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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百十九話

六月十四日の七時頃。

夕食を食べていると、珍しい相手から電話がかかってきた。

『もしもし一夏君?』

「暦さん? どったの?」

『忍を知らないか?』

忍? 忍野忍?

いないの? え? キャットもう始まってんの?

「居なくなったの?」

『ああ。学習塾跡に居なかった』

そうか…じゃぁもう障り猫は解き放たれてる訳か。

「それで? なんで旧キスショットを探してるの?」

『っ…それは……』

「はいはい。暦さんの彼女さんが猫になったんでしょ?」

『なぜそれを!?』

「GWに貴方を忍野のところまで連れてったのはだーれだ?」

『………そうだったね』

「つーわけで? どうやって暦さんがあの猫を退治しようとしたかとか現状とかはある程度知ってる訳だけども。
それで俺にどうしてほしいのかにゃー?」

『忍を探すのを手伝って欲しい』

「いいよ。協力しよう。他でもない暦さんの頼みだからね」

『ありがとう』

一つ気になっていた事がある。

「ねえ、暦さん。俺に協力要請する前に誰かに要請した?」

『取り敢えず、知り合いには一通り』

「誰に要請したか全員挙げて」

『千石、神原、八九寺には協力してもらってる。育と戦場ヶ原は羽川から文化祭を任されたからって言ってた』

「OKOK」

八九寺とは会っているなら問題ない。

まぁ、迷い牛の件は以前ざっくりと聞いていた(どうやら直木ではなく追ってきた育さんと羽川翼と解決したらしい)から心配してなかったが。

「んー。じゃぁ何処を探しに行ったかも教えて欲しい。捜索範囲が被ると面倒だから」

まぁ建前だ。

『えっと……八九寺が昨日忍をミスド辺りで見かけたって言ってたからそこに行ってから、あとは学習塾跡から円を描くように』

「うん。わかった。もういいよ」

メティス・サイト、アクティブ。

情報体へアクセス。

<血>を遡る。

奏の情報体にアクセス。

そこから伸びる三本の情報の道。

俺と、トロピカレクスと、キスショットだ。

キスショットの情報へアクセス。

ここから伸びるのは二本。

暦さんと死屍累生死郎。

暦さんの情報体にアクセス。

そこから伸びるのは両親。

そしてもう一つ。

羽川翼だ。

羽川翼の情報体へアクセス。

位置情報取得。

この間二秒。

「暦さん」

『他に必要な情報はあるかい?』

「んー。特に無いけど、取り敢えずさ」

『うん』

「後ろ向いてみ?」

『ん?』

『にゃおん』

「じゃ、頑張ってね」

通話終了のアイコンをタップ。

「こー君がどうかしたの?」

「ん。また怪異に巻き込まれてたみたい。だけどもうすぐ解決すると思う」

「ふーん」















ちょっと面白そうな事を思い付いたので食後に家を飛び出した。

向かった先は暦さんと羽川翼がいるポイントだ。

「やぁ暦さん。お疲れ様」

羽川翼が倒れている近くの街灯に背中を預けた暦さんが、俺を恨めしそうに睨む。

「………………知ってたのか」

「暦さんが町中を廻ったって聞いたからね。俺も吸血鬼を影に封じてるからさ」

「そうかい」

しゃがんで、暦さんの首筋に手を当てる。

「あーあ。こんなに吸われちゃってまぁ」

触れた手から気を流し込む。

「どうして、羽川の居場所がわかったんだ?」

「ああ。俺千里眼持ってるから」

「マジで!?」

「マジマジ。だから<血>の繋がり探して暦さんと忍野忍と羽川翼を探したら同一座標に居るじゃないか」

「血?」

「その話は今度にしよう。建前を言うなら、GWに貴方の腕を治すのに俺の血を使ったって事で」

「本音がきになるなぁ」

「まだ暦さんは知らなくていいよ」

十分な量の気を渡したので手を離す。

「ほら、もう動けるでしょ? 彼女をおぶって帰りなよ」

暦さんの横尻を蹴ってたたせる。

「いってっ!?」

「おら、あくしろよ」

暦さんが羽川翼を背負う。

「一夏君。羽川にもさっきの頼めないか?」

「確かに忍野忍のエナジードレインの分を補充しとかないとね」

「いいよ」

いやまさか暦さんから羽川翼に触れていいという許しが出るとは。

「でもいいの? 彼女に他の男が触れて?」

