灼熱のレゲエ

　マルタはインファンテと向かい合ってすぐに料理を注文した、山羊肉のカレーであるカリーゴートに肉料理としてジャークチキン、魚料理にアキーアンドドルトフィッシュにスペイン風の魚のマリネカリブ海の魚をそう調理したエスカベシュにジャマイカンバティそしてデザートにサトウキビをそのまま注文した。酒はモスコミュールをデキャンタで飲んだ傍から注文することにして実際に二人でそうした。
　ことを無事に終えたことに乾杯して飲んで食べた、それが丁度いい具合になってきた時にマルタの手にあるものが宿り彼女の心に語り掛けてくる声があった。マルタはインファンテにその声の言葉を話した。
「これは薬で」
「瓶詰のやな」
「はい、人魚の涙です」
　ガラスの様な透明な瓶の中にある青い液体を見つつインファンテに話した。
「尽きることがなく飲めば気力を全快させてくれる」
「体力やなくてやな」
「はい、気力です」
　こちらをというのだ。
「これで術を無制限にです」
「使えるんやな」
「この瓶も壊れないので」
「落としたりしてもやな」
「はい、魔法のガラスで出来ているので」
　だからだというのだ。
「このことも安心していいとのことです」
「成程な」
「そしてです」
　マルタはさらに話した、自分の心の中に語り掛けてくる言葉を。
「私自身実感もしていますが」
「何かあったか」
「神託を乗り越えて全体的に一回り強くなりました」
　自分自身はそうなったというのだ。
「有り難いことに」
「そうか、そうなったか」
「はい、新しい神具が手に入っただけでなく」
「それは何よりやな」
「ではですね」
　カレーの中の山羊肉を食べつつだった、マルタはインファンテに言った。
「食べて飲んだら」
「その後はな」
「次の場所に向かいましょう」
　こう言うのだった。
「そうしましょう」
「ほなまずはな」
「ここにあるものを楽しみましょう」
　こう言ってだった、マルタは自分から美味いものを飲んで食べた。今度はエスカベシュを食べて言った。
「美味しいですしね」
「この味がええな」
　インファンテも同意だった、ただ彼は今は食べておらずモスコミュールを飲んでその味と酔いを楽しんでいる。
「ほんまに」
「ですからまずは楽しみましょう」
　今度はマルタもモスコミュールを飲んだ、酒はインファンテが美味そうに飲んでいるだけあって彼女が飲んでも美味かった。飲みつつこの世界を救う為に次に行くべき場所のことに思いを馳せるのだった。その耳には店の中で店員がサービスで歌っているレゲエが入っていた。そのレゲエも実にいいものだった。灼熱の冒険を終えた者達にとっては尚更。


灼熱のレゲエ　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１９・６・２３