊に入るとなると」
「それで陸軍は士官はカルタゴ市民でか」
それでとだ、久志はさらに言った。
「兵隊が傭兵か」
「おおむねそうなっています」
「歩兵を主に雇っています」
「南岸で他に行き場のない者達を雇い」
「そうして兵隊にしています」
「傭兵団も雇っていますが」
「やっぱり水軍重視だな」
それもかなりとだ、久志は思うのだった。
「カルタゴの特質が出てるな」
「はい、どうしてもです」
「街の守りは三重の城壁がありますし」
「他の街や村も城壁や柵で厳重に護っています」
「なら後は歩兵がいればです」
「いいという考えで」
「それじゃあ護れてもな」
敵、ここで言うのはヌミディアの騎兵達である。
「攻めて勝てないな、けれどな」
「棟梁は、ですか」
「陸軍に術を使える者も入れて」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「戦うからな、そしてな」
そのうえでと言うのだった。
「勝つからな」
「はい、それでは」
「術も使い」
「そして騎馬隊も使い」
「そうして勝ちますか」
「そうするな、今から」
こう言ってだった、久志は七万の軍勢を率いてヌミディアの勢力圏に迫った。すると次第にヌミディア騎兵達がだった。
久志達が率いる七万の軍勢に斥候を出して偵察に来ているのが見えた、双葉は軍勢の遠くに見える彼等を見て久志に言った。
「最近いつも観に来てるね」
「ああ、そろそろヌミディアに入るからな」
「だからね」
「こっちをしきりに観に来てるな」
「今は斥候だけれど」
「近いうちに軍勢が来るな」
このことは間違いないとだ、久志は双葉に話した。
「絶対に」
「そうして戦いになるね」
「守りは昼も夜も固めてな」
「奇襲を防いでいこうね」
「それとな」
さらにだった、久志は双葉に話した。
「連中が弓矢使ってきたらな」
「馬に乗って」
「そうしてきたらな」
その時はと言うのだった。
「術を向けるか、鉄砲はな」
「相手は鉄砲よりも遠い間合いから撃って来るっていうね」
「弓矢をな」
「相当質のいい弓矢使ってるな」
「そうみたいね」
「じゃあ鉄砲やなくてな」
「術とっていうのね」
「弓矢、あと擲弾兵を前に出して」
この度新たに編成した兵種である、歩兵の中に入っている。
「あの連中には」
「手榴弾投げさせるのね」
「ヌミディアの連中火薬使わないよな」
このことを言うのだった。
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