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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D 照らし出す光 3

 
前書き
何回目の挑戦か分からない。
何故こうなった? 

 


「ヒャッハー、次の獲物が来たッスよ!!者共、突撃ーー!!」

「「「ヒャッハー、姉御に続けーー!!」」」

ギリギリチャンバラロードのβテスト最終日、初日から入り浸っている廃人達とクラン”モヒカン連合”を結成し、追い剥ぎのごとく各地を転戦しながら少人数をボコリ、同じ人数からは逃走を繰り返すロールプレイを楽しんでいる。クラン人数は登録できる最大の30人。武器は棍棒か手斧の2択。アバターにモヒカン装備は必須。階級によってダブルモヒカンやトリプルモヒカンになる。もちろんウチはトリプルッス。

そんなモヒカン連合の次の獲物は手斧使いと大剣使いの二人組ッスね。歩き方から素人っぽさが、うん?素人臭すぎるッスね。つまりあれは擬態!?というか、絶対MPの二人ッスね!!

「撤収!!」
「「「姉御!?」」」

先頭で走っていた状態から背中を見せて猛ダッシュッス。ぼっちならともかくコンビ組まれて勝てるわけ無いッス。

「へっ、速っ!?巻き取られた!!」
「ちょっ、弾き飛ばしで!?」
「素手で裁かれた!?」

ほらやっぱりあの二人だった!!ひぃっ、足の長さで追いつかれるぅ〜!!

結局逃げ切れずに生き残った部下たちと粘れるだけ粘ってみたッスけど、結局は全員討ち取られたッス。その後、スマホにパラドからメッセージが飛んできた。

『初期症状が出ているはずだ。時間は残っていないぞ』

分かってるッスよ。だけど、踏ん切りがつかない。生きるために誰かに寄生しなければならない。そのことにどうしても二の足を踏んでしまう。自分のために誰かを犠牲にすることをためらってしまう。

だから、ギリギリまで答えを出さないことにしたのだ。正確に言えば流れに身を任せることにしたんだ。








「何度も言うけど、ここは休憩所じゃないんだよ。本当に体調が悪い人のためのベッドなんだから」

「混んできたら出ていくわ。寝不足なのは本当なのよ」

「見ただけで疲労していると分かるけど、ちゃんと規則正しい生活を送ること。適度な運動と休息、適量の食事だけで健康は保てるんだから。それとは別に多少の娯楽があると心身とも健康でいられる。はい、鉄分とかビタミンで足りてなさそうな錠剤」

水と錠剤を渡す。パラドが言うには人間よりは頑丈なだけで殆ど変わらないらしい。

「そう言えば、あのマイティに変身できる道具って誰でも使えるの?」

「パラド達の協力がなかったらウィルスに感染して最終的には消滅するよ。僕はある程度抗体が出来たから多少なら大丈夫だけどね」

そう言いながらグレモリーさんが専有しているベッドにシャカリキスポーツのIDガシャットを投げる。

「ひぃっ!?」

慌ててガシャットから距離を取るグレモリーさんを笑ってからガシャットを拾い上げる。

「これは幻夢コーポレーションのシャカリキスポーツのアーケード筐体の個人スコア記録用で変身に使うものじゃないよ。戦闘用はここにスタータースイッチが存在しているから」

マイティアクションガシャットを見せて説明する。

「押すと押した人の身体にウィルスが流れ込む。そのウィルスをゲームとして指向性を持たせてドライバーを通して再現する。それがパラドの作ったライダーシステムさ」

まあ、パラドは模倣しただけで本来は檀黎斗っていう人が作ったものらしい。ハイパームテキは檀黎斗神が作ったとか。同一人物なのかと聞けば微妙に違うとだけ返された。たぶん、堕天使の頃のミッテルトとバグスターになったミッテルトとの差のようなものなのだろう。

「パラドがライダーシステムをばらまくことはないよ。さっきも言ったけど、これはウィルスなんだ。増殖はするし、感染もする。環境が整えば爆発的に増える、つまりはパンデミックが起きる。結構危険な代物だからね」

