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レーヴァティン

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第百十話 都に移りその四

「最初からだ」
「戦いませんか」
「それで終わるならこの世界を救えるか」
 神罰、仏罰を受けてそうなるならともだ、英雄は言い切った。
「だからだ」
「退かれないですか」
「寺社との戦いもな」
「そして比叡山に対しても」
「間違ってもな」
「退かれずですか」
「戦い、そして勝つ」 
 戦うからにはというのだ。
「やはり戦わないに越したことはないがな」
「それでも戦うのならですね」
「寺社に対してもな、では比叡山に使者を送ろう」
「それでは」
 こうしてだった、英雄は使者を比叡山にも送った、都への出陣前であったが使者はそれよりも早くに送った。その返事は。
「そうか、王都守護を理由にしてか」
「はい、どちらにもつかぬとのことですが」
「こちらには降らないか」
「そうした返事でした」
 比叡山の使者に出ていた僧侶が英雄に大坂城の御殿の中で堪えた。
「その様な」
「そうか、ではな」
「それではですか」
「中立なら今はいいが」
「それでもですね」
「まずは近江を手に入れてからだ」
 それからと言うのだった。
「人をあらためて送ってだ」
「そのうえで」
「再び降る様に言おう」
「そうされますか」
「噂も流してな」
「噂、となるとっちゃな」
 ここで愛実が言ってきた。
「こちらの噂をっちゃな」
「そうだ、俺は敵には容赦しない」
「そうした噂を流すっちゃな」
「そうだ、歯向かった相手は誰であろうとな」
 その噂がどういったものかと話すのだった。
「徹底的に滅ぼす」
「それで比叡山もっちゃな」
「何処かの名刹を焼いたとでも広めればいい」
「比叡山に匹敵するお寺をっちゃか」
「それは神社でもいい」
 寺に限らずというのだ。
「燃やし尽くして殺し尽くした」
「そうした人間だとっちゃ」
「そうだ、その噂を比叡山の方にしきりに流す」
「そうすればっちゃな」
「俺と戦うとな」 
 現実はどうであれというのだ。
「そうなることをな」
「広めるっちゃか」
「そうしてだ」
「降らせるっちゃな」
「話を広めるのはあの辺りだけでいい」
 比叡山とその周辺でというのだ。
「しかししきりに流す」
「その噂を」
「徹底的にな、そしてだ」
 そうしてというのだ。
「比叡山を恐れさせる、しかしな」
「降ればっちゃな」
「何もされないこともな」
「広めるっちゃな」
「そうしてだ」
「降らせるっちゃか」
「そうだ、鳴かぬならだ」
 それならとだ、英雄はさらに言った。
「鳴かせてやろうだ」
「秀吉さんっちゃな」
「織田信長も徳川家康も実際はそうだった」
 信長は殺してしまえ、家康は鳴くまで待とうとなっているが実際のところでそうであったと言っていい。それが駄目な時に三人共戦になったのだ。 
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