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Re.IS~For the love & peace~

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1.Bの災難/新たな天才

これは日本を襲った二つ目の危機。スカイウォールの惨劇から十数年。世界にISの存在を叩きつけた白騎士事件から数年後、この物語はここから始まった。

某国の路地裏。
『まさか俺が離れている間にこんなことになっているとわなぁ。やっぱり歴史は繰り返すってことなのかね?』
白濁色の蛇が皮肉のように嘆く。すると、
「へびのおじさん」
蛇が振り替えるとそこには小さな男の子が一人立っていた。
『……どうしたんだ坊主?』
「いっしょにあそぼ?」



「‥‥モンドさん、レイモンドさん!」
 耳元で叫ばれていたのでとりあえずは起きた。どうやら机に突っ伏してねてしまったらしい。
 にしても、懐かしい夢を見たもので。
「さとり、耳元で大声を出しちゃダメだって習ったでしょ?」
「あ、ごめんなさ、って貴方が起きないからでしょ!」
 彼女は古明地さとり。俺が世話になってるところの家主だ。両親が他界し15歳ながら古明地家を支えている立派な少女だ。ISの日本代表候補にも選ばれるほどの実力者でもある。え?IS?それは後に説明しようか。
「もう、もう朝食はできてますから早く食べちゃってください。こいしももう食べてますから」
「ほいほーい」
 適当に返事しつつリビングへ向かう。
「おはよー!お兄ちゃん!」
「おはよう。こいし」
 この子はこいし。さとりの妹だ。確か、えっと、いくつ差だったかな。歳。まあいいや。
「いったい誰に説明してるのですか」
「それは言いっこなしってもんでしょ」
 え?まずツッコむとこが違うって?
 ではまず後回しにしてきたISの説明から始めようか。『無限の成層圏(インフィニット・ストラトス)』。通称IS。どこぞの天災兎が作り上げた宇宙での活動を考えたパワードスーツだ。しかし数年前の『白騎士事件』を皮切りに今までISを見向きもしなかった学会が宇宙開発ではなく兵器への運用に目を付けたのだ。
 そんなISもただの兵器だけでなくエンターテインメント競技としても発展した。先ほど出た日本代表候補というのも読んで字のごとくといってもいい。代表候補までとなるとそいつ専用のIS、所謂専用機というものが手に入る。さとりの専用機は『第三の目(サードアイ)』。読心術を可能にしたものだ。
 少し脱線したなそんな輝かしいISだが、一つだけ欠点があったのだ。実はこのIS女性しか起動できないのだ。
 そのせいで女尊男卑の風潮が助長し、一種の社会問題となっている。
 ISの説明はこんなもんだろう。
「お兄ちゃん、今日は三人で遊ぼうよ!」
「そんなこと言ってもさとりは受験シーズン真っただ中じゃないか?」
「私は推薦で早くに終わりましたから」
 そういやそうだった。流石は代表候補生殿だ。
「そんな大層なものでもありませんよ。それよりもレイモンドさんこそ今日は『nascita』のシフトの日ですよ」
 ん?…あ。そうだった。
「遅刻だなこりゃ」
「わかってるのならさっさと食べちゃってください!」
「あいよ。てことだからごめんなこいし」
「なら、お兄ちゃんと一緒に行く!」
「あ、それでいっか」
 だってあそこ客来ないし。まずいコーヒーの定評がついてしまっているのだろう。
「それじゃあみんなで遊びに行こー!」
「おー」
「……あれ?私も行くの」