マイティアクションガシャットを手元で回しながら説明を続ける。

「ウィルスは基本的にガシャットから感染する。もしくはバグスターであるパラドとミッテルトの意思で散布することでも感染するだろう。だけど、ウィルスの塊であるパラド達の存在そのものを散布する以上、命がけでもある。だから滅多なことじゃあバグスターが増えることはない」

まあ、増殖させれば問題ないんだよね。群体型ウィルスってところに気づけるかな。








「ちょっと便利な剣を手に入れた程度で本当の強者に勝てるわけないっしょ。勉強代としてこいつは貰ってくッスよ」

レイナーレさんの所にいた時に集まったはぐれ神父の一人が調子に乗っていたからしばき倒して財布の中身と聖剣を頂く。財布の中身は大分湿気てるッス。まあ、フリーランスという名の無職ッスからこんなもんすかね?

「臨時収入も入ったことですしアーシアを誘ってパフェでも食べに行くッスよ」

スマホを取り出してバグスター的に直接繋がってメールを送る。ここらへんはバグスターの利点ッスね。了承の返信が来たので集合場所まで歩いて行く。

「で、いつまで覗き見してるんッスか?不審者として通報するッスよ」

「気づいていて放っておいたか」

はぐれ神父を殺してからウチのことをじっと見ていた相手に相対する。この悪人顔はコカビエルッスね。

「グリゴリで見かけたことがあるな。堕天使ならオレを手伝え」

「お断りッスよ。ウチはもう堕天使じゃないッスからね。今のウチはバグスター。命令される謂れはないんッスよ」

ああ、殺る気に満ちているッスね。ゲーマドライバーを装着してギアデュアルγを構える。コカビエルが光の槍を生成した所でギアデュアルを装填してレバーを開く。変身しながら堕天使の翼で空を駆け上がり、ガシャコンブレードで翼を切り落とす。

「貴様!?」

「へいへい、その程度で戦争がしたいとかへそで茶がわかせるッスよ」

ステージセレクトで廃工場に連れ込もうとした所で全身にノイズが走り体が動かせなくなる。

「がっ、な、なんで悪化が!?」

初期症状だった体の不具合が一気に深刻化する。

「まさか、レベルアップ!?時間がないってそういうことだったッスか!?」

ヤバイヤバイヤバイ!!コカビエル相手に棒立ちは不味いにも程がある!!ライダーに変身しているからウィルスに戻ることも出来ない!!

「何が起こっているかは分からんが、許さんぞ!!」

コカビエルが投擲した光の槍がスーツやアーマーを貫通して全身に突き刺さっていく。それなのにライダーゲージの消耗が少ない。ダメージ判定の機能までバグが発生しているらしい。

「こんなところで、死ぬ訳にはいかないッス!!」

根性で体を動かし、ギアデュアルを引き抜いて変身を解除してウィルスに戻って逃げる。今までならウィルスに戻ればある程度はましになったはずの不具合が全く治らない。傷も治らない。ウィルス量が足りない。体が少しずつ崩壊していっている。

「ここがウチのゴールッスか」

2ヶ月ほどの命だったッスね。今度は納得して死ねそうッスね。生き長らえる方法を教えられていたのに、結局それを選ばなかった。自分で選んだ結果だから、納得できる。それでも最後にアーシアに話すぐらいはするべきだろう。メールに乗りこむ形でアーシアのスマホにまで移動する。メールにはちょっと人目につかない場所に移動して欲しいと頼んでおいた。アーシアからの返信を受け取って、スマホから出て実体化する。

「ははっ、大分ノイズが走ってるッスね」

「ミッテルトさん!?」

「時間もあんまり残されてないっぽいから手短に。ごめんッス、寿命が目の前にまで来たみたいッスね。最後のお別れに来たッスよ」

「お別れって、そんな!?」

「まあ、これも中途半端なバグスターの運命ッス。前にも話したことがあるッスけど、納得のできない死を迎える間際に、パラドにバグスターとして生きるチャンスを貰ったんスよ。そして今度は納得のできる死を迎えられる。こんなに良いことは中々無いっしょ」

