英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
外伝~アルスター襲撃~ 中篇
~アルスター~
「撃て―――ッ!」
「散開しろ!」
猟兵達がジェダル達目掛けて銃撃するとジェダル達はそれぞれ散開して回避し
「行けっ!」
「「グルルル…………ッ!」」
ジェダル達が散開すると猟兵の一人が犬笛を吹いて軍用犬達に指示をし、指示をされた軍用犬達はジェダル達に向かった。
「リリカ、ユリーシャ!詠唱の短い魔術で犬の足を止めろ!フィアは矢で犬に指示を出した男達を牽制しろ!」
「はい!大地の槍よ―――岩槍撃!!」
「了解しました!光よ―――連続光弾!!」
「まっかせて~!いっくよ~―――二連制圧射撃!!」
「「グルッ!?」」
「なっ!?チィ…………ッ!?」
「く…………っ!?」
ジェダルは襲い掛かる軍用犬達に対してリリカとユリーシャに指示をし、指示をされたリリカは足元から岩の槍を発生させる魔術で、ユリーシャは片手から連続で光の魔力弾を放つ魔術で軍用犬達を攻撃して軍用犬達の足を止め、フィアは猟兵達目掛けて矢の雨を降り注がせて猟兵達にダメージを与えると共に牽制した。
「フルーレティ!」
そしてジェダルは足が止まった軍用犬目掛けて突撃しながらフルーレティに視線を向けないまま声をかけ
「ふふ、言われなくてもちゃんとこっちの犬に止めは刺して…………あげるよっ!!」
「ギャンッ!?」
声をかけられたフルーレティはジェダルの指示を聞くことなく、足が止まっているもう片方の軍用犬に詰め寄って鞭を軽く振るった。”闇夜の眷属”の中でも”最強”を誇る種族―――”魔神”であるフルーレティが振るう鞭は例え軽く振るってもその威力は岩をも易々と砕く威力である為、フルーレティが振るった鞭を受けた軍用犬は斜めに真っ二つに割られて消滅し
「邪魔だっ!」
「ガッ!?」
ジェダルは自身の紋様の戦意を高める事で通常の薙ぎ払いよりも威力がある薙ぎ払いを放つクラフト―――禍汲斬で一閃してフルーレティ同様軍用犬を一撃で倒した!
「つ、強い…………っ!」
「く…………っ!なら、これはどうだ!?」
ジェダル達の強さに猟兵が驚いている中、もう片方の猟兵はジェダルとフルーレティの足元にそれぞれ閃光炸裂弾を投擲し
「!」
ジェダルは足元に投擲された閃光炸裂弾の正体はわからなったが、幼い時より”戦場”で剣を振るい続けた戦いによる経験と直感で足元に投擲された謎の物体は受ければ不味いものと判断した為その場で閃光炸裂弾を投擲した猟兵目掛けて高く跳躍して閃光炸裂弾による閃光を回避し
「なっ!?い、いない…………っ!?どこにいった…………っ!?」
ジェダルに投擲された閃光炸裂弾が炸裂した後その場にジェダルがいない事に気づいた猟兵は戸惑っていた。
「―――なるほど。今のは爆発と共に閃光によって敵の目を眩ませる爆弾の類か。俺も知らなかった未知の爆弾を見せてくれたことには感謝している。ハアッ!!」
「しまっ――――――」
猟兵の正面に着地したジェダルが大剣そ振り下ろして猟兵を縦一文字に真っ二つに斬って殺害し
「何、今の見せかけだけの爆発は。爆発ってのはこういうものだよ――――――タキオンの爆発。」
「え――――――グ…………ギャアアアアアアアアッ――――――!?」
一方ジェダルと違って回避行動を一切取らず閃光炸裂弾による爆発と閃光を受けたフルーレティだったが、”魔神”であるフルーレティの強靭な肉体には相手を怯ませる事が目的で威力は普通の爆弾と比べると低い閃光炸裂弾による爆発では傷つかず、また閃光による目くらましも無意味だった為、フルーレティはつまらなさそうな表情をした後もう一人の猟兵を中心に魔力を凝縮させて大爆発を起こし、大爆発をその身に受けた猟兵は断末魔が大爆発による轟音に呑み込まれながら跡形もなく木端微塵になって絶命した!
