おっちょこちょいのかよちゃん
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9 交差する組織同士
前書き
《前回》
かよ子と冬田は最近秘密があるらしい大野、杉山、ブー太郎、まる子の謎を知ろうと追跡している途中、平和維持の為に動いているという異世界の女性・フローレンスと出会う。フローレンスは二人に無駄な争いが起こる可能性があると悟る。そして杉山達が造った秘密基地の事を知ると、別の少年少女の四人組がその秘密基地を乗っ取ってしまった。
濃藤すみ子。小学三年生の女子である。彼女は何日か前の謎の地震もどきの現象以来、日本で何らかの事件が起きるニュースを耳にしており、とても気持ちが落ち着かなくなってしまった。
ある日、すみ子は同級生の山口芳弘、川村承太、ヤス太郎こと安田太郎の三人と下校していた。
「すみ子、きっと何ともねえよ!」
「ああ、お前自身にに何か危害が及ぶわけじゃねえんだ。元気だせよ」
「そうでやんす!何かあったら山口君と川村君が守ってくれるでやんす」
「おい、ヤス太郎、俺達を当てにすんなよ!」
ヤス太郎は山口に突っ込まれた。
「でも、お二人は最強コンビでやんす・・・」
「ありがとう、みんな・・・」
下校中、一人の人物と遭遇した。その人物は茶髪の若い男性だった。
「そこの君達・・・」
「な、なんだ、お前は!?」
「私はイマヌエル。異世界から来た者だよ。君達はこの前の地震のような現象を覚えているかい?」
「え・・・?は、はい・・・!覚えてます・・・!」
すみ子は返答した。
「それで最近、胸騒ぎが止まらないんです。何だか大変な事が起きるような気がして」
「そうか、君のその異変は正に偶然でも気のせいでもないのは事実だよ。今この日本は危機に陥っている。違う世界からの者が攻め始めて来ている」
「違う世界・・・?」
「そうだよ。あの地震もどきは他の世界とのぶつかりあいなのだよ」
最初は馬鹿馬鹿しいと思っていた山口、川村、ヤス太郎の三人も息を呑んで真剣に聞いていた。
「私は平和をモットーとする世界から来てこの世界の平和を維持しようと動いているのだよ。君達にだってできる事はあるのだよ」
「オイラたちに何ができるでやんすか?」
「それはだね・・・」
イマヌエルは高台の方角を指差した。
「向こうの高台から広々とした景色が見える。そこに君らが戦える為のアイテムが見つかるよ」
「それで俺達は立ち向かえるのか?」
川村が質問した。
「ああ、君らは十分に力になれるよ」
イマヌエルはそう言って消えていった。すみ子達は高台へ向かった。そこには手作りの基地があり、そこにイマヌエルが告げたこの世を守る為のアイテムはあった。そして四人はその基地を自分らの根城にし、組織「義元」を結成した。
かよ子は葛藤の中にいた。好きな男子が冬田にフローレンスと確認した四人組の少年少女と喧嘩して欲しくないと思い、止めたいのだが、秘密を知って杉山から嫌われるのも怖かった。
(どうすればいいのかな・・・?)
フローレンスは高台の基地を遠くの場所から見る。
(確かにあの基地、よくできたものですわ・・・)
その時、別の人物が現れ、彼女声を掛けてきた。
「フローレンスか。そこで何をしているんだ?」
「イマヌエル・・・。私はこの世界、特にこの日本に大きな災いが起き始めていますので少し胸騒ぎが起きていますの。貴方こそ何をなされておいでですか?」
「私も君と同じだよ。それで心が落ち着かぬ少女を見て災いを抑える為の道具を高台に置き、授けたのだよ」
「そうですか、その子達が争いを起こさなければ良いのですが・・・」
「どういう意味だ?」
「その子達がその高台にある基地を乗っ取って喧嘩を始める可能性がありますの」
「何?まさか・・・」
「次郎長」の構成員、大野、杉山、ブー太郎、まる子の四人は集合していた。
「全く、許せねえぜ!」
「あの山口、川村、ヤス太郎、すみ子って何者なんだブー?」
「兎に角、今日もすぐに基地へ向かうぞ!」
杉山は提案した。皆も「うん!」と頷いた。その様子を遠くからかよ子と冬田は見ていた。
「山田さあん、大野君達あの基地に行くわよお、私達も行きましょう!」
「う、うん、バレないようにね・・・!!」
(お願い、杉山君・・・。秘密基地の事は死ぬほど謝るけど、喧嘩なんかしないで・・・!!)
