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仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ

作者:蜜柑ブタ
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奇妙な対面

 
前書き
オリジナル回。


仗助は、承太郎と共に、ネズミ退治に行っています。


一方で、ミナミは……?


ミナミの文通相手の口調が迷子です。


注意。 

 


 …う~ん、柄にもなく緊張してるわ。
 こういうとき、仗助がいれば…、って、さっき空条さんとどっか行ってたじゃん。
 ま、どっちにしても一人で対面するって決めてたんだから、このままで行くけど…。

 私は、今日…文通相手に会う予定になっています。

 キラさん、っていうんだけど、顔もフルネームも知りません。そして性別だって知らない。
 でも、文面で几帳面な大人の人だなってのは感じてました。
 私は、キラさんと同じで自分の正体は明かしていない。高校生の女子だって分かったら、もう文通終わり? それは、寂しいなぁ…。
 こじんまりとした、個人経営の隠れ家みたいな喫茶店を指定されて、手紙の地図通りに来て、待ってます。
 どうしよう…、ドキキドキしてる…。こんな心臓がおかしくなりそうな時って、どれくらいぶりだろう?
 その時、カランコロンっと、喫茶店の戸の鈴が音がした。
 私は、ビックーッとして背筋を伸ばして、そちらを見ていた。

 え、エリート風サラリーマンがそこにいました。
 歳は…、30ぐらい?
 少し頬がこけたように見えるけど、全体的に整った顔立ちとエリートな風格が印象的です。
 まさに、大人の男の人でした。

 喫茶店のマスターが「いらっしゃいませ」と言うと、我に返った私は、慌ててカウンターの上の甘いカフェオレに顔を向けた。
 き、キラさんじゃなかったら、失礼だよね!
 っと思ってたら。

「君が…、ミナミさんかい?」
 落ち着いた低音の声が私に語りかけてきた。
 うわ…、男の人の声が綺麗だって思ったの初めて!
「は…はひ…。」
 やべ…、噛んだ。
「隣、いいかね?」
「…はい。」
 キラさんが、カウンターの私の隣の席に座った。
 マスターに紅茶を注文してる。
「君は…、学生さんかい?」
「はい…。」
「手紙の文面で、なんとなく分かってたよ。ずいぶんと背伸びをしているというのが。」
 あちゃー! 見抜かれてた!
「だからといって、別に問題視すべきことじゃない。」
「…はい。」
「肩の力を抜いて。別に私は、君を責めているわけじゃないんだ。」
「うぅ…。」
「どうしたんだい?」
「き、緊張してて…。その…。」
 落ち着け! 私!
「い、一度でイイから…、キラさんに会いたかったから…、今すごく、緊張してます。」
「…そうか。」
「がっかり…しましたよね? 私が学生で、しかもこんなナリだから…。」
「いや。そんなことはない。むしろ、私も君と会いたいと思っていたからね。今このときを、とても嬉しく感じている。」
「へ…?」
「ふふ、やっとこっちを見てくれたね。」
 私が思わずキラさんの方を見ると、微かに笑われた。
「ほう…、透き通るような青い瞳だ…。扉からの距離ではただ青いとしか思わなかったが、こうして近くで見ると、より鮮やかに見える。」
「あ…どうも…。」
「? どうしたのかね?」
「……目については、あまり良い思い出が無くて…。」
「どうしたんだい? 虐められたとか?」
「…私の父は、外国人です。この通り目だけじゃなく、顔立ちも日本人離れしてたから、よくからかわれて…。どうしてみんなと違うんだろう?って小さい頃はいつも思ってました。」
「そうか…。それは悪いことを聞いてしまったね。」
「いえ、いいんです。綺麗って言ったら、キラさんの声の方がよっぽど綺麗です。」
「私の声がかい? 初めて言われたよ。」
「そうなんですか? とても綺麗だと思いますよ?」
「…そういう君の手も、目と同じぐらい綺麗だと思うがね。」
「私の手がですか? 前にも手紙で書いてましたよね。小猫より私の手?ってツッコみ書いちゃった。」
「私も衝動で書いてしまって、あとで後悔したよ。しかし後の祭りだった。…ガッカリしたかい。こんなおかしな男で。」
「いいえ。チャーミングでいいと思いますよ? 誰だってうっかりとか、好き好みは自由だと思いますし。」
「そうか…、そう、思うのかね。」
「ぁ…。」
 クスクス笑ってたら、キラさんが不意に左手に触れてきた。
「…ふむ、少し荒れてるようだね。炊事でもしたのかい?」
「はい。新しい洗剤がちょっと合わなかったみたいで。」
「それはいけない。今度、私が手に優しい洗剤を見繕ってあげよう。」
「いえ、そんな…悪いですよ。」
「いやいや、手は大事にしなければいけない。特に…君のはね。」
「?」
「おっと、すまない。冗談だよ。気にしないでくれたまえ。」
 ……なんか、不思議な人だなぁ?
「ところで…、ずいぶんと甘い匂いがしているが、ずいぶんたくさん砂糖を入れて飲むようだね?」
「あ、はい。甘くないと飲めなくて…。でもコーヒーそのものは好きなんですよ? キラさんは、ブラック?」
 それから、私は、キラさんと日常会話的な感じで話をした。
 なんか、不思議だな…。今まで文章でしかやりとりしてなかった人が、今目の前にいて、こうして会話をしている。
 緊張は、ほぐれたけど…、なんだろう? この胸の暖かさはようなものは…。ドキドキしている?
 その時、キラさんの持っているカバンから着信音。
 キラさんが携帯電話を見た。
「おっと…、すまない。急な用事ができてしまったようだ。今日は、とても楽しかった。」
「わ、私もです。」
「ここの代金は私が立替えておくよ。」
「えっ、そんな悪いですよ。」
「いいんだ。私からの気持ちだよ。」
 キラさんは、そう言って微かに微笑みを浮かべ、席を立って私の分もお会計をした。
「……そうだ。」
「はい?」
「また、会いたくなったら、手紙に書く。…また、会ってくれるかい?」
「…は…、はい!」
 私は、緊張しながらなんとか返事をした。
 そして、キラさんは、さよなら、っと言って、去って行った。
 私は、ボーッとその後ろ姿を見送った。
「はあ~~~~。」
 キラさんがいなくなり、私はヘロヘロとカウンターの机にへばった。
 キラさんは、思っていた以上に…、大人の人でした。
 ちょっと、変わってる…ような気がしなくもないが、気にはならない。
 どうしよ~、続きの手紙…なんて書こう?
 私は、耳まで真っ赤になってた。ああ、柄にもないなぁ。私、今日おかしいよ。
 どうしよ~、仗助に見られたら、絶対問い詰められちゃうよ~。
 私が一人パニックになっていると、マスターが冷たいおしぼりと、お冷やを出してくれた。

 やっと落ち着いて帰ったのですが、帰ったら、仗助が、なんか臭い。
 そしてなんかメッチャ落ち込んでるし、怪我までしてる。
 どうしたの?って聞いたら、2万5千円の靴と、ミスタージュンコのブランドの靴下を泥水に落として台無しにしたらしい。
 どうやら、仗助にとっては、今日は厄日だったようだ。

 
 

 
後書き
ここで、ミナミが無事だったのは、後の伏線(?)。
そして、色々な意味でピンチでもある。
気づいて~! 誰か気づいて~!っていうのを書きたかった。

なんかの話であったような気がして…。殺人鬼とお付き合いしてたとかって話。
キラさんと、ミナミの関係はそんな感じにしたかった。 
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