レーヴァティン
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第百十二話 若狭も手に入れその十二
「降った相手はな」
「許すっちゃな」
「そうする」
「言うなら信長さんや秀吉さんっちゃな」
「そうだ」
信長も実は多くの敵を許している、決して残忍な人物ではなかったことは歴史をよく調べればわかることだ。
「あの御仁はどうもな」
「やり過ぎっちゃな」
「裏切りも常だったしな」
盟約も必要とあれば平気で破ることも多々であった。
「そこまではな」
「しないっちゃな」
「そんな人間は信用されない」
絶対にという言葉だった。
「何があってもな」
「実際に元就さん敵が多かったっちゃ」
「それも当然だな」
「だから子孫は信義を守ったっちゃな」
元就自身も子や孫達に気をつける様に言ったいたとのことだ。
「恨まれていることを自覚していて」
「それも当然だしな」
「そうっちゃな、そして」
「俺は俺だからな」
毛利元就ではないからだというのだ。
「そうしたことは断じてしない」
「では降った兵達は」
「戦が終わるまでは冷や飯食いだが」
捕虜にしておくがというのだ。
「それが終わるとな」
「正式にっちゃな」
「迎え入れる」
自分達の軍勢にというのだ。
「そうする」
「そうっちゃな」
「兵達には安心しろと言っておく」
英雄自らがだ。
「危害を加えるつもりは一切ないとな」
「実際にそのつもりっちゃから」
「約束する、そしてその約束はな」
「元就公とは違って」
「守る」
絶対にというのだった。
「それはな」
「ではっちゃな」
「金ヶ崎の兵達も今は後方に送ってだ」
「然るべき場所にっちゃな」
「集めておく」
砦なり城なりにというのだ。
「ではな」
「わかったっちゃ」
愛実も頷いた、そしてだった。
実際に金ヶ崎の兵達も今は近江の方に送られてそこで一旦まとめて牢に入れられた。そうして今は英雄の言う通り冷や飯を食わせさせられたが危害は加えられなかった。これも英雄の考えによるものだった。
第百十二話 完
2018・5・1
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