おぢばにおかえり
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第五十二話 おせちひのきしんその三
「全く、何でお正月早々阿波野君なのよ」
「だってね」
「三年になってからのちっちってね」
「あの後輩君がいつも一緒にいるし」
「デートだって何度もしてるでしょ」
「デート?してないわよ」
そんなことはしていません、それも全く。
「私は」
「いや、してるじゃない」
「一緒に神殿やお墓地に行ってるし」
「神戸でも会ったんでしょ」
「年末もそっちの大教会で会ったんでしょ」
「確かに一緒に行ってるけれど案内よ」
私はそこはちゃんと断りました。
「だからね」
「別になの」
「デートじゃないっていうの」
「あくまでそう言うのね」
「あくまでも何もその通りだから」
嘘は言っていません、親神様教祖様祖霊様に誓って。
「ただ案内させてもらっただけよ」
「じゃあ手をつないだりとかも?」
「まだ一度もないの」
「手をつなぐって恋人同士でもないのに」
冗談じゃないです。
「そんなことする筈ないじゃない」
「年末も一緒にいたのに」
「それでもなのね」
「それでもも何もよ」
私にとってはです。
「本当に何もないから」
「やれやれね」
「本当にちっちってそうしたところ駄目でね」
「駄目も駄目でね」
「駄目過ぎるわ」
「何が駄目過ぎるかわからないけれど」
本当に私にはさっぱりです。
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