レーヴァティン
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第百十話 都に移りその九
「都に攻め入ることはであります」
「出来ないな」
「やはり険しい山が連なっているせいで」
それでというのだ。
「どうしてもであります」
「山城には来られないな」
「若狭で獲れた魚は」
甘鯛や鯖等である。
「近江の西を通ってであります」
「都に運ばれるな」
「明石からとは別の道であります」
こちらは播磨にある、都はこの浮島でもこの二つの場所から海の幸を仕入れているのだ。しかもこの世界は氷の術を使ってのものや練丹術の氷を使ったもの等の冷凍技術があるので都でも新鮮な生ものが食べられる。
「そこを使ってであります」
「魚を運んでな」
「そしてであります」
そのうえでというのだ。
「お魚を仕入れているので」
「その道を俺達も使ってか」
「若狭に入るであります」
そうなるというのだ。
「必然的に」
「そうだな、ではな」
「それではでありますな」
「若狭を攻めることは焦らない」
「まずはでありますな」
「近江だ」
何につけてもこの国だというのだ。
「今から攻め取ろう」
「わかったであります」
「戦ってな、あと魚の話が出たからな」
「お魚もでありますな」
「食いたくなった」
こうも言うのだった。
「どうもな」
「それならたい」
今度は香織が言ってきた。
「今から食べるたい」
「今夜はか」
「そうたい、今夜はたい」
「魚を食うか」
「お刺身か天婦羅か」
香織は実際に料理を話に出した。
「それかお鍋たい」
「鍋か」
「そうたい」
そうしたものをというのだ。
「食べてたい、お酒もとよ」
「そちらもだな」
「食べるたい」
こう言うのだった。
「今夜はたい」
「魚を食いたいならだな」
「今から出撃たいが」
「まだ摂津を出ないからな」
「凍らせずとも」
それでもというのだ。
「食べられるとよ」
「そうだな、ではな」
「今夜はお魚たいな」
「全軍な」
「全軍たいか」
「鍋だ」
この料理にするというのだ。
「これからの進軍で体力も使うしな」
「それで余計にたいな」
「鍋にしてな」
「力をつけるたいな」
「鍋に魚だけでなく野菜もふんだんに入れてだ」
その様にしてというのだ。
「食う、全軍な」
「そこでうち等だけとは言わんとね」
「大将も兵も関係ない」
英雄は香織に毅然とした声で答えた。
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