日本の首都東京の路地裏ぽいところにポツリと佇む喫茶店があった。レストランカフェ『nascita』。マスターのコーヒーとたまに厨房に立つアルバイトの料理が評判な謂わば隠れ名店といわれるカフェである。
「こんちわー。惣一さん」
「おお!レイ!今日は遅刻しなかったんだな!」
「さとりに口酸っぱく言われちゃって」
この人は石動惣一。この店のマスターだ。元は宇宙飛行士で、火星にも行ったのだとか。
「戦兎さん達は?」
ん、と後ろを指す。彼の言葉を理解し奥のトイレの扉を開けるするととある倉庫へと飛んだ。そう、ここのトイレの扉は秘密があり条件満たす開け方をすると空間転移するのだ。仕組み?わかる分けねーじゃん。こんなトンデモ。
「あれ?紗羽さーん。今日は休憩ですか?」
「レイ君。久しぶり!たまにはここで涼まないとね」
 彼女は滝川紗羽。フリーのジャーナリストだ。政治家氷室玄徳、通称玄さんと恋仲のお方だ。ここの常連である。
「お久しぶりです。紗羽さん」
「久しぶりー!」
「さとりちゃんにこいしちゃん。いらっしゃい」
 そんな他愛のない会話をしていると、ブーっ!と何かを噴く音が聞こえた。
「ちょっと、何やってんのよ万丈!」
 と、怒鳴る紗羽さんが拭き取っている床には茶色い液体が。元凶である当の本人の手にはコーヒーカップが握られていた。
「ゲホッゲホ!まっず!んだこのコーヒー!誰だ入れたの!」
「あんたでしょうが!」
「おう!俺か!」
 ……万丈さん、あーた。いや、やばいツッコみたいことが多すぎる。
 万丈龍我。通称『筋肉バカ「呼ばれてねぇよ!!」』。元格闘家だが東都先端物質研究所の研究員『葛城巧』の殺害疑惑という冤罪?をかけられ「なんで疑問形なんだよ!!」東都政府に追われる身となった。のは前世?の話。前世なんかを持ち出されると何言ってんだこいつ?と言いたくなるかもしれない。俺だって思う。だが俺はそれが嘘じゃないことを知ってる。それは近々話すことになるだろう。
「で、バカ兎二人は何を?」
 聞いた瞬間にだ。まるでタイミングをうかがっていたかのように奥の区画からBON!と白煙を上げていた。
「……あの通り」
 なるほど。って、白煙すごっ!けむっ!そこの中心には二人の人物がいて、奥にもう一人いた。
「……最悪だ。また失敗か」
「ムムム。まさかこの束さんがまたまた失敗するだなんて」
 なぁにやってんだか。
「ちょっとぉ、また失敗したのぉ?もう凍結したら?」
「「いやだから燃えるんじゃないか」」
「いやいや、できるわけないでしょ。あんなシステム」
  天才バカ二人が暴走する前に俺がわって入った。
「あ、レイ君!」
 天才ならぬ天災、篠ノ之束。エプロンドレスにうさ耳という奇怪な姿をしているが、ISの基本理論の考察から実証までほとんど一人で行った自他共に認める天才なのだがその実態はシスコンで研究バカの残念な人だ。
「確かに設計図やデータは不足しているかもしれないが、そこのウサギとこの天っ才物理学者桐生戦兎に作れないものはない」
 で、このもう一人の自他共に認める天才が桐生戦兎。ライダーシステムを組み上げこの世界を作った張本人。世界を作った何て言うと(ry。
 んで、奥の人が石動美空。ここのマスターの娘さんでこの地下室に引きこもっている所謂ヒッキーである。それと同時にネットアイドルみーたんというもう一つの顔を持っている。
「そもそも、お前がこの研究に加われば万事解決なんだよ」
「それで前無理でしたよね?」
「もう昔の束さんじゃないのだよ~!」
「お兄ちゃんだってあの時悔しがって自分の部屋のホワイトボード版真っ黒になるまで色々書いてたよね~」
「あの後はくそ眠かっ、ってこいしいつの間に!?」
 やべぇ、全然気づかなかった。
「最初からいたよ~」
 えへへ、と無邪気な笑顔を浮かべているがまさか全く気配をさとらせないとわ。こいし、恐ろしい子!
 そう、俺の部屋の壁はすべてホワイトボードに変えられているのだ。あの時は普通に悔しかったから貫徹しちゃってさとりにめっちゃ怒られた。
「ま、暇ですし。実験に付き合いますか。それに俺も完成させないと気が済みませんし」
「うわー、レイ君の本音だだ漏れだー」
「それじゃ、実験を始め、「みんなテレビ見て!?」」
 戦兎さんの言葉を遮るように紗羽さんが勢いよく扉を開いた。
 顔の形相からしてただ事ではなさそうだ。
「紗羽さん。もしかしてこれ?」
 今まで沈黙を貫てきてた美空さんがスマホを紗羽さんに向けた。
「そう!これよこれ!」
 俺ら三人は紗羽さんの後ろから画面をのぞき込んだ。ちなみにこいしは背伸びしてもジャンプしても届かないため俺によじ登り肩車の体制になった。
 写していた画面はYah〇o newsみたいだ。そこの記事の見出しを見て驚愕を隠せなかった。
 そこには、


 『世界初のIS男性操縦者現る』と書かれていた。
「「は?」」
 さすがの天才二人も間抜けた顔をしていた。そして俺は、
「……最悪だ」
 恩師の口癖が思わず出てしまった。 
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