消えていく影
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第一章
消えていく影
ゾーイ=ゴーディマーとアンドレ=カマンダは今はゴーディマーの神託で南アフリカのヨハネスブルグに来ていた。
この世界ではこの街の治安も随分といい、だがそれでもだった。
ゴーディマーは自身の神託を探す為にカマンダと共に冒険者だと素性を隠したうえで街のギルドに入ってだった。
そうしてこれはという依頼を見付けてギルドの事務所に依頼を受けると言ってからまずはギルドを出たのだが。
ここでだ、彼はカマンダに対して犀人の顔をどうかという顔にして言った。
「依頼は受けると言ったが」
「それでもですね」
「物凄く引っ掛かるな」
そのどうかという顔で言うのだった。
「この依頼は」
「行方不明になったヨハネスブルグにおるドワーフのお年寄りの捜索や」
「お名前はホントル=ゾマホンさんですね」
「探偵社も捜索してるらしいが」
「その探偵社の人達もですね」
「行方不明だがや」
「ミイラ取りがミイラになってるかもな」
ゴーディマーは暗い顔で述べた。
「これは」
「そうかも知れないですね」
「それでどうもな」
「近頃ここで行方不明になった人が多いですね」
「ヨハネスブルグでな」
「あのです」
こう前置きしてだ、カマンダはゴーディマーに話した。二人で今は喫茶店の二人用の席に向かい合って座ってコーヒーを飲んでいるが気取った仕草でコーヒーを飲みつつゴーディマーに言うのだった。気取った仕草は彼がサプールであるからだ。
「起きた世界ならです」
「この街で行方不明者が出てもな」
「こう言っては何ですが」
それでもと言うのだった。
「普通ですね」
「殆どあれや」
ゴーディマーはどうかという顔のままコーヒーを飲みつつ応えた。
「世紀末救世主の世界や」
「日本の漫画の」
「モヒカンがバイクで走り回ってたらな」
「そのままですね」
「そんなとこやとな」
「行方不明者もですね」
「普通や、けどこっちの世界ではな」
この世界でのヨハネスブルグはというのだ。
「治安はええ」
「そうですよね」
「わしもそこは徹底したしな」
ヨハネスブルグの治安維持についてはだ。
「南アフリカ全体でな」
「治安をよくしましたね」
「警察力を強めてな」
「悪人も取り締まって」
「法治主義でいった、それでや」
だからこそというのだ。
「今のこの街は治安がええ」
「左様ですね」
「それで行方不明者が出てもな」
「こうして捜索願いも出せますね」
「それで探偵社も動いてな」
「警察もですね」
「動いてるけどな」
それでもとだ、ゴーディマーは難しい顔でカマンダに述べた。
「見付からんどころかな」
「探偵の方々まで行方不明になってます」
「おかしいな、けどな」
「それでもですね」
「わし等はな」
「そのご老人を絶対に見付け出しますね」
「依頼を受けたからにはな、多分な」
ここでこうも言うのだった、カマンダに対して。
「お年寄りも探偵もこの街におるわ」
「ヨハネスブルグに」
「駅とか街の外での目撃の話はないし」
「目撃のお話も市内ばかりですね」
「それでや」
だからだというのだ。
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