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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第三幕その三

「それでこちらの歌舞伎もあるよ」
「へえ、歌舞伎にもなってるんだ」
「そちらのお菊さんのお話も」
「そうだったんだ」
「番町じゃなくて播州」
「そっちもあるんだ」
「そうなんだ、ただ実際にあのお話が姫路城であったかは」
 このことはといいますと。
「よくわかっていないんだ」
「というかあのお話本当のお話?」
「お菊さんのお話って」
「本当にあったの?」
「それで幽霊になってお皿を数えるの?」
「どうだろうね、何処かのお話が全国に広まって」
 そうしてというのです。
「江戸や姫路に定着したのかも知れないね」
「そうなんだ」
「じゃあ姫路であったのが江戸に伝わったとか」
「その逆もあるの?」
「ひょっとして」
「そうかもね、こちらのお話は少なくとも二つあるから」
 東京と姫路にというのです。
「しかもヒロインの名前は同じだから」
「お菊さんね」
「絶対にあの人なのね」
「幽霊になる人は」
「そうだよ、それで姫時にもあるということはね」
 そのお菊さんのお話がです。
「覚えておいてね」
「うん、わかったよ」
「じゃあそうしたことも頭に入れて」
「そうしてね」
「今度姫路城に行くのね」
「そうするのね」
「そうだよ、そして妖怪はね」
 今回のお話の主題はです。
「天守閣にいるとされているんだ」
「あの奇麗な天守閣ね」
「白くて大きな」
「あの物凄く奇麗な場所にいるのね」
「その妖怪は」
「一番上に一年に一度出ると言われているよ」
 姫路城のです。
「そして城主の人に一年に一度だけ会うそうだよ」
「今は城主さんいないけれど」
「そうしたお話なのね」
「それで次の一年お城がどうなるか伝えるっていうんだ」
 そう言われているというのです。
「そうね、正体は狐とも日本の皇室の方の縁者だとも言われているよ」
「あっ、狐なんだ」
「それか日本の皇室の縁者さんなんだ」
「そこは色々なのね」
「そうなんだね」
「うん、そこは本当にね」
 どうにもというのです。
「色々説があるんだ」
「それが姫路城の妖怪なんだね」
「何か凄く格が高そうね」
「お姫様だっていうし」
「そのこともあって」
「おさかべ姫、漢字で刑部と読むよ」
 その『おさかべ』というところはというのです。
「そうなるよ」
「ふうん、そうなんだ」
「漢字ではそう書くの」
「そこは日本独自の読み方ね」
「漢字についての」
「そうだよ、刑部は日本の役所の名前だよ」
 先生は皆にこのこともお話しました。
「役職でもあるしね。安土桃山時代の武将で大谷吉継という人がいたけれどね」
「あっ、石田三成さんのお友達だった」
「あの人と最後まで一緒に戦った」
「あの人だね」
「あの人のことだね」
「あの人もこの役職にあったんだ」
 刑部だったというのです。 
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