ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第九幕その二
「また天守閣からの景色を楽しめるね」
「それが出来るね」
「それで天守閣の最上階まで行く」
「このこともいいんだよね」
「いやあ、何度登ってもいい場所だね」
老馬はとても楽しそうです。
「この天守閣は」
「外は奇麗で景色もいい」
「最高の場所だね」
オシツオサレツも言うのでした。
「じゃあね」
「楽しみながら登っていこうね」
「このお城に住んでいると毎日登りたくなるかも」
こう言ったのはジップです。
「それで最上階からの景色を楽しむね」
「いいね、あそこからの景色が何といっても一番いいからね」
トートーはジップのその言葉に頷きました。
「お城に住んでいると登りたくなるね」
「飛んだらすぐだけれど」
ここでこう言ったのはポリネシアでした。
「それだと味気ないのね」
「最上階にこうして徐々に登ってそれぞれの階の景色も楽しむ」
「それが醍醐味よね」
チープサイドの家族はこう考えました。
「何といっても」
「そうだからね」
「僕も最上階から観る景色が一番好きだけれど」
ガブガブも言います。
「それぞれの階からの景色もいいからね」
「そうした景色を楽しみながら進む」
ホワイティは実際に観ています。
「それがいいんだよね」
「じゃあね」
それならと言ったのはダブダブでした。
「このまま登っていきましょう」
「お姫様のところには絶対に行くし」
それならと言うチーチーでした。
「景色も楽しもうね」
「うん、そういえば急いで来いとはね」
それはともです、先生は皆に応えました。
「言われていないし。道草は駄目だけれど」
「景色を楽しんでもいいわね」
「そちらを楽しんでも」
「別にね」
「うん、問題ない筈だよ」
まさにと言ってです、そしてでした。
先生は皆と一緒に一階一階登っていきました、立ち止まることはありませんでしたが足は止まりません。
そしてです、皆ででした。
天守閣の最上階に着くとすぐにお姫様が大勢のお付きの妖怪さん達を連れて出て来ました、そのうえで先生達に言うのでした。
「随分と早いのう」
「早いですか」
「もっと後で来ると思っておった」
そうだったというのです。
「妾は」
「結構ゆっくり来たと思いますが」
「今日と言ったから夕方までに来ると思っておった」
「あっ、午前中に来たからですか」
「それでじゃ」
その為にというのです。
「妾はこう言ったのじゃ」
「時間の感覚の違いですか」
「そうじゃな、妾は何百年も生きておる」
お姫様は妖怪です、その為人間よりもずっと長生きなのです。
「ならばな」
「その時間の感覚ですね」
「左様、そのせいであるな」
「僕達と時間の感覚が違っていて」
「それが為にじゃ」
まさにというのです。
「こう思ったのじゃな」
「左様ですね」
「それでじゃが」
お姫様は先生にあらためて言いました。
「宴の案は出たか」
「はい、ご馳走や催しについて」
「左様か。では聞かせてもらおう」
「それではのう」
こうしてでした、先生はお姫様にご自身の宴の案をお話しました。その案を全部しっかりと聞いてからです。
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