ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第六幕その九
「そうなればね」
「先生は幸せになれるから」
「ひょっとしてその人は」
ポリネシアはあえてこう言いました。
「既にいるのかも」
「しかも先生の身近に」
ガブガブは核心を指摘しました。
「もういるかもね」
「先生みたいないい人いないわよ」
ダブダブは先生の人格からお話します。
「他にね」
「まず言うけれど先生はもてる」
ホワイティは断言しました。
「実はね」
「そのことをわかってくれないから」
どうにもとです、トートーもどうかとなっています。
「僕達もいつもやれやれだよ」
「実はイギリスにいた時からだったしね」
老馬もちゃんと見ていたし見ているのです。
「先生は女性からも人気あったしね」
「先生、人間は性格だよ」
「やっぱりお顔やスタイルじゃないよ」
オシツオサレツも指摘します。
「先生はこれ以上はない人格者だから」
「しかも紳士だからね」
「僕達にも誰にも公平で優しいんだよ」
それならと言うジップでした。
「わかる人はわかるからね」
「その者達の言う通りじゃ」
お姫様がまた言います、これまでよりも強いお声です。
「先生はもっとこのことについて自信を持つべきじゃ」
「持てるとですか」
「そうじゃ」
その通りというのです。
「確かなのう」
「そうだといいですが」
「とにかく自信を持つとな」
それでというのです。
「また違うからな」
「僕はもてると」
「本当に大事なのは人格じゃ」
動物の皆が言う通りにというのです。
「性根の悪い奴とは一緒におられぬ」
「それはそうですが」
「それなら先生はじゃ」
「もてますか」
「うむ」
その通りだというのです。
「そして良縁にも恵まれてな」
「結婚もですか」
「必ず素晴らしいものが出来るぞ」
「そうだといいですが」
「わらわは兵庫の妖怪の総大将じゃ」
だからだというのです。
「その誇りにかけて嘘は言わぬ」
「それで僕の顔にはですか」
「良縁の相も出ておる」
「先生が苦手なのってスポーツ位かな」
「そうだよね」
トミーは王子の言葉に頷きました。
「確かに運動は苦手だね」
「いつもよく歩いて足腰はしっかりしてるけれどね」
「スポーツはね」
「何も出来ないね」
「老馬だから乗れるけれど」
「他の馬には乗れないし」
とにかく運動も不得手というのです。
「そのことはあるけれど」
「けれどね」
「先生の人格だとね」
「もてない筈がないから」
「お顔やスタイルのことを言うけれど」
「そんなに悪くないから」
お顔やスタイルもというのです。
「普通だよね」
「多少太めという位で」
「人相はこの上なくよいぞ」
お姫様はそこから指摘します。
「穏やかさと優しさがわかる」
「そうですか」
「うむ、それでじゃ」
それ故にというのです。
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