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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百二十二話

夏休みに入ってすぐのこと。

現在俺はここ数年で最も危機的状況に置かれているっ…‼

場所は阿良々木家の暦さんの部屋っ!

そして目の前には……。

「覚悟は良いかな? ユートピア・クイーンパラドクス・グリップアンドブレイクダウンさん?」

めっさいい笑顔でマタタビスプレーを構えている羽川翼さんっ…‼

少々遡る。








貝木の件で箒も呼ばれたらしく、今日は阿良々木家に来ていた。

千石も来て女子五人でかしましくやっている間、俺と暦さんはポーカーで遊んでいた。

それも吸血鬼の能力全開で。

何が言いたいかって言うと、互いの手札がわかっているポーカーだ。

暦さんは吸血鬼の視力を使い、各所に写り込む俺の札を見ていた。

俺も吸血鬼の視力+橙を憑けた事で向上した視力を使っている。

バフの量では俺が勝っている。

メティス・サイトを使わないのはフェアプレイ(笑)のためだ。

思えば、途中で暦さんが何度か席を立ってたんだよなぁ。

それでついさっきの事だ。

暦さんが何故かロープを持って来た。

「ごめん一夏君!」

どこで覚えたんだと言いたくなるような手付きで縛られた。

「Why?」

その疑問は、部屋に入ってきた人物を見たことで理解した。

「久しぶりだね。ユートピア・クイーンパラドクス・グリップアンドブレイクダウンさん」

伸ばしていた黒髪を切り、メガネからコンタクトに切り替えた事で違った印象を受ける。

「や、やぁこんにちは羽川翼さん。
貴方の彼氏に縛られて転がされてる織斑一夏です。
どうぞよろしく。猫耳については障り猫みたいな害のあるやつじゃないから安心して」

「うん。よろしく」

一応、聞いておこうかな。

「あのー。これ外して貰えませんか?」

「え? 嫌だよ」

「やっぱりアンタの指示か‼」

「うん。阿良々木君に御願いしてたんだ。
猫耳の一夏君が家に来たら私に知らせて引き留めておいて欲しいってさ」

「な、なんのために?」

「何でだと思う?」

羽川翼が目の前で正座する。

「パンツ見えそうだから正面に座らないで欲しいんですが」

「大丈夫。体操服着てるから」

「じゃぁ見るよ? 見ていいの? 体操服の隙間から羽川さんのおパンツ様がお見えしちゃうよ? いいの? 暦さん的にどうなの?」

「思う所はあるけど、羽川がそうなったら止まらないから何も言わないよ」

「早速尻に敷かれてるようで何より」

羽川翼が転がされている俺の目の前にコン! と円筒を置いた。

「見覚え、あるよね?」

「えーと………」

それはつばさキャットの後に暦さんに振りかけたスプレーだった。

「弁明は?」

「面白そうだったからやった。反省も後悔もしてない」

「………………………………」

「貴女だって暦さんに甘えられて嬉しかったでしょ? ね?」

「………………………………………」

無言で羽川翼がバッグから別の缶を取り出した。

それは通販で買えるスプレーだ。

そのスプレーのトリガーに羽川翼が指をかける。

「覚悟は良いかな? ユートピア・クイーンパラドクス・グリップアンドブレイクダウンさん?」

「は、はは、ははは、はははは、ははははは。
いいぜやってみろよ。アンタがトリガーを引いて中身が俺に届く前にアンタの中の猫をアクティベートしてから魔法で暦さんにマタタビスプレーの原液ぶっかけてやるぜ」

