| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百十五話 半島の後からその六

「我々は宗教を勢力統合のものにしないでござる」
「キリスト教みたいにな」
「というか拙者達にクリスチャンはいないでござる」
「ああ、一人もな」
「このこともあるでござるか」
「というか日本のクリスチャンでもいないだろ」
 それこそとだ、久志は言った。
「宗教が違うからって言ってな」
「迫害したりすることは」
「勢力に入れるのに改宗迫ったりとかな」
「ないでござるな」
「そうだろ、宗教はな」
 それはというのだ。
「邪教とかでないとな」
「いいでござるな」
「ああ、邪教は駄目だけれどな」
 誰が見てもおかしい様な教義でなければというのだ。
「それでもな」
「基本は、でござるな」
「宗教はな」
 それはというのだ。
「自由でいいな」
「そうでござるな」
「ああ、それとな」
 さらに言うのだった。
「文化もな」
「そちらもでござるな」
「口出ししないからな」
「カルタゴのものもでござるな」
「そういうのは個々でいいさ」
「そうでござるな」
「食いものだってな」
 文化の中の食文化もというのだ。
「それもな」
「何を食べてもでござるな」
「いいしな」
「では」
「ああ、そういうことでな」
「宗教や文化にはこだわらず」
「こっちに入ってくれたらな」
 それでと言うのだった、久志は今も。
「いいってことでな」
「それでは」
「ああ、行ってくれるか」
 美奈代に顔を向けて彼女に言った。
「これから」
「ほなな」
 美奈代も笑顔で答えた、そしてすぐにローマの波止場からカルタゴに向かった。そうして十日後だった。
 美奈代はローマに戻って来てだ、久志に笑って言った。
「こっちの条件話したらな」
「それでか」
「あっさり入ってくれたで」
「快諾だったんだな」
「文字通りな」
「それは何よりだな、しかしな」
 ここで久志は少しいぶかしむ顔になった、そのうえで美奈代に問うた。
「ローマからカルタゴまで船で三日だよな」
「行き来で六日やな」
「それで話は快諾してくれたんだよな」
「こっちの条件話したらな、あっちの政府も議会もな」
「いいってなったんだな」
「一日で決まりや」
「それで七日、後の三日はどうだったんだよ」
 このことを問うのだった、だが。
 久志はここで美奈代を見た、十日の間に多少ではあったが。
 太っていた、それで気付いて言った。
「おもてなし受けてたか」
「カルタゴの珍味をこれでもかとな」
「それでかよ」
「もっといてくれって引き留められたけれどな」
「それでもか」
「ああ、あと頼みごとも受けたわ」
 さらにとだ、美奈代は久志に話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