仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ
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ブルー・ブルー・ローズ その3
前書き
ミナミ。ちょっと、起きるが……?
後半は、吉良サイド。
「姉ちゃんが、起きただってぇぇぇ!?」
「静かにしろ、仗助。」
「だって!」
「……厳密に“起きている”と言えるかどうか分からんがな。」
「どういうことっすか?」
「見れば分かる。」
……誰カが…、病室に入ッテキタ。
誰?
「姉ちゃん…?」
ジョ ウ スケ
仗助か。
「姉ちゃん…、おれ、俺が分かるか?」
ワ、カル
「……分かるよ。」
「はあ~~~! よかった! だいじょうぶかよ? ずっと寝たきりだったじゃねぇか? 気分は?」
「仗助! 下手に近寄るな!」
「えっ? うわっ!」
ダメ。仗助は、ダメ。
ワカッタ
「今下手に近寄るものなら、たちまちブルー・ブルー・ローズが襲ってくる。おそらくだが、今のミナミは、半分以上はブルー・ブルー・ローズに乗っ取られているぜ。」
「そんな!?」
「だ…い、じょうぶ…。」
「ミナミ…か?」
「私は…、ワタシ…。否定は…、自分自身の…ヒテイ…。」
「……どっちだ? ミナミか。ブルー・ブルー・ローズか?」
「どっちも姉ちゃんであるはずっすよ! スタンドってのは、精神の分身みたいなもんなんでしょ!? なあ、姉ちゃん、そうだろ!? 姉ちゃん!?」
「即席の二重人格って言ったところか。」
「…アノ男は…。」
「あの男? 吉良吉影?」
「まだ…コノ、町に…。」
「わ、分かんのか!?」
「ミナミ、と、ブルー・ブルー・ローズ。お前達は、すでに吉良吉影が誰に扮してるのか把握しているのか?」
「そ、れは…。」
「話してくれないか。なにかヒントとなる情報でもいい。例えば、誰かと共にいるとか…。そういうことでもいい。」
「承太郎さん!」
「…オンナ…。」
「っ!?」
「女といるのか?」
「コドモ…。」
「子供というるのか? つまり、親子か?」
「!」
「オヤ……コドモ…。いる。タメラッテ…イル…。」
「ためらう? その女と子供を殺すことをか?」
「ちが…う…。殺したいだけ。」
「誰を?」
「たくさん…女の人…来てるから。」
「あっ、サマーシーズンの旅行客か!」
「殺人狂にとっては、堪えがたいことだろうな。それで、一体、誰に化けている?」
「ごめ…、も…ぅ…。うぅ…っ。」
「姉ちゃん!」
ユルサナイ ダカラ ワタシが
「コ ロ ス。」
「姉ちゃん!」
私は、再び、闇に意識を沈めた。
***
side:吉良吉影
「……おかしいな。すでに下校は始まっているぞ。」
私は、通勤路の途中、ぶどうが丘高校の生徒が合流する地点で思った。
ミナミがいない。
私が調べた限りでは、ミナミは、学校を休むことはほとんどなかったはずだ。最近までは…。
川尻浩作の通勤路とぶどうが丘高校の通学路が一部合流することを知ったのは、偶然である。
別人として生きることとなったが、この殺意を抑えるのが耐えがたい。だが私は耐えた。耐え抜いた。
耐えて、川尻浩作としての生活の隙に、『彼女』を作れば良いのだと。
よくよく考えてみれば、そのような状況下で、ミナミに会わなくてよかった。
ただでさえ殺したくてたまらないというのに、自分が吉良吉影だと打ち明けてしまいたいのに、彼女に会ってしまったら川尻浩作という仮面と居所がすべて壊れてしまうだろう。
私がこれまで生きてきた中で…、これから先もおそらくは出会うことは無いであろう、“全てが欲しいと思わせた娘”だ。
落ち着いたら“迎え”に行くつもりだ。
川尻の妻と、子供は、邪魔だが、まだ始末すべき時ではない。慎重に…慎重に事を進めなければ…。
すべては、私の“平穏無事”な生活のために。
ユルサナイ
「っ! またか…。」
近頃、この幻聴が聞こえる。
うっかり転た寝をして以来、ずっと聞こえる。
あの、異様なうなり声も目覚め間近になれば聞こえる。
頭が、どうにかなってしまいそうだ!
やはり、仗助達…、私の心の平穏を妨げるすべてを排除しなければならないという警告か?
奴らのことは、いつだって殺せる。
だがそれをやらないのは、私が戦うことを嫌う性格だからだ!
闘争とは、私が目指す平穏な人生とは相反しているからだ!
ひとつの戦いに勝利することは簡単だ。だが、次の戦いのためにストレスが溜まる…、愚かな行為だ。だから、私はそのような愚かしいことはしない。
だがしかし…、この幻聴は、私自身のその平穏を脅かす物を始末しろという私自身から発せられるモノなのか!?
私は、平穏な植物のような人生を望んでいると思いながら、反対に闘争を求めているというのか!?
チガウ
違う…だと?
まさか…、スタンド? スタンドによる攻撃か!?
ワタシは、オマエを
どこだ!?
どこにいる!?
お前は、何者だ!?
コ ロ ス
私の詰めの隙間を突き破って、鮮血色の植物の根っこが生えてきた。
「おおおおおおおおおおお!?」
「あなた!」
「ハッ!」
私は、川尻しのぶに起こされて、目を覚ました。
「珍しいわね。寝坊するなんて。最近疲れが溜まっているじゃないかしら?」
「っ…。」
時計を見れば、すでに支度を終えている時間だった。
私としたことが…、やはり熟睡が足りていないようだ。
「あら? 爪から血が出てるわよ? 絆創膏持ってくるわ。」
「っ…!!」
夢…じゃなかったのか?
後書き
果たして、吉良が見た夢は、ただの夢なのか…?
地味に地道に吉良を追い詰めるブルー・ブルー・ローズ?
派手に一撃より、こういった地味な攻撃の方が精神的に来ると思うのは私だけ?
ブルー・ブルー・ローズは、その形状ゆえか、頭はないのでそんな頭良くないかも。
そのため、一番のヒントとなる川尻浩作の名を言わなかった。というか言えなかった。
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