ある晴れた日に
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471部分:夕星の歌その十一
夕星の歌その十一
「それでもあれはね」
「何か必死を通り越して」
「何なのかしらね、本当に」
皆先程の春華と同じ様に首を右に傾けさせてしまった。
「興味深くはあるけれど」
「コンクールとかに応募、って可能性もあるけれどな」
「多分違うわ」
今の野本の言葉は恵美によって打ち消された。
「それでもあそこまではならないわ」
「そうか」
「じゃあそれよりも真剣になれるもの」
霧生は自然にその顎に右手を当てて考える顔になっていた。
「何なんだろうね、だとすると」
「今も様子見みたいね」
恵美はここでもそれしかないと皆に告げた。
「また、だけれど」
「全く。まだるっこしいな」
「最近そんなのばかりね」
皆そのことにやや不満も感じだし覚えだしていた。やはり何事も早いうちにすっきりとさせてしまいたいと考えるのが人情というものである。
「全く以って」
「どうしたものかしら」
「まあとにかくよ」
その皆に対してまた言う恵美だった。
「今はあいつはある程度そっとしておきましょう」
「そっとね」
「それが一番か」
皆あらためて正道のその背中を見て言い合う。彼は相変わらずギターを手にして自分の机に座りそこで作詞作曲に没頭している。
「それにな。今のあいつはな」
「そうよね。言えないわよね」
「声をかけることは」
できないというのだった。
「ちょっと以上に」
「これは」
「それもあるわ」
実際にそれもだという恵美だった。
「だからこそよ」
「そう。それじゃあ」
「ここは」
「さて、今夜だけれど」
明日夢が口を開いてきた。
「どうするの?それで」
「それでって?」
「今夜?」
「そうよ。スタープラチナに来るんでしょ?」
こう皆に問うのであった。
「確か」
「ええ、そうよ」
「それはね」
皆すぐにこう返した。その予定だったのである。
「それじゃあ今夜は」
「スタープラチナで騒ぎましょう」
「それでだけれど」
ここで少し言う明日夢だった。
「一つ注意しておきたいことがあるんだけれど」
「一つ?」
「何だよそれ」
「先生達に注意して」
少し警戒とそれと共に警戒を促す目を皆に向けての言葉だった。
「くれぐれもね」
「先生達って」
「江夏先生と田淵先生のこと?」
「そうなのよ。最近結構白鯨に来るのよ」
このことを皆に話すのだった。
「ほら、二階がスタープラチナで三階が白鯨でしょ」
「ええ、確かに」
「階段とエレベーターで移動するけれど」
「だからよ」
また言う明日夢だった。
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