敵じゃない誰かに看取られるなんて堕天使の頃じゃあ考えることすらなかったし。

「それとウチの持ち物でこいつだけは知ってる人にしか渡せないッスから、アーシアが貰って欲しいッス」

ゲーマドライバーとギアデュアルγ、各種ガシャットの入ったケースをアーシアに手渡す。それと一番やりこんだギリギリチャンバラのアーケード筐体の個人スコア用のガシャットを渡す。

「最後のはウチが確かに存在していた証ッス」

これで納得して逝ける。もう喋ることすら億劫になり、それでも最後の挨拶をしようと深呼吸した所で聞き慣れた音声が耳に入る。

『ギリギリチャンバラロード』
「えいっ!!」

アーシアがギアデュアルγを起動して自分の体に突き刺した。アーシアの体が高レベルのバグスターウィルスに感染して体が消滅していく。慌ててアーシアに取り付いてウィルスを抑制する。アーシアのウィルスを抑制すると同時に体の調子が戻るのがよく分かる。そして、抑制が限界で完全に除去することが出来ない。

お互いに落ち着いた所でアーシアの中から外に出る。

「アーシア、自分が何をしたのか分かってるんスか!!」

「ミッテルトさんこそ、自分が何をしたのか分かっているのですか!!」

アーシアが今まで見せたことのない怒気と共に言い返してきた。それに一瞬飲まれてしまった。

「パラドさんから全部聞きました。そしてミッテルトさんは最後まで宿主を選ぶことなく消滅を選ぶって」

「ちっ、パラドの奴、最初から全部見抜いてたッスか」

「どうして、どうして生きようとしないのですか」

「あ〜、色々と理由はあるッスけど、そうッスね、一方的な搾取が嫌だったからが一番ッスね。宿主が居ないとウチラは存在を保てない。それだけなら悩まずに済んだッスけど、宿主にデメリットが多いんスよ。バグスターウィルスに感染することになるし、同化している時は一方的に宿主の情報が分かるッス。特にストレスがはっきりと。アーシアがこれだけストレスを溜め込んでいたとは思わなかったッスけど」

びっくりするぐらいアーシアの抱えるストレスは大きかった。それを表に出すのが物凄く下手なだけで、溜め込んでいたのだ。聖女として扱われるのもストレスだし、魔女として追い出されたのもストレス、そもそも教会に預けられたこと、親に売られたことが一番のストレスであり、それを誤魔化すように信仰を捧げている自分の醜さがストレス。他にも色々なストレスが存在していた。ストレスの塊で許容値が極端に大きいのがアーシアという存在なのだ。

「私の人生はストレスとの二人三脚の人生です。表に出せばさらなるストレスを押し付けられる。だから私は上手く付き合ってきたつもりです」

「合理化、いや逃避っすかね?神から与えられた試練に置き換えて誤魔化していたんッスね」

「そうなるのでしょうね。そんな人生の中で私がストレスなく付き合えたのはミッテルトさんだけなんです」

「赤龍帝がいるでしょ」

「その、やっぱり男の人はちょっと怖くて。それにちょっと視線が、その」

「ああ〜、うん、なんとなく言いたいことはわかったッス。吊り橋効果で好意はあるけど、あの女にだらしない面はNGと。まあ、分かるッスよ」

「その点、ミッテルトさんは女性ですし、何より初めてだったんです。何の打算もなく誰かと笑い合うのって」

「えっ、あの暇潰しに一緒にやったマイティブラザーズのことッスか?」

そういえばあれ回収忘れてるッスね。取りに行かないと。

「ミッテルトさんにとっては本当に気まぐれで、誰でも良かったのかもしれません。ですが、それが嬉しくて、楽しかったんです。誰もが私を聖女の、魔女のフィルターを通してでしか見てくれなくて」

