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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第九幕その四

「あれは独特の美がある」
「幽幻ですね」
「それがある、妾も宴でよく催させてな」
「亀姫様もですね」
「好きじゃ、そして合間に落語もか」
「どうでしょうか」
「尚よい。笑いまで入れるとはな」 
 それが実にというのです。
「先生はわかっておる。英吉利生まれであると聞いたが」
「日本にいて暫く経って学んでもいますので」
「それでもそこまで日本のことがわかっておるのはな」
 そえこそというのです。
「稀じゃ、日本人でもな」
「そうなのですか」
「よし、能と歌舞伎と落語はな」
 この三つはというのです。
「是非じゃ」
「宴で、ですか」
「催そう」
「それでは」
「その様にな」
「それでは」
「うむ、ではな」
 是非にとです、お姫様は先生に答えました。
「これは決める。あとライトアップやイルミネーションもな」
「こちらもですか」
「考える、しかし花火はな」
 これはといいますと。
「少し考えさせてもらいたい」
「左様ですか」
「花火は夏に打ち上げるものじゃ」
 このことはどうしてもというのです。
「だからじゃ」
「それは第二次世界大戦までの日本の考えで」
「今は違うしか」
「他の国ではです」
 それこそというのです。
「また違うので」
「だからか」
「はい、ここはです」
「冬の花火でもじゃな」
「いいかと」
「わかった、ではな」
 それではとです、お姫様は花火のこともそれならと頷きました。そして最後に先生にお話するのでした。
「して料理はな」
「このことはですね」
「後日先生のお家に使いの者をやる」
 またこのことをお話したお姫様でした。
「そしてじゃ」
「そのうえでじっくりとですね」
「話してもらいたい」
「それでは」
「さて、話は終わりじゃな」
 お姫様はここで安心した様なえがおになって述べました。
「ではじゃ」
「先生はこの後どうする」
「はい、お家に帰り」
「そうしてか」
「論文を書こうと思っています」
 こうお姫様に答えました。
「その様に」
「学者の仕事をするのじゃな」
「はい」
 そう考えているというのです。
「その様に」
「わかった、ではな」
「そちらもですね」
「励むのじゃ、やはり学者は学んでこそじゃ」
 そうしてこそというのです。
「学者であるからな」
「では」
「うむ、足労であった」 
 先生と他の皆にも労いの言葉をかけました。 
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