ある晴れた日に
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568部分:鬼め悪魔めその四
鬼め悪魔めその四
「いいね、咲」
「うん、じゃあ」
こうして父と兄の話を聞く咲だった。それは彼女にとっては驚くべき、そして一度聞いたら決して忘れることのできない、そんな話であった。
その朝クラスの面々はいつもの様に集まっていた。だがそのいつもの場所には彼女はいなかった。
「あれっ、柳本は?」
「どうしたよ」
「おばさんから連絡あったわよ」
凛が空席の咲の席を見て怪訝な顔になっている男組に対して言ってきた。
「ちょっと遅れるんだって」
「何だよ、遅刻から」
「出席だけが取り柄の奴なのにな」
「遅刻はしないそうよ」
それは断る凛だった。
「ちょっと遅れるだけなんだって」
「何だ、そうなのか」
「だったらいいんだけれどな」
男組はそれを聞いてまずは納得した様であった。
「そういえば竹山もまだだな」
「珍しく御前は来てるのにな」
「早いうちにな」
こう言って野本を見る。何と今日は珍しく朝早くからいる彼であった。
「それであいつが来ないって」
「何があったんだよ」
「何か徹夜でネットしてたみたいだな」
野本はこう皆に話すのだった。
「それで俺に携帯で連絡してきてな。先に言ってくれってな」
「それで御前だけってわけか」
「そういうことか」
「ああ、そういうことさ」
まさにその通りだと答える野本だった。
「俺はな」
「それであいつ何を調べてるんだろうな」
「やっぱりあれじゃないかな」
ここで桐生が言った。
「ほら、昨日話していたあの」
「弁護士かよ」
「何とかっていう」
皆その話をここで思い出すことになった。
「あのテロリストとかと関係があるっていう」
「とんでもない奴よね」
「息子も最悪だっていう?」
この程度覚えているのであった。
「そういう奴だったな」
「そいつよね」
「その弁護士のことじゃないかな」
桐生はこう予想を立てるのだった。
「多分だけれど」
「だとしたら重要なことがわかったかも知れないね」
加山がぽつりと述べた。
「だから徹夜になってるんじゃないかな」
「徹夜で」
「それで調べていて」
「竹山君自身が来ないとはっきりしないけれどね」
こう言いはするが予感は感じているのであった。
「それでじゃないかな」
「それでか」
「だとしたら一体」
「ああ、連絡来たぜ」
野本が自分のズボンのポケットの携帯が鳴ったのを聴いて皆に告げてきた。アメリカの歌手の誰かのラップの前奏であった。
「あいつからだよ」
「それで何て?」
「どうなんだよ」
「今学校の校門だってよ」
こう皆に話した。
「だからもうすぐここに来るってよ」
「そうか。じゃあ」
「話を聞かせてもらいましょう」
「そうだな」
また皆で言い合う。
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