「な、何だったんでしょう、この人達は…………グラセスタでは見かけない格好の上、武器も随分と珍しいものを使っていましたし…………」
「確か”銃”だっけ?グアラクーナ城砦の防衛用にアヴァロも作って試し撃ちしている所を見たこともあるけど…………さっきみたいに弾を連射するような銃なんて私も初めて見たよ…………」
「――――――少なくても”外道”の類である事は確実でしょう。周囲の状況も恐らくこの者達の仲間達による仕業でしょうね。」
戦闘が終了するとリリカとフィアは困惑の表情でジェダルが殺害した猟兵の死体を見つめ、ユリーシャは周囲を見回して町全体が火事になっている事に気づくと厳しい表情を浮かべた。
「それで?これからどうするの、ジェダル?多分…………というかここは絶対、”災怨”の類じゃないと私も思うけど?――――――それどころか、ここは”グラセスタですらない場所かもね。”」
「……………………可能ならば、まともに話ができる奴と接触して、ここはどこかを聞きたいところだが…………―――構えろ。また、来るぞ。」
興味ありげな表情を浮かべるフルーレティに訊ねられたジェダルはその場で少しの間考え込んだが新たな気配が自分達に近づいている事に気づくと警戒の表情を浮かべて大剣を再び構えてリリカ達に警告した。
「確か爆発はこっちの方だったわよね!?―――へ。」
するとそこにカイ達を安全な場所に送り届けた後フルーレティの魔術による爆発に気づいて状況を確かめる為にやってきたエステルはジェダル達を見つけると呆けた声を出し
「えっと…………武装している所を見ると、少なくてもアルスターの人達でもないし、ニーズヘッグの猟兵さん達でもない…………よね?天使さんまでいるし。」
「ああ…………恐らくそこにある猟兵の死体は彼らによるものだろう。」
「へ…………―――なっ!?貴方達って一体何者なの?天使族の人がいるから、多分あたし達の世界にとっての異世界―――”ディル=リフィーナ”と関係がある人達だとは思うんだけど…………」
ミントは困惑の表情でジェダル達を見回し、ミントの言葉に頷いたヨシュアは猟兵の死体に気づいた後真剣な表情でジェダル達を見つめ、ヨシュアの話を聞いて猟兵の死体に気づいて驚いたエステルは真剣な表情でジェダル達に問いかけ
「…………それはこちらのセリフだ。お前達こそ、一体何者だ。さっき殺した連中の仲間ではないようだが…………」
「あの…………そちらの栗色の髪の貴女、私達の事を”あたし達の世界にとっての異世界―――ディル=リフィーナ”と関係がある人達”って言いましたよね?もしかしてここって、グラセスタどころか”ディル=リフィーナ”でもない”異世界”なんですか…………!?」
エステルの問いかけに対してジェダルは静かな表情で問い返し、ある事に気づいたリリカはジェダルの傍に移動してエステル達に問いかけた。
「ふえ?パズモさんやミルモさんみたいな妖精さん…………?」
「いや…………所々人形のような関節が見える所からして、どちらかというとリューンさん達―――”魔導攻殻”に近い感じに見えるけど…………」
「うーん…………そこの妖精か人形?の人の言った事から察すると貴方達は多分、”ディル=リフィーナ”から貴方達にとっての”異世界”―――ゼムリア大陸に何らかの方法で異世界移動したんだけど思うんだけど…………悪いけど、今は町の人達を護る為に忙しいからここでのんびりと色々と話しているような余裕はないのよね…………」