「そう?」

羽川翼がハンカチを口元に当て、それだけだもなおわかる嬉しそうな笑みを浮かべて言った。

「ぷしゅー」

可愛いなオイ。

この後羽川翼の<猫>をアクティベートして暦さんの頭から量子展開したマタタビ液をかけたが、そこで俺の意識は途切れた。

side out









スプレーを散布した後、翼は息を止めて窓を開けた。

「阿良々木君。シャワーを浴びて別の服に着替えてきて」

くぐもった声の指示に従って、暦は速攻でシャワーを浴びて着替えてきた。

「うんうん。大丈夫そうだね」

部屋に戻った暦が見たのは、スマホのカメラをセットして一夏の前で猫じゃらしを振る翼だった。

「何してるんだ羽川?」

「んー。取り敢えずの報復かな」

翼が猫じゃらしを振る度に一夏の視線が動く。

縛られているので動けないのだ。

「んー。面白くないなー」

翼が追加で取り出したロープで一夏の足を縛り、そのロープを胴体にも巻き付ける。

「これで最初ロープを外しても……」

一夏が自由になった手で猫じゃらしを取ろうとしたが、届かなかった。

「みゃぁー……」

「ふっふっふ…この動画を千石ちゃんに渡して18禁BLイラストに仕立てて貰ってばらまかせないとっ!」

「羽川? それはやり過ぎじゃぁ…」

「何か言ったかな阿良々木君?」

振り向いた翼の目はマジだった。

「あと戦場ヶ原さんと神原さんにも送らなきゃ……。
私は一週間猫撫で声でからかわれた事を忘れてなんかいないっ」

「何だろう。僕の彼女が黒すぎて普通引く所なんだろうけどスゲー安心する。何でだろう」

ちなみに暦は多少一夏に同情しつつも内心フィーバーである。

(猫耳羽川の猫じゃらしとか最高すぎるっ!)

猫じゃらしを猫の手でてしてし殴る一夏。

「うーん。一夏君が吸血鬼ってわかってても、千石ちゃんの言ってる事わかるなぁ」

「何がだ?」

「こういう姿見てたら、やっぱり愛玩動物扱いになっちゃうのかなって」

「僕は、違うけどな」

「そうなの?」

「知ってるから。一夏君は僕より強いって。確実に」

暦が机の引き出しを開けて中に入っていたキューブの表面を撫でる。

「例え僕が完全に吸血鬼化しても一夏君には勝てない。
一夏君が人間のままだったとしても勝てる気がしない。
絶対に。天地がひっくり返っても」

「ふーん……」

「みゃー♪」

翼が一夏の顎をこしょこしょとくすぐる。

「ふみゅぅん……♪」

ふにゃりとだらしなく笑い、尻尾をくねくねと動かす一夏。

「羽川。後で写真撮っていい?」

「んー………阿良々木君ならいいよ」

「っしゃぁっ!」

翼が一夏の耳に触れた。

「ふにゃぁ~ん……♪」

「一夏君耳弱いの?」

「にゃぉーん……」

力の抜けたような声だ。

「リムちゃんならどこででも啼かせられるはずだけど…今日居ないもんなぁ」

「リムちゃん?」

「一夏君の……なんだろう…恋人? 愛人?」

「えぇ…何それ」

「一夏君を慕ってる子だよ。六歳くらいなんだけど、キスまでしたらしい」

「それって事案なんじゃ…」

「両親が公認してて尚且つ箒ちゃんと束博士が面白がって背中押してるらしい。
しかも日本国籍じゃないだってさ」

「へ、へー……」

翼が一夏を撫でる手を止める。

「ふにゅぅん?」

こてん、と首を傾げる一夏。

長い髪がさらりと肩から落ちる。

「一夏君を好きって………ペット的な?」

「それが無いとは言ってあげられない」

「そこは情けでもいいから言ってあげようよ…」

翼が一夏の頬をむにむにする。

「にゃぅにゃぅにゃぅ……みゃふぅ…」

目を細める姿は、本当に人型の猫そのものだ。

「わ……頬っぺた凄いね…」

みょぃ~んと伸びた頬っぺたはモチモチすべすべだ。

「吸血鬼だしな。春休み僕の腹筋がバキバキだったのと同じだよ」

翼が一夏の唇を少し引っ張る。

白い歯の中に一際長い物が二本。

「みゃー?」

「牙って触っちゃだめだっけ?」

「間違って刺さったら目も当てられないぞ」

「そっか…」

翼が新たに取り出したマタタビボールを一夏のおでこ辺りで振る。

「なぁーぉ………」

その一鳴きの後、一夏の体を黒い渦が包んだ。

渦が晴れた所に居たのは正真正銘の猫だった。

「うそ…」

さすがに驚いた翼。

一夏は完全獣化し緩んだロープを抜け、翼が持っていたマタタビボールに飛び付いた。

「「あ」」

マタタビボールを取られ、あっけに取られる。

「みゃぉ~ん♪」

マタタビボールを転がしながら嬉しそうな声を出す。

「んー。ま、動画は十分撮ったし大丈夫かな」

翼がスマホを取り、タップして撮影を終了する。

「羽川。一夏君の動画僕も欲しいんだけど」

「いいよ」

翼が動画を暦に送る。

受け取った暦はそれを即座に保存し、ロックをかけた。

(計画通り…)













『普通の』カメラでは一夏が写らないという事に翼が気づいたのはその晩動画を確認してからだった。

なお、その時には暦は既に件の動画を様々な記録媒体にコピーして隠していた。

要は、単に羽川が猫じゃらしで遊んでいるだけの動画である。

「ひゃっほぅ! 猫耳羽川の動画ゲットだぜぇっ!」

この一件、最も得をしたのは誰なのか。

それは語るまでもないだろう。
 
 

 
後書き
にゃーにゃーにゃー。 
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