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レーヴァティン

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第百八話 善行がもたらした果報その十

「そうなったぜよ」
「だからでござるな」
「しっかりとぜよ」
「身内で飲む時以外は」
 この時の身内とはこの十三人のことだ。
「飲んでも乱れないことでござる」
「それが必要じゃのう」
「まさにでござる」
「だからあの城での日々の宴は」
 当季は和歌山城の方を見た、天主閣どころか城自体も次第に小さくなってきている。
「中々苦労したぜよ」
「人によっては」
「やっぱり酒はあれぜよ」
 当季はあらためて言った。
「痛飲してじゃ」
「そうしてでござるな」
「我を忘れる位飲むぜよ」
「それが当季殿の飲み方でござるな」
「そうぜよ」
「あたしもそうだよ」
「わいはそこまでいかんな」
 桜子と耕平も言ってきた。
「流石に」
「それで朝は二日酔いだよ」
「二日酔いは風呂ですっきりするぜよ」
 当季はそこから先のことも話した。
「だからぜよ」
「痛飲こそがですか」
「最高ぜよ」
「俺も酒は好きだが」
 英雄は馬上から当季に言った、彼も他の仲間達と同じく馬に乗っている。見れば馬の乗りこなしはかなり上手い。
「酔っても崩れないな」
「あんたもそうじゃのう」
「起きた世界でもな」
「崩れんとじゃな」
「酔い潰れたこともない」
 この経験もないというのだ。
「これといってな、ただ二日酔いはある」
「そっちはいつもじゃな」
「だから朝はな」
 当季と同じくだった、このことは。
「風呂が好きだ」
「それで酒を抜くぜよ」
「身体を清めてな」
 それと共にというのだ。
「そうするのが好きだ」
「そうじゃのう」
「しかし表で飲んでもな」
 身内同士で飲まずともというのだ。
「俺は苦にならない」
「それはまっこと人それぞれじゃのう」
「酔ってもな」
 そうなってもというのだ。
「俺はだ」
「乱れんし」
「二日酔いにはなってもな」
「そうした人は苦労せんか」
「そうだな、では大坂に戻ればな」
 英雄はここでこれからのことを話した。
「その時はな」
「ああ、また政じゃな」
「それを行ってだ」
 そうしてというのだ。
「それからだ」
「都じゃのう」
「そうなる、摂津からと伊勢からとだ」
 二つの道を使ってというのだ。
「そうしてだ」
「そのうえでじゃな」
「都を攻めてな」
 そこを掌握している大名達をというのだ。
「そしてだ」
「都を手に入れるんじゃな」
「そして近江もな」
 この国もというのだ。 
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