ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第十一幕その六
「これからもな」
「ではこちらでも」
「花火を打ち上げるか」
「冬も。流石にお昼は無理ですが」
「ははは、幾ら何でも昼の花火はのう」
「ないですね」
「全く意味がないわ」
それこそというのです。
「冬の花火はあってもな」
「昼の花火はですね」
「そもそも見えぬわ」
夜空に打ち上げる時と違ってというのです。
「だからそれはないわ」
「そうですね」
「花火は夜じゃ」
その時だというのです。
「まさにな」
「それは絶対ですね」
「思えば冬でも夜は夜じゃ」
「だから冬の夜もですね」
「よい」
お姫様は今このことを確かだと考えました。
「それがわかった」
「そうですね、ですから私も」
「猪苗代でもずあな」
「してみます」
「妾を読んでくれてか」
「そうさせて頂きます」
「ではな、しかしな」
ここでこうも言ったお姫様でした。
「花火もよくなったのう」
「昔と比べて」
「このナイアガラなぞな」
今は黄色いナイアガラがバチバチと音を立てて咲いています、柳も思わせる形のそれを観つつ亀姫に言うのです。
「なかったからのう」
「かつては」
「種類が増えて全体の質もじゃ」
「まことによくなって」
「見応えがさらによくなった」
まさにというのです。
「だからよいのう」
「本当にそうですね」
「こうして楽しめるわ」
「太宰治の言うこととは違い」
「太宰はあくまで当時の人間じゃ」
昭和の前期の人だというのです。
「明治の末に生まれてな」
「それではですね」
「当時冬に花火なぞなかった」
「ではですね」
「そうなることもじゃ」
冬の花火が意味がないと言う様なことを言うこともというのです。
「当然であろうな、妾達もそう思っておったし」
「それならですね」
「太宰が不明な訳ではない」
「あくまで当時の考えですね」
「そうじゃ、そして今の妾達はな」
「この様にしてですね」
「観ていこうぞ」
こう言って実際にでした。
お姫様達は花火を最初から最後まで堪能しました、その間もご馳走もお酒も楽しんでいますがここで、です。
ふとです、動物の皆はあることに気付きました。その気付いたことは一体どういったものかといいますと。
「あったかいよね」
「僕達のいる場所はね」
「冬の夜にお外にいるのに」
「それでもね」
「寒くないよね」
「暖かいね」
「快適だよね」
「だって僕達がいるからね」
こう言ってきたのは鬼火でした、観れば場に何十といます。
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