かよ子は迷い続けた。
大野、杉山、ブー太郎、まる子の四人は秘密基地のある高台に向かう。かよ子と冬田も見つからないように尾行した。
そして例の高台の秘密基地に到着した。そこには既に別の四人組がいた。杉山達も当然食って掛かる。
「おい、おめえら!!」
「ああ?」
四人組の一人の男子が返事した。
「お前ら、俺達の基地で何やってんだ!?」
「降りてこいブー!」
「アンタ達、こんな事やっていいと思ってんのお!?」
「次郎長」の面々が吠える。しかし、相手の四人も吠え返す。
「うるせえな、ここはもう俺達の基地なんだよ!」
「おい。お前ら大野と杉山だろ?」
「な、なんで俺達の事知ってんだあ!?」
杉山が動揺した。
「お前ら最強コンビは俺達の町でも有名だからな!だが、俺山口と・・・」
「この川村はお前ら最強を超える無敵コンビだ!」
「何が無敵だブー!大野君と杉山君がずっと強いブー!」
大野と杉山を慕うブー太郎が反論した。
「なんでやんすか、『ブー』って。お前、面白いでやんす」
小柄な男子がブー太郎を面白がった。
「何だとブー!」
ブー太郎は「~でやんす」という男子に激昂した。
「降りてこないなら俺達が降ろさせるぜ!」
大野は四人を引き摺り降ろそうと基地に近づいた。
「そうはさせるか!ヤス太郎、やれ!」
山口はヤス太郎に命じた。
「了解でやんす」
ヤス太郎はパチンコを出して大野の横を狙撃した。煙が巻き上がる。「次郎長」の四人はは周囲が見えなくなった。冬田は「大野くうん!」と叫ぼうとしたが、かよ子に口を抑えられ、阻止された。
「くそっ、前が見えねえ!」
「お前ら『次郎長』なんてグループ名結成したようだがよお、『次郎長』なんて弱えんだよ!俺達のグループ名は『義元』だぜ!」
「何さ、『ヨシモト』なんて、そんなお笑いの事務所みたいな名前のどこが強いのさあ!?」
まる子が川村に反論した。
「『吉本新喜劇』の『吉本』じゃねえ!戦国武将・今川義元の『義元』だ!この!」
川村はバズーカを発砲した。杉山君は吹き飛ばされる。
「このバズーカは突風を引き起こせるんだぜ!山口、やれ!」
「おう!俺の矢は破壊力高いぜ!」
山口は弓矢を持ち、矢を放った。四人は逃げようとするも、ブー太郎の背中に矢が刺さった。ブー太郎は体全体の痺れを感じた。
「ブー太郎!大丈夫か!?」
「う、動けないブー・・・」
大野は矢を抜き、杉山と共にブー太郎を抱える。「次郎長」は一旦退散した。
(す、杉山君達が造った基地が・・・)
傍観していたかよ子は体が震えていた。
「お、大野君達の基地をお・・・。それにあんな乱暴してえ・・・」
冬田は我慢できずに飛び出した。
後書き
次回は・・・
「守りたい清水市」
山口、川村、ヤス太郎、すみ子によって結成された組織「義元」。かよ子は「義元」の構成員・すみ子から「次郎長」の基地を乗っ取った理由を知る。そして次の課題は・・・。
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