「粗雑に扱われて嬉しいとか言わないで欲しいッスよ」

「私自身を見ないのは粗雑に扱っていると思いますよ。極論、無関心なんですから」

「なるほど。それでも命をかける程ではないと思うッスよ。そのまま道連れに死んでいたかもしれないッス」

「それもまた良いのではないでしょうか?少なくとも残されて寂しくなることはないですから」

「寂しくない、か。そうッスね。寂しいのは嫌ッスね」

「はい。だから、勝手に逝こうとしないでください。ミッテルトさんが納得できたとしても私は納得できませんから。自殺だけは絶対に許しません」

「はぁ〜、普段は自分の主張をしないアーシアがここまで我を押し出したんッス。よぉござんしょ。ストレスごと相乗りで地獄を楽しむッスかね」

「地獄ですか」

「クソみたいな、他人を食い物にするような奴らがゴロゴロいる場所を地獄と言わないで何だって言うんッスかね?その分、信頼も信用もできる奴らに会える場所でもあるんッスけどね」

パラドや永夢、それにアーシア。ウチにはもったいない奴らばっかりッスよ。







「社長、ミッテルト様とお連れの方がお会いしたいと」

「此処に通せ。それとコーヒーを3人分」

「かしこまりました」

思ったよりも早い来訪に完成がギリギリ間に合っていない。後少しで完成する以上、待たせてでも今日中に渡すべきだろう。

「チーッス、色々文句とお礼参りに来たッスよ」

「遅くにすみません」

「おぅ、そっちのソファーで少し待っていてくれ。ちょっと手が離せなくてな」

秘書が持ってきたコーヒーとお茶菓子を楽しませている間に完成させる。完成した物と以前から存在している物をミッテルトに投げ渡す。

「なんすか?これ」

「バグルドライバーと今のお前の元になったプロトギリギリチャンバラガシャットだ。バグスターとしての本来の力を引き出すために使う。ゲーマドライバーとギアデュアルγはアーシアに預けておけ」

「へぇ〜、っと、そうじゃなくて、よくもアーシアを危険な目に」

「お前が宿主を決めていれば何の問題もなかった。アーシア本人に相談もされたから話した。何か異論は」

「……ないッス」

「まあ、そういうわけだ。どうやって生きていくかは二人で話し合え。ある程度はサポートしてやる。それとアーシアにもゲーマドライバーの扱い方を教えてやれ。巻き込まれることは確定だ」

「教えるのは良いッスけど、ガシャットは?」

ギアデュアルγを指差す。

「いきなりレベル50を使わせるんッスか!?」

「相性的にそれしかないな。レベル1はタドルクエスト、バンバンシューティング、爆走バイクがあるにはあるが、扱いきれると思うか?」

「この運動音痴にそんなの扱えるわけ無いっしょ」

「はぅぅ」

アーシアが胸を抑えているが、運動音痴は否定出来ないからな。あと、一度慌てると行き着く所まで行かないと止まらない。

「その点、ギアデュアルγのもう1つはドラゴナイトロードXYZ、領地とドラゴンを育てて他のロードと戦い頂点を目指すシミュレーションRPGだ。無論、ライダーも少し癖が強い。専用のガシャコンウェポン、5頭の龍型ガジェットを育てる必要がある」

「つまりその龍型ガジェットを育てれば本体は棒立ちでも問題ないと?」

「それは育て方によるだろう。タンク型に育てるのか、騎龍として足代わりにするのか、攻撃も物理寄りなのかブレス寄りなのか、サイズ調整も必要だ。その調整を手伝ってやる必要がある」

