タンザニアユニコーン

　ギルドの依頼を終えた二人は少女、マサイ＝ソララと笑顔で別れその後でフルルがシャーデーをムワンザの食堂に案内した、そこで二人用の席に座ってメニューを注文した。そのメニューはというと。
　炊いた米の周りに玉葱とトマトのスープにオクラや肉それにほうれん草を置いたワリニャマという料理にフライドポテトを中に入れたオムレツであるチップスマヤイ、素揚げのバナナ、ビクトリア湖の魚を揚げたサマキという料理にトマトや玉葱、レタスにセロリをライムと塩で味付けをしたサラダであるカチェンバリにイギリス風のバウンドケーキだった、酒はウイスキーだった。
　そのメニューで乾杯して飲み食いしているとだった、フルルの手にあるものが宿った。それは何かというと。
　ここでフルルの心の中に声がしてきてそれが何かを語ってきた、フルルはその声が自分に言ってきている言葉をそのままシャーデーに話した。
「これはチウタの冠や」
「えらく奇麗な冠やな」
「こっちの神様の持ちものやな」
　まさにそれだというのだ。
「私が使う術の力と政治力を上げてくれる」
「そうしたものか」
「これはええもんが手に入った、それでな」
　声はフルルの心にさらに語り掛けてきていた、フルルもそれをそのまま話す。
「私自身神託を適えてな」
「それでやな」
「力が全体的に一回り強くなった」　
　このことも話すのだった。
「そうなった」
「それもええことやな」
「そやな、それでな」
　フルルはササマキを食べつつバナナを食べているシャーデーに話した。
「これで終わりか」
「それはな」
「私等は神託が目的やない」
　こう言うのだった、ウイスキーを飲みながら。氷を入れたそれはよく冷えていて実にいい味になっている。
「この世界を救うことがな」
「目的でやな」
「それでや」
　だからだというのだ。
「ここで飲んで食べてな」
「その後でやな」
「次の場所に行くで」
　フルルは微笑んで言った、そうしてだった。
　またウイスキーを飲んだ、そのウイスキーは実に美味かった。氷の精霊である彼女の身体の中に熱を帯びさせたがそれもまた楽しみつつ飲んでこれからのことを考えさせてくれた。


タンザニアユニコーン　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１９・７・２４