「…………男?」

邪眼解放。

「吸血鬼としての格の違いと人類種としての格の違いとファイターとしての格の違いと剣士としての格の違い。
さぁ、何れを教えて欲しいか言え」

「ごめんなさひっ!?」

邪眼解放からの殺気をくらって暦さんが情けない声を出す。

「わかれば宜しい」

浮遊して、髪を掻き分け羽川翼の首筋に触れる。

羽川翼の情報体へアクセス。

サイオン情報体<障り猫>にアクセス。

「おおっとぉ!? 間違って力を込めすぎてしまった!
これはどうにかしてエネルギーを発散しなければ!」

「はぁ!?」

「背に腹は変えられねぇ! <障り猫>アクティベート!」

羽川翼の頭から猫耳が、パジャマの裾から尻尾が出てくる。

「一夏君!?」

「大丈夫大丈夫。エナジードレインは発動してないでしょ? 要するに黒髪猫耳委員長だぜ暦さんの大好物だやったね!」

「いや猫耳って!」

尚もうるさい暦さんの前に回り込む。

「うるさい。近所迷惑」

量子展開したスプレー缶を丸々一本ぶっかける。

「けほっ! けほっ!」

「注入したエネルギーが切れたら猫耳は消えるから。
まぁ、怪異って普通に生命エネルギーで使役すると燃費悪いし。
半日もすれば消えると思うよ。じゃぁねぇー」

空のスプレー缶を暦さんのポケットに捩じ込み、離脱する。

どんどん小さくなる暦さんと猫耳委員長に手を振りながら、帰路についた。

side out

















「ふぅ…」

暦は翼を自分のベッドに下ろし、疲れたような息をついた。

いつ翼が目覚め、障り猫として暴れだすか気が気でなかったのだ。

決して翼が重かったからではない。重かったからではない。

背を反らして伸びをすると、学ランのポケットに硬い感触を覚えた。

「さっきのスプレー…」

暦がスプレー缶を取りだす。

「ん?」

スプレー缶にはポップな文字でこう書いてあった。

<天災兎印のマタタビスプレー>

「マタタビ?」

暦の視線がベッドで眠る翼とスプレー缶の間で行ったり来たり。

(これ……不味いんじゃ……?)

暦が急いで翼から離れようとした時。

ガシッと。

暦の服を翼が掴んだ。

「あららぎくん………」

「え!? ちょっ…」

そのままベッドに引き摺り込まれた暦。

「にゃぉ……」

暦に抱きつき、体をこすりつけて甘える翼。

「あ、あのー、羽川さんっ!?」

が、しかし。猫はマタタビの誘惑には勝てないのだ。

暦が翼の柔らかーい体に耐える事数分。

ガチャリ、と部屋のドアが開いた。

「………………………へー」

じっとりした視線。

「私と戦場ヶ原さんに文化祭の準備を任せて暦と羽川さんはベッドでイチャイチャしてたんだ。へぇー…」

育がゆっくりと二人に近づく。

「ん? 猫……耳?」

育が翼の異変に気付く。

「暦が言ってた人助けって、これ?」

「ま、まぁな。それは解決したんだが一夏君に悪戯されて…」

「ふーん………」

育がバッグの中からスマホを取り出す。

が、それは暦が見覚えの無いものだった。

「これね、この間一夏君にもらったの。ISの技術を応用して吸血鬼も写るカメラが入ってるんだって」

「ま、待て。それでどうする気だ?」

「これなら羽川さんの猫耳も写るとおもうんだー」

育が二人をフレームに収めてパシャリ。

「んっふっふっふー。羽川さんの猫耳を暦だけに独占させたりはしないわよ」

育が翼の猫耳に触れようと一歩踏み出したとき、カツン、と何かが育の爪先に触れた。

それを手に取り、書いてある文字を読んだ後。

「暦……………サイテー」

「待て! 違う違う! スプレーを僕に吹っ掛けた所までで一夏君の悪戯だから!
天災兎印って書いてあるだろ!」

「本当に?」

「本当本当!」

育がラインで確認を取ると、次のように帰って来た。

<あ、やっぱりそうなった? 取り敢えず半日くらい猫耳はえてるから楽しんだら?>

「うん。取り敢えず信じとく」

育がベッドに腰掛け、翼の猫耳に触れる。

「ふにふに…もふもふ……」

「育? 目が怖いぞ?」

「なにこの可愛いいきもの………」

「おーい。育さん?」

「暦、ちょっとうるさい」

「アッハイ」

その後、ちょっと目がイッちゃった育によって、翼は弄ばれる事になるのだった。
 
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