「うわぁ、素人にやらせると泣きを見る奴じゃないッスか。どれ位のタイプがあるんッスか?」

「エナジーアイテムを餌代わりに与えて、指示の仕方で性格なんかが変化する。一定以上の強力なダメージを受けると死んでまた1から育て直しだ」

「厳選までしないといけないとか勘弁してほしいッスよ。成長指数表を寄越せッス」

「残念ながら未知数としか言えないな。本気で龍を育てると考えたほうが良い」

「リアルポケモンとかクソ食らえッス。とりあえず了解ッス。デバックルームを借りるッスよ」

「一応業務扱いだからタイムカードをちゃんと切るように。残業時間もあまり長く取りすぎるな。お上がうるさいからな」

会社である以上お上には逆らえんのだ。











とりあえずデバックルームにアーシアを連れてやってきた。まずは変身の負荷を調べないことには先に進めない。

「それじゃあ、始めるッスよ」

「はい!!」

「まずはゲーマドライバーを装着するッス。腰辺りに押し当てれば自動でベルトが巻かれるッス」

「出来ました」

「次にギアデュアルγのダイヤルを左に回すッス」

『ドラゴナイトロードXYZ』

「そっち側はアーシア専用ッスからね。次にゲーマドライバー左側のスロットにガシャットを装填してレバーを右側に引っ張るッス。ウチラはノリでレベルを名乗ったり変身って叫ぶッスけど、アーシアの好きにしたら良いッスよ。ウチは段位1〜5段か50段ッスね。アーシアも名乗るなら50で名乗ると良いッスよ」

「えっと、今日の所はなしで」

『Grow up and grow up together』
「その、へ、変身!!」
『デュアルアップ!!育ち育て全てを手にしろ、ドラゴナイトロードXYZ!!』

恥ずかしいのか顔を赤らめながらレバーを引くアーシア。そのアーシアの周りをセレクトパネルが周り、最後に見たことのないライダーのパネルがアーシアの前で停まる。あのパネルって止まるものだったんッスね。普通に目押しでショートカットしてたッス。永夢なんて下の方をタッチしてパネルを上に弾いて上半身から変身する技まで持ってる位ッスから。

「それを触ればOKッス」

「はい」

アーシアがパネルに触れてスクリーンを潜ると黒を主体に金色で装飾が施されたちょっと悪役が入っている騎士姿のライダーが姿を現す。

「ふ〜む、仮面ライダーデュークはなんか不味そうなんで、マーキス、カウント、違うッスね、マーセナリーにでもしとくッスかね。マーセナリーナイトロードゲーマレベル50」

「マーセナリー?」

傭兵なんて普通は使われる言葉じゃないッスから分かんないでしょうねぇ。内緒にしとこ。

「それより、体に異変はないッスか?ヤバそうならすぐに解除するッスよ」

「いえ、特には。ちょっとピリピリするぐらいで」

外から見ると大分ノイズが走ってヤバそうなんッスけど。

「えっと、ちょっと失礼」

もう一度アーシアと同化してチェックしてみる。うぇっ!?体の崩壊と神器による回復が釣り合って表面が崩れているように見えるだけで本当に大丈夫そうだ。抗体も徐々に出来上がっているからそのうち、表面が崩れるのも落ち着くはずだ。分離して問題なしとだけ伝えておく。

「さて、仮面ライダーには特別な能力がいくつもあるッスが、共通で便利な能力としてステージセレクト機能があるッス。簡単に言えば戦いやすい異次元に引きずり込む機能ッス。腰の左側にあるスロットの横にあるボタンを押せば引きずり込みたい相手ごと異次元に取り込まれるッス。とりあえず、今回はウチを一緒に取り込んでみてくれッス」

「このボタンであってます?」

「それそれ」

アーシアがステージセレクトボタンを押してデバックルームからいつもの海岸に到着する。

「これは基本機能ッスからすぐに扱えるように練習するッスよ。周りに被害が出ないッスから。それじゃあ、少し歩いてみたりジャンプしてみたり準備運動をしておくッスよ。ウチもこいつの扱い方を覚える必要があるッスから」

パラドに渡されたバグルドライバーとガシャットを軽く振ってみせる。それに納得したのかマーセナリーは頷いて歩いたり走ったり転んだり跳ねたり転んだり起き上がろうとして波に足を取られて転んだりしている。

色々ツッコミたいけど、今は自分を優先する。バグルドライバーはベルト部分とバックル部分が分離する。バックル部分は携帯ゲーム機のような形をしている。ガシャットのスロットも1つだけあるのでここに装填すれば良いのだろうが少し違う気もする。こう、ウチのバグスターとしての本能が微妙に違うと囁いている。

ライダーシステムはそもそも対バグスターシステムだ。そもそもが違うのだろうか?バグスターとしての力を引き出すというのなら、ウィルスの数を増やす?それとも質を上げる?つまり、アーマーを着込むのではなく、この身体自体を作り変える感じッスかね?

