ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第十幕その四
「僕も出せなかったんだ」
「何かと難しいね」
「アメリカならまだ紹介出来たけれど」
「イギリスとなると」
「これがね」
「お姫様達も多分知ってるだろうしね」
イギリス料理のことはというのです。
「ビーフシチューとローストビーフはあるけれど」
「あとフィッシュアンドチップスね」
「そうしたものがあっても」
「どうしてもね」
「先生も出せないね」
「そうなんだよね、そう思うと」
本当にというのでした。
「難しかったよ」
「だからだね」
「あえて食べなくて」
「それでだね」
「イタリアやフランスやスペインのお料理出したのね」
「そうなのね」
「そうだよ、けれど何が出て来るか」
先生はあらためて言いました、イギリス料理のことはまずは置いておいて。
「楽しみであることはね」
「事実だね」
「じゃあ宴の時はね」
「是非楽しませてもらおうね」
「僕達もね」
「お料理についても」
「そうしようね、しかし泉鏡花の論文を書くうちに」
こうも思う先生でした。
「思わぬ流れになっているね」
「そうだよね」
「これがね」
「僕達の常と言えばそうだけれど」
「どんどんお話が動いていって」
「気付けば今みたいになってる」
「本当に僕達はそうだね」
今しみじみと思うのでした、カルボナーラは残り僅かになっています。
「ふとしたはじみではじまって」
「そうしてだよね」
「気付けば凄い展開になっていて」
「僕達も動いていってね」
「あれよこれよでね」
「お話が終わってる」
「そんな風だね」
動物の皆も思うことでした。
「何というかね」
「それが先生と僕達の宿命かな」
「何気なくはじまって凄いことになってね」
「最後は幸せに終わる」
「それが私達の宿命かしら」
「考えてみれば面白いけれど」
「凄い展開ではあるわね」
皆もあらためて思うことでした。
「色々な人に出会ってね」
「色々な場所に行ったりして」
「学んで助けて助けられて」
「本当に何かと出会いがあって」
「うん、まさか姫路城に住んでいる妖怪の棟梁さんに会ってね」
そしてというのです。
「宴の提案をするとか」
「四千万も貰ったり」
「そのお礼を寄付して徳を積ませてもらってね」
「しかも宴に呼んでもらえるなんてね」
「こんな展開はないよ」
普通はというのです。
「これがね、けれどね」
「これがだよね」
「僕達の常と言えばね」
「本当に常だね」
「だったら受け入れて」
「それでだね」
「楽しくやっていく」
「それに限るね」
「そうだね、ならね」
さらにお話する先生でした。
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