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灼熱のレゲエ

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第一章

                灼熱のレゲエ
 マルタ=マッケイとエンリケ=インファンテの二人は今はマルタの神託でジャマイカのキングストンに来ていた、街はレゲエが聞こえていたが。
 マルタはキングストンの西に見える火山が噴火しているのを見てインファンテに対して苦い顔で話した。
「この世界のジャマイカにはあの火山がありますが」
「確かあの火山はずっと」
「休火山でした」
「噴火してなかったな」
「噴火する気配なぞ最近まで」
 それこそだったというのだ。
「なかったのですが」
「それがやな」
「最近結構です」
「噴火しててやな」
「嫌になります」
「若しもや」
 インファンテもその火山を見た、標高千五百メートル程のその火山は噴火したばかりで今は噴火口から煙を出しているだけだ。噴火自体も小さなものだった。 
 だが噴火は噴火でだ、彼も言ったのだ。
「大きな噴火やとな」
「このキングストンはおろか」
「ジャマイカ全体がな」
「大変なことになりかねないので」
 それ故にというのだ。
「収まって欲しいですが」
「そうやな」
「本当に急になんですよ」
「噴火しだしたんやな」
「二十日に一回の割合で」
「多いな」
「流石に桜島程ではないですが」
 この世界の日本の鹿児島にもこの火山は存在している、そうして毎日の様に噴火して火山灰を吐き出している。
「それでも多いので」
「民も不安に思ってるな」
「はい、ですから」
「収まって欲しいな」
「心からそう思っています」
 こうインファンテに言いつつ今はキングストンの街を歩いていた、底抜けに明るく親しみやすいジャマイカ人達の笑顔からレゲエが聞こえている。実に気持ちのいい街である。その街中を歩きつつだった。
 マルタはインファンテと共に二人でマルタの神託を探す為に冒険者と身分を偽ってキングストンのギルドに入ろうとした、だが。
 ギルドの入り口に一人の若い小人の男が立っていてだった。二人を見るとこう言ってきた。
「マッケイさん、それにインファンテさんですね」
「違うと言っても」
「私はキングストン市役所の者です」
 即ち官吏だというのだ。
「ジン=ジェイといいます」
「役所から仕事のお話かいな」
「左様です」
 小人の役人はインファンテの問いに答えた、種族が小人なので二人を見上げてそのうえで言ってきている。
「実はお二方が来られたことは知っていまして」
「連絡はしていないですが」
 マルタは役人の言葉に首を傾げさせた、派手な柄の開襟シャツにズボンという南国の役所の格好の彼のそれに。
「私達は」
「実は危急の用で都に対応をお願いしますと」
「私達がこちらにすぐに来られると」
「日本の都から返答が来たのですね」
「貝殻を通じて」
 これで連絡が来てというのだ。
「それで、でした」
「そうでしたか」
「副宰相の太宰さんから」
 都の留守を預かる彼からというのだ。
「直々にお話がありまして」
「あの方からですね」
「はい、お二方に助けてもらう様にと」
「それでは」
「詳しいことは市役所でお話して宜しいでしょうか」
「はい」
 マルタは役人の問いにすぐに答えた。 
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