そんでもってこのバックル部分、うん?こいつもガシャコンウェポンなんすかね?ガシャコンバグヴァイザーって名前みたいッスね。とりあえずAボタンとBボタンがこれだけ存在を主張してるし、Aボタンから。おっ、待機音声が流れ始めたってことは

「ええっと、ウィルスだから、培養!!」

ベルト部分との接続面を右腕に押し付けてみればバグヴァイザーを通して自分の体がレベルアップしていくのが分かる。

『インフェクション!!レッツゲーム!!バッドゲーム!!デッドゲーム!!ワッチャネーム!!ザ バグスター!!』

「おおぅ、本当に出来た。なんというか、普段のウチにカイデンを混ぜたような姿ッスね。おっ、翼は出せるみたいッスね」

これは便利ッスね。レベルは70前後って所。ブライよりもレベルが高いってやっぱりバグスターなんだと実感させられる。

マーセナリーと同じように体を動かしてみる。うん、ブライ以上に理想的な動きができる。ガシャコンウェポンは呼び出せないけど、自前の刀と光力での武器の生成は可能な上にバグヴァイザーがチェンソーとビームガンになるので問題なし。これならパーフェクトノックアウトにも対抗できるッスね。自分の体のことを確認した所でマーセナリーの元に飛ぶ。

「アーシア、そろそろマーセナリーの力は分かったッスか?」

「あうぅ、なんとか」

「いや、ライダーゲージが減るようなことになってる時点でダメダメにも程があるッスよ!?」

1メモリだけだがはっきりとゲージが減っている。中々の防御力があるはずなのに。そう思っていると何もしていないのにゲージが1メモリ減る。

「げっ、何かの条件で消耗ッスか!?ああ、餌ってそのままの意味も持ってやがるんッスね!!アーシア、ガシャコンウェポンって念じて」

「はい」

出現するガシャコンウェポンのパネルには5色のドラゴンが表示されている。ただし、どれもが点滅している。

「とりあえず全部選択して召喚するッスよ」

マーセナリーがパネルをタッチすると元気のない5色のガシャコンドラゴンが出現する。

「やっぱり空腹を補うためにライダーゲージを食ってるみたいっすね。ちなみにライダーゲージの残量は左胸に表示されているゲージッス。それが全てなくなるとゲームオーバー。文字通り消滅することになるッスから注意するッスよ」

「ええ!?ど、どうすれば」

「変身を解除するのが一番ッスけど、時間はまだまだ残ってるッスからこの子達の餌、エナジーアイテムを集めるッスよ。エナジーアイテムってのはそこらに転がっているものや、ステージに似つかわしくないオブジェクト、あの旗とか巻藁を壊すと出てきたりするッス。縁なら持てるッスからこれを、ほらおいでおいで」

近くに居た黄色のガシャコンドラゴンに鋼鉄化のエナジーアイテムを見せる。黄色のガシャコンドラゴンはどうして良いのか分からずにマーセナリーとウチを交互に見ている。

「アーシア、ほら許可を出してあげて」

「えっと、ミッテルトさんは友達ですから大丈夫ですよ」

マーセナリーが許可を出すとすごい勢いでエナジーアイテムにかじりつく。

「本当に食べるんですねぇ。アーシア、他の子にもエナジーアイテムを食べさせてあげるッスよ。この子はウチが面倒見るッスけど」

ある程度攻撃ができてアーシアを守れるガード屋に仕立て上げないと。エナジーアイテムを厳選していろいろと訓練させないと。他の4頭が戦えなくてもこの子だけで戦えるように。







「つまらない意地や面子で命を失うなんて馬鹿げているよ」

「全くだ。死んだら何も楽しめないのにな」

「天国も地獄もあるッスけど、単にそう呼ばれる領域があるだけッスからねぇ。コンティニューも出来ずにキャラメイクからスタートッスよ。リアルという名の人生ゲームの」

「すぐに治しますから待っていてください」

夜の学園の校庭に現れた堕天使とケルベロスの群れ。ちょっと実戦慣れしようかと連れられてきました。

「コカビエルはウチがもらうッスよ。この前は限界が来たせいで逃げるのに精一杯だったッスからね、汚名挽回ッスよ」

「ちなみに汚名挽回は色々な説がある。間違った使い方ではないから覚えておくように。ちなみに汚名は雪ぐものだから汚名を返上するも汚名を挽回するも存在しないので注意しろ。たまに一般常識問題として面接で聞かれるからな」

