ある晴れた日に
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422部分:夏のそよ風吹く上をその五
夏のそよ風吹く上をその五
「食いはするしカウンターでベイスターズの試合聞いていてもな」
「それはしないよな」
「そりゃやっぱり仕事中はね」
明日夢は皆の言葉に答えながらここで黒ビールを一気にグイ、とやるのだった。
「飲んだら仕事にならないじゃない」
「そういえば御前仕事終わってからいつも俺達と合流するよな」
「服はそのままでも」
「そういうこと。お仕事中はあくまで禁酒」
立ち上がって自分で黒ビールを入れながら皆に言うのだった。
「何があってもね」
「偉いよな、その辺りはな」
「ちゃんと線引いていて」
「そうじゃないとカラオケ屋なんかできないわよ」
「こんな食堂だってな。ほら」
皆のその冷奴をわざわざ持って来た佐々だった。
「食え。どんどんな」
「あっ、悪いわね」
「毎度あり」
皆上機嫌でその冷奴を受け取る。豆腐の上に葱と鰹節をかけそこに醤油で味付けしている。実によく見られる外見の冷奴である。
「じゃあこれ食べてまた」
「ビールをね」
「俺も仕事終わったら飲むからな」
佐々は厨房に戻ってまた言うのだった。
「それもたっぷりとな」
「じゃあ三リットル位ね」
「それだけだよな」
「まあそれ位だな」
皆の言葉に少し考えたうえで答えた。
「飲ませてもらうな」
「お互いよく飲むわよねえ」
「全く」
皆その冷奴を食べてビールを飲みながら苦笑いになるのだった。苦笑いになった理由はビールが苦いからではない。別の理由からだ。
「まあ飲めるのは健康な証拠だしね」
「それに酒は百薬の長だよ」
かなり手前勝手な言葉も口に出していく。
「だからどんどん飲まないとな」
「飲んで明るく楽しく」
言いながらまた飲んでいくのだった。
「それにしてもこの黒ビールって美味いよな」
「そうよね」
黒ビールの味自体もかなり楽しんでいるのだった。その独特の味もだ。
「この味。かなりね」
「普通のビールとはまた違ってね」
「コクがあるだろ」
佐々はまた厨房の中から皆に尋ねたのだった。
「黒ビールはな」
「ええ。かなりね」
「このコクがまたいいんだよな」
言いながらまた飲んでいく一同だった。とにかく飲むことは止めないのだった。
「幾らでも飲めるって感じでな」
「心地よくな」
「俺も仕事終わってから楽しみにしてるんだよ」
実際に今にも飲みそうな佐々である。それを何とか理性で止めているといった感じである。
「一気にごくごく飲むのをな」
「まあ今はそれを楽しみにしておいてね」
明日夢は言いながらまた一杯空けてしまった。
「楽しみにしてると後がさらにいいものになるから」
「そうだな。ところでだ」
ここで言ったのは正道だった。彼もいるのだった。
「音楽はいるか」
「えっ、音楽か」
「そういえば」
皆彼の言葉であることに気付いたのだった。
「今お店の中何もかかってないし」
「静かだよな」
「ああ」
「そんじゃまあ音無よ」
ここでまた春華は彼をこの仇名で呼ぶ。
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