ドラゴンパピー
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第二章
「それでもな」
「ナイジェリアの軍隊もやな」
「先の枢軸との傷は癒えても」
それでもというのだ。
「ラゴス近辺の軍隊は動かせん」
「ここでもモンスター退治やな」
「そっちに冒険者にも来てもらってる」
彼等に依頼も出してだ、見ればこのギルドの依頼もそれが非常に多い。
「そうした状況や」
「そやからやな」
「どうしてもな」
今はというのだ。
「軍隊も向けられん」
「最近結構な地域でモンスター多いな」
「そやな、アフリカだけやなくてな」
「他の地域でもな」
どうにもと言うのだった。
「これが世界の危機かもな」
「そうかもな」
二人でこうした話をしてだった、そしてだった。
シャーデーはフルルと共にギルドの事務所に依頼を受けると申し出てそれが認められた、そしてだった。
二人で依頼主のラゴスきっての豪商である竜人の中年の男カズナ=バウチの屋敷に行った。商人は評判のいい男で客からも使用人からも商売仲間からもいい言葉ばかりで商才だけでなく人徳も兼ね備えていたが。
彼は自分の屋敷に来た二人に悲しい顔で話した。
「実は私は子宝に恵まれないのです」
「お子さんがか」
「はい、妻との間には結婚してから」
ずっと、というのだ。
「一人もです」
「お子さんが出来んか」
「はい」
自分の向かい側のソファーにフルルと共に座るシャーデーに話した。
「これが」
「それでかいな」
「あの子をペットといいますか」
「家族としてやな」
「そうです、妻には先立たれ」
そうもなってというのだ。
「今ではあの子が家族です」
「たった一人のか」
「そうなっています」
こう言うのだった。
「これが」
「それでやな」
「是非探して欲しいのです、尚種族はグレードラゴンです」
商人はドラゴンの種族の話もした。
「このドラゴンのことはご存知ですね」
「石化するブレスを吐くドラゴンやな」
「はい、そうです」
「そのドラゴンかいな」
「元気で明るい子でもう人の言葉を喋ります」
そこまでの知能を備えているというのだ。
「勿論人の言葉も理解します」
「ほな言うたらか」
「これが最近やんちゃで」
「反抗期やな」
フルルはやんちゃと聞いてこう述べた。
「そやな」
「簡単に言いますと」
「そやな。それで家出したんやな」
「今までこの屋敷から出たことはなかったのに」
「いや、ドラゴンや」
だからだとだ、シャーデーは商人に答えた。
「だからな」
「それでか」
「そや」
まさにと言うのだった。
「そうしたこともな」
「有り得ますか」
「ドラゴンは翼があるしな」
これはグレードラゴンも同じである。
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