リリカに気づいたミントは首を傾げ、ミントの推測を否定したヨシュアは考え込み、エステルは疲れた表情で答えかけたその時
「―――ここにいたのね、エステル!」
「パズモ?どうしたの?」
パズモが空から降りてきてエステル達に声をかけ、声をかけられたエステルは不思議そうな表情で訊ねた。
「あの”ニーズヘッグ”って猟兵達、どこに隠していたかは知らないけど、”機甲兵”まで投入して避難場所の結界を破壊しようとしているのよ!」
「あ、あんですって~~~~っ!?」
「ど、どうして猟兵の人達が貴族連合軍にとって”切り札”だった”機甲兵”まで持っているの…………!?」
「内戦での戦いに敗れて放置された機体を回収して修理したか、内戦による混乱に生じて貴族連合軍から盗んだか、最悪の場合はエレボニア帝国政府から融通されたかと色々と可能性は考えられるけど…………どっちの避難場所が攻撃されているんだい?」
パズモの報告を聞いたエステルは厳しい表情で声を上げ、不安そうな表情で声を上げたミントの推測に真剣な表情で答えたヨシュアはパズモに状況を訊ね
「どちらも攻められているわ!教会の方はフェミリンス達がいるから、直に制圧されるでしょうけど、リザイラが展開している結界の方はシュリとサリアが避難してきた民間人の救護に回っている影響で、サリアが呼んだシュヴェルトライテと合流したマリーニャ達が加勢しているとはいえ、機甲兵は一体どころか七体で攻めてきている上、場所が町中だからシュヴェルトライテも”本気”を出せないからこっちの攻撃力が足りないのよ…………!」
訊ねられたパズモは真剣な表情で答えた。
「あの甲冑を纏った天使に攻撃させないように集中攻撃しろっ!!」
「この化物が…………っ!これ以上、仲間は殺させないぞ!!」
「他の天使共も地上の異種族共の援護をさせないようにしろ!」
「チッ…………場所が町中でなければ、あんな鉄屑如き纏めて一瞬で滅せられるものを…………」
「ええい、鬱陶しい!鎌を思いっきり振る隙があれば、あんな鉄屑なんて、メティの鎌で一刀両断してやれるのに…………!」
「むー…………!私も詠唱する時間があれば、もっと凄い風の魔術で吹き飛ばせるのに…………!」
「最初にシュヴェルトライテが一瞬で機甲兵を1体破壊した事で私達の力を相当警戒したようね…………!」
それぞれ大型の銃を持つ機甲兵―――”シュピーゲル”と”ドラッケン”はサリアによって召喚されたシュヴェルトライテによって既に自分達の仲間が操縦する”ドラッケン”が破壊された事でシュヴェルトライテの戦闘能力を警戒している為、シュヴェルトライテに近づかせないように絶え間ない弾丸の嵐で牽制し、シュヴェルトライテは場所が町中である為自身が”本気”を出せばアルスターに大きな被害をもたらせる事を理解していた為”本気”が出せず決め手がない事に舌打ちをしながら防御や回避に集中し、同じく銃を持つドラッケン2体に怒涛の銃撃を放たれたメティサーナとミルモ、ニルも防御や回避行動に集中していた。
「幾ら多少材質のいい武器を使っていようと、生身では機甲兵には敵わないんだからさっさと諦めて死ねっ!」
「ハハハハハッ、纏めてミンチにしてやるっ!」
「あーもう…………!攻撃は一応通るから、倒せないって訳じゃないんだけど…………!」
(装甲に覆われている事もそうだが魔法攻撃にも耐性がある上、あの図体だから相当しぶといな…………!)