「馬鹿やってないで行くよ!!」

私と永夢さんがゲーマドライバーを装着し、パラドさんがギアデュアル、ミッテルトさんがガシャコンバグヴァイザーを構える。

「マックス大「「「変身!!」」」「培養!!」

『レベルマーックス!!最大級のパワフルボディ!!ダリラガン!!ダゴズバン!!マキシマムパワーX!!』
『DUAL UP! Explosion Hit! KNOCK OUT FIGHTER!』
『デュアルアップ!!育ち育て全てを手にしろ、ドラゴナイトロードXYZ!!』
『インフェクション!!レッツゲーム!!バッドゲーム!!デッドゲーム!!ワッチャネーム!!ザ バグスター!!』

「なんかウチだけぼっちになってるんッスけど」

「ゲーマドライバーは製作中だ。というか、オレの分も足りてないだろうが。予定以上にガシャットを作る羽目になったからな。何処かの誰かさんの所為でな」

「ウチが今度そいつを怒ってやるッスよ」

「馬鹿な掛け合いをやらないと生きていけないの?」

「「娯楽がないと消滅する」ッス」

ため息を付きながら永夢さん、エグゼイドさんがガシャコンキースラッシャーとガシャコンマグナムを取り出してケルベロスに銃撃を加える。

「今回はRTAなんだから急ぐ!!」

「おうよ、超協力プレイで」
「クリアしてやるッスよ!!」

「が、頑張ります!!」

「あ、アーシア、レモンの側から離れちゃ駄目ッスよ」

このマーセナリーナイトロードゲーマの力で呼び出せる5頭のドラゴンには名前をつけることになった。容量制限とかいうので6バイトしか駄目らしいのでバニラ、チョコ、イチゴ、ミント、レモンと名付けました。その中でレモンだけはミッテルトさんに私の護衛として育ててもらいました。他の子と比べて体格が大きく、既に5m近い体長を持ち、私を守るようにカンガルーのようなポケットをお腹に持っています。ポケットの中に入っているとライダーゲージやバニラ達が回復するんです。

今は必要ないのでレモンに守ってもらいながらイッセーさん達を治療する。バニラ達が頑張って運んでくれて、レモンが盾になってくれているので安心して治療ができます。仮面ライダーに変身すると神器を含めて魔力なども使えなくなるらしいのでナイトロードゲーマの力であるエフェクトチェンジで対応します。エナジーアイテムを自分に使えない代わりにその効果を弱体化した能力を使うことが出来ます。回復のエナジーアイテムをミントに拾ってきてもらい、その力でイッセーさん達を治療します。

時折ブライさん達の方を見ると、エグゼイドさんがケルベロスのしっぽを掴んで振り回したり、パラドクスさんが正面から殴り飛ばしてボウリングみたいなことになっていたり、ブライさんが光の槍の全てを切り落としていた。

全員の治療が終わり、合流しようとすると、見たことのない白い鎧の人が金色のエグゼイドさんにボロボロにされていた。








捕縛したヴァーリを幻夢コーポレーションに連れて帰り、バグスターウィルスのワクチンを打ち込んでからガワが未完成のゲーマドライバーを装着させて爆走バイクのレベル2に変身させる。まさか拘束具として使うことになるとは思ってなかった。

とりあえずこの部屋は立入禁止だな。絶対に触るなと見れば分かるように鎖でぐるぐる巻きにしてバイオハザードマークの張っておく。人工AIの試験中なので声が聞こえても無視するようにと立看板も用意しておく。これでよし。

餓鬼に現実を見せるにちょうどいい。孤独にどれだけ耐えられるかな?さあ、実験を始めようか。


 
 

 
後書き
もうこのまま百合ップルで良いよね?
アーシア✕ミッテルトかな?普段は逆でベッドではクソザコナメクジって良いよね? 
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