レーヴァティン
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第百十一話 都からその十二
「関西を手中に収めたらね」
「別の地域に進出する」
「東海にも北陸にも」
「その両方への拠点としてな」
その為にというのだ。
「安土に城を築いてな」
「都の東を護る為にも」
「備えたい」
「いいわね、やっぱりお城は必要よ」
「基地としてな」
「そこを拠点として治めることも出来るし」
「余計にだ」
「いいから」
「それでだ」
さらに言うのだった。
「近江を手に入れたならな」
「安土ね」
「越前も若狭も平定してな」
「その後でなのね」
「城を築く」
安土にというのだ。
「そうしたい」
「そしてその天守閣、いや」
奈央は自分が言ったその言葉を訂正して言った。
「天主閣ね」
「安土城についてはな」
「それはあの天主閣ね」
「そうだ、五層七階のな」
これ自体は大坂城と同じだ。
「しかしな」
「あのお城と違って」
「青瓦に朱、金箔も使ってな」
「豪奢なものにする」
「そしてだ」
英雄はさらに言った。
「城全体もな」
「巨大なものにするわね」
「美濃、北陸攻めの為にな」
そして都の守りとしてもだ。
「山全体を使ってもしてな」
「いいことね、ではその為にも」
「琵琶湖も使ってな」
その水運をというのだ。
「そうしてだ」
「近江を攻めてそうして」
「掌握する」
この国の全てをというのだ。
「そして比叡山もな」
「やがてはね」
「降ってもらう」
その様にしてもらうというのだ。
「近いうちにな」
「じゃあね」
「水軍も使っての近江攻めだ」
英雄は再びこう言った、そして実際に水軍を使い近江の各地を陸路と共に攻めだした、この攻勢にだった。
近江の諸城は次々と攻められ降ってだった。
「佐和山城もか」
「今降りました」
旗本が英雄に伝えた。
「今しがた、そしてです」
「観音寺城もだな」
「今は殆ど兵がおらず」
それでというのだ。
「そのこともあり」
「降ったか」
「そうなりました」
「そうか、ならだ」
観音寺城が降ったならとだ、英雄は述べた。
「近江攻めの拠点はな」
「観音寺城にですね」
「置く」
そうするというのだ。
「そしてだ」
「近江攻めを続けていく」
その様にするというのだ。
「陸と湖からな」
「そしてそのうえで」
「楽に攻める、しかもな」
倭雄はさらに言った。
「美濃との境もな」
「抑えるのですね」
「あちらも抑えてだ」
そしてというのだ。
「美濃の勢力からの介入も防ぎ」
「後日の美濃攻めに対しての備えも」
「していく」
このことも考えてというのだ。
「ではな」
「はい、これからですね」
「俺達は観音寺城に入る」
主力の軍勢を連れてというのだ。
「そして都、伊賀からの道を使ってな」
「補給も行って」
「そうしていってだ」
「勝ちますね」
「近江でもな」
こう言ってだった、英雄は仲間達と共に軍勢の主力を率いて観音寺城に入った。そうしてその城を近江攻めの拠点としてことをさらに進めるのだった。
第百十一話 完
2019・4・23
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