魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
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第59話 真希様大暴走 【犠牲者:青藍】
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎」
夜になんの騒ぎかなぁ? ワクワクするなぁ。
ども、青藍海斗だぜぃ‼︎
悲鳴が聞こえてお茶溢したんだけど……完全にこっちゃんの叫び声だよね? 虫でも出たかな。こっちゃん虫嫌いだし。
にしても声デカすぎなんですけど(笑) 一舎の看守寮は十階で、三舎は八階なのに聞こえるとかっ(笑)
「オラァアアアアアア、逃げるなっつてんだろうがクソ野郎‼︎ 待ちやがれ‼︎‼︎」
「なんでピアッサーを大量に持って追いかけてくるんですか! ピアスつける必要なんてありませんよね⁉︎」
「あ゛ぁ⁉︎ 折角俺様がてめえに選んできてやったんだ‼︎ 大人しくしろ‼︎」
「はっ、此処は青藍さんの部屋……‼︎」
あ、嫌な予感。
「青藍さんんんんんんんん‼︎‼︎」
「ギィィイイイヤァァァアアアアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
待って待って入ってきた‼︎ ってあれ、鍵閉めてあったよね?
「くそ、開けやがれ琴葉ぁ‼︎」
「開ける訳ないじゃないですか! って、青藍さん助けてください‼︎ 治療と勉強と言う名目で此処に来やがった白雪真希と言う偽ヤクザに襲われているんです‼︎」
「分かったから、ドア壊れる前に二人とも落ちつこっか? ね?」
間。
二人落ち着かせてから部屋に入れて、偉大なマギア幹部サマに挨拶してもらったよん!
「で、まっきーは如何してこっちゃんを追いかけてたのかなぁ?」
「“まっきー”は止めろや殴り殺すぞあ゛ぁん?」
「あははー怖い怖い。じゃあ真希様」
「チッ……此奴が逃げるからに決まってんだろうが」
「じゃあこっちゃんはなんで逃げてたのー?」
「ピアスの穴……開けたことないから……怖い、です……」
「可愛すぎ尊い(それじゃしょうがないね!)」
「逆……」
「え」
ま、そう言うことなら仕方ないかー!
「じゃあこっちゃん! ここで開ければ? 一緒に居てあげるからさー‼︎」
「はい⁉︎ あの、私の話聞いてました⁉︎ 怖いんですけ」
「おう、じゃあ早速やるか。三つ数えたら開けるぞー」
「へ、そんな急に言われても心の準備が」
「いーち」
———バチィン‼︎
「はぁああああああああ⁉︎ いったぁぁあああああああああああ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎ みっつ、みっつ数えたらって言うのは⁉︎⁉︎ はぁああああああああああああ⁉︎⁉︎」
「え、真希様普通は冷やして感覚を無くしてからやるんじゃ」
「琴葉には関係ねぇだろ。それに、ほら。綺麗に出来ただろ」
「あ、本当ですね……ありがとうございます」
「よしもう慣れたな。じゃあもう何回かやるか」
「はぁぁあああああああああああ⁉︎⁉︎ まだ開けるんですか⁉︎ せめて自分で、自分のタイミングで開けさせて下さい‼︎」
と言う事で。
「あ、開けますよ……こうで良いんですよね?」
「そだよー‼︎ こっちゃん、頑張れー‼︎」
「う、ぅ……これを握るだけ……握るだ、け……ぇぇえ……‼︎ あぁぁああ、怖くて出来ないです……やっぱり、お願い……しま、す……」
「さーん、 にー、いー」
———バチン‼︎
「い゛ッ‼︎」
「よーし、叫ばなくなったな。偉いぞー」
「なっ……私は子供じゃないんですけど⁉︎」
「“設定”だとな。ま、自分で穴を開けられない時点で、てめえはまだまだ餓鬼だよ」
と言う事で、何回も穴を開ける真希様。それに涙目で愚痴を言うこっちゃん。なにこれ家族。
「……ほら、終わりだ。あとは待つのめんどいから、魔法使うぞ」
「何するんですか」
「ピアスホールを完成させんの。本来一ヶ月くらい待つんだがな」
「“俺様の手にかかりゃ一秒掛からずに完成さしてやるよ”ですか。……はぁ、分かりましたよ」
「あ゛? もう終わってんぞ」
「早いわ‼︎」
家族じゃん。
「……って、真希さん。数、お揃いにしたかったんですか?」
あ、確かに開けた数と真希様がつけてるピアスの数一緒……
って、それ聞いちゃダメなやつじゃ。
「あ゛ぁ⁉︎ 何言ってんだ、よ‼︎」
「おっとー、いきなり殴りかかるなんて酷いじゃないですかぁ。照れ隠しですかぁ? 顔真っ赤ですよ。じゃあ青藍さん、お騒がせしましたー! おやすみなさい」
あー、こっちゃん天使。
前のこっちゃんと比べると、マフィアの時の記憶だけのこっちゃんは、どこか抜けてる感じがして滅茶苦茶可愛い。
こっちゃんと真希様の格闘に因り、若干散らかった部屋を片付ける。
そして、気付いてしまった———
……お茶溢したんだった、と。
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