ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第七幕その十一
「色々食べたくなるね」
「うん、冬の葡萄とかね」
「そうした風に出来るから」
「ビニールハウスはいいんだね」
「そうだよ、何かの漫画でビニールハウスで採れたお野菜の栄養素が少ないとか主張していたけれど」
「それは間違いだね」
「その漫画はあまりにも酷いから」
もう全体がというのです。
「はっきり言えばおかしな運動家の主張ばかりで」
「それでだね」
「自然食崇拝が強過ぎて、というか」
どうにもというお顔で言う先生でした。
「反文明、反資本主義、反企業とね」
「何か反ばかりだね」
「そんな主張でね」
「酷いんだね」
「それでビニールハウスで採れた野菜の栄養素が低いとか。前にも話したと思うけれど」
「その季節や土壌や気候のことを考慮して」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「数字を観ないといけないね」
「何処で採れたかね」
「見ないとだね」
「さもないとね」
それこそというのです。
「危険だよ、何でも鵜呑みにしたらいけないけれど」
「その漫画は」
「特にね」
「鵜呑みにしたらいけないね」
「むしろ絶対に信じてはいけない」
その主張はというのです。
「そうした漫画だよ」
「随分なんだね」
「ビニールハウスがどれだけ素晴らしいものか」
農業や食事においてというのです。
「そのことを理解しないとね」
「駄目だよね」
「本当にね、それでお話を戻して」
「冬の花火はだね」
「今じゃ向日葵とかになると思ったけれど」
それはと言うのでした。
「また違うかな」
「今じゃ冬でも向日葵も朝顔も咲くからね、ただ冬の日本に合うか」
向日葵や朝顔はというのです。
「それはね」
「どうとも言えないから」
「やっぱりこっちかな」
「冬の朝顔か向日葵だね」
「今言うとね」
そうなるのではと言う先生でした、そうして今は太宰の新ハムレットを読んで次の論文に備えるのでした。
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