「ぴえええ…………っ!?早く来てください、エステルさん…………っ!」
両腕に棍棒を装備した”ドラッケン”と斧槍を装備した”ヘクトル”による攻撃を地上で戦っているマリーニャとサエラブ、テトリは回避しながら反撃の隙を狙っていた。
「死ねっ!」
「遅い―――ハイロウスピン!!」
「うおっ!?」
一方教会を攻めてきたヘクトルの重い一撃を回避したフェミリンスは神槍から放った回転する衝撃波でヘクトルを怯ませ
「ぽーん…………ぽーん…………二つ回廊の轟雷…………」
「ぐぎゃあああああああっ!?」
「うあああああああっ!?」
教会の屋根で魔術の詠唱を終えたナベリウスが凄まじい電撃の爆発を起こす最上位魔術を発動させて周りにいるドラッケンも巻き込んで滅した。
「ありえねえ…………!”機甲兵”の中で”ゴライアス”を除けば防御力も最も高い”ヘクトル”相手に生身で渡り合うとか何なんだよ、あの女は!?」
「ふふっ、そもそもフェミリンスさんはただの人じゃありませんけどね。」
シュピーゲルを操縦している猟兵が仲間の惨状に信じられない表情で声を上げたその時、壁抜け等ができる”霊体”の特性を生かして機甲兵の装甲をすり抜けたリタが猟兵の正面に現れ
「な――――――」
「えいっ!」
「ガフッ!?化物………共…………め…………」
猟兵の正面に現れたリタは聖槍で猟兵の喉元を貫き、喉元を貫かれた猟兵は忌々しげな表情を浮かべて操縦席に上半身を倒して絶命した。
「さてと………マリーニャちゃん達の方も手伝う為に、こっちは手早く済ませないと…………!」
そしてリタは教会を攻めている他の機甲兵を無効化するためにその場からすり抜けていった。
「エステル、ミント!」
「わかっている!今からシュリさん達の方に行ってカファルーとクーちゃんを呼んで対抗させるわ!」
「ミントも竜になって、機甲兵と戦うよ…………!」
パズモの報告を聞いたヨシュアに呼びかけられたエステルは頷き、ミントは真剣な表情で答え
「そういう訳だから、貴方達は今は自分達の身を護る事を最優先にして!猟兵を殺せる実力はあるんだから、少なくても機甲兵が現れなければ、猟兵達に対しては貴方達だけで十分対処できるわ!」
「ただし機甲兵―――一軒家のような大きさの人形型の甲冑と遭遇した場合は逃げる事に徹してください!」
「この町での戦いが終わったら、貴方達が知りたい詳しい事情とかも説明するから、今はどこかに隠れて自分達の身を護る事に専念してね!」
ジェダル達に助言と忠告をした後その場からパズモと共に去っていった。
「い、言うだけ言って行っちゃいましたね…………」
「彼女達の様子からして、恐らく彼女達は先程この身達が滅した外道共からこの町を護る為に戦っているようですが…………」
エステル達が去るとリリカは呆けた表情で呟き、ユリーシャは真剣な表情で考え込み
「えっと…………それでさっきの人達の忠告通り、どこかに隠れるの?」
フィアはジェダルに判断を委ねた。
「いや―――奴等に加勢する。」
「え…………意外ですね。ジェダルが”人助け”をするなんて…………」
「あぁ…………ようやく主も正義の心に目覚めたのですね…………!」
ジェダルが答えた意外な答えにジェダルの性格を最も把握しているリリカは目を丸くし、ユリーシャは感動していた。
「理由はわからないが、奴等は今の俺達の状況について知っていそうな口ぶりだったからな。加勢の”対価”として、俺達の今の状況を答えてもらう。」
「ア、アハハ……………………まあ、事情はよくわかんないけど、結果的にはこの町の人達を助ける事になるんだから、私は賛成だよ!」
「ふふ、まあ私が見た感じ、さっきの連中は相当なお人好しっぽいから、わざわざ”対価”を求めなくても教えてくれそうだけど…………ま、あんな雑魚相手に逃げ回るのも癪だし、その提案、いいと思うよ?」
ジェダルの答えに冷や汗をかいて苦笑していたフィアだったが気を取り直して答え、フルーレティは静かな笑みを浮かべていた。
「そうと決まれば、すぐに奴らを追うぞ!全員、遅れるな!」
そしてジェダルの号令を合図にジェダル達はエステル達の後を追い始めた――――――
後書き
今回の話でアルスターの話は終わるつもりだったのですが予想以上に長くなりそうだったので、ここでいったん切りました。次回でアルスターの話は終わり、エステル達がジェダル達に事情とかを説明する話になると思います
ページ上へ戻る