レーヴァティン
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第百十話 都に移りその六
「ここはな」
「それでだが」
幸正も英雄に言ってきた、彼がここで言うことはというと。
「近江という国は一つ特徴がある」
「琵琶湖だな」
「そうだ、あの湖がある」
「国の中央にな」
「あの国のかなりの部分を占めている」
英雄にこのことを言うのだった。
「だからだ」
「あの湖をどう使うかだな」
「琵琶湖を使えばだ」
その水運をというのだ。
「あの国のあらゆるところを攻められる」
「では水軍をか」
「この大坂から琵琶湖はつながっている」
幸正は英雄にこのことも話した。
「淀川でな」
「あの川を上ってか」
「琵琶湖に進める、また都へものを運ぶにしてもな」
「俺達は船を使って行っているな」
「それと同じだ、淀川は大きな川だ」
このこともあるというのだ。
「ものを運びやすい」
「大きな船も動かせるからな」
「だからだ、琵琶湖にだ」
「水軍を入れるか」
「ああ、相手は水軍持ってへんで」
耕平がこの情報を述べた。
「琵琶湖にはな」
「そうした発想はないか」
「越前や若狭には持っててもな」
「琵琶湖に水軍を置く様なことはか」
「考えもしてへんな」
「そうか、ならな」
「この大坂からやな」
「淀川を上がらせてだ」
そのうえでとだ、英雄は耕平にも答えた。
「そしてだ」
「琵琶湖に入れるな」
「そしてその水軍を使ってだ」
そのうえでというのだ。
「琵琶湖を制してだ」
「そこからやな」
「近江の各地を攻めていく」
「そこからもやな」
「そうすればな」
水軍も使えばというのだ。
「確かに楽だ」
「逆に敵がそうしてくるとな」
幸正がまた言ってきた。
「耕平の話だとないが」
「それでもだな」
「厄介だ」
「そうだな、そして敵が行えば厄介なことをな」
「我等がしてだ」
そうしてというのだ。
「勝つのだ」
「近江を制するな」
「そうだ、ではまずはな」
「出陣の用意だな」
「讃岐と阿波も掌握していきながらな」
こちらも順調に進んでいた、そしてだった。
英雄はいざ出陣の時になって吉報を聞いた、その吉報はというと。
「そうか、讃岐も阿波もか」
「はい、完全にです」
報をする旗本が英雄に話した、
「我等の手に落ちました」
「そうなったか」
「先程の報によれば」
「それは何よりだ、ではだ」
「棟梁達はですか」
「これより出陣する」
こうその旗本に答えた。
「近江に向けてな」
「そうされますか」
「そしてだ」
英雄はさらに話した。
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