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レーヴァティン

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第百六話 圧勝の後でその二

「動けば大丈夫だ、絶対にだ」
「勝てますね」
「この戦は」
「間違いなく」
「そうだ、勝って勝鬨をあげたいならだ」
 それならと言うのだった。
「俺の言う通りにだ」
「聞け」
「勝手なことはするな」
「そういうことですね」
「勝てば美味い酒も飲める」
 こうもだ、英雄は兵達に話した。
「それはわかるな」
「はい、勝ってですね」
「そしてですね」
「美味い酒を飲め」
「そういうことですね」
「酒も用意してある」
 それも多くだ。
「勝てば飲める、わかったな」
「わかりました」
「ではご命のままに」
「そのうえで飲ませてもらいます」
「勝ってから」
「そうしろ、ではいいな」
 こう話してだ、そしてだった。
 英雄は兵達を動かした、彼等を横一列に並べて鉄砲を放たせた。それで向かって来る敵に打撃を与えてだった。
 そうしてだ、その次は。
 長槍を出させた、それで鉄砲を受けつつも前に進んできた敵兵達を上から叩いてそうして寄せ付けない。そうしつつだった。
 弓矢も放ち再び鉄砲を放たせる、紅葉はその状況を見て言った。
「術もですね」
「そうだ、使う」
「そうして敵を寄せ付けず」
「そのうえでな」
「大砲もですね」
「放つ」
 そうすると言うのだった、彼女にも。
「その用意が出来次第な」
「そうですね、では」
「それを敵陣の真ん中に放ってだ」
 砲撃、それをというのだ。
「そしてだ」
「敵の布陣を乱して」
「そこにだ」
 その次はというのだ。
「騎馬隊だ」
「そうして攻めていきますね」
「この状況は順調だ」
 こちらの思惑通りだというのだ。
「それならばだ」
「このままですね」
「進めていく」
 その戦をというのだ。
「いいな」
「そしてわたくしも」
「傷付いた兵達をな」
「術で回復させていきますね」
「そうだ、そうしてだ」
 傷付いた兵達の手当もしつつというのだ。
「今は座って戦う」
「そして騎馬隊の突進の後は」
「立つ」
 それからはというのだ。
「いいな」
「それでは」
「このまま進めていく、しかし」
「しかしとは」
「思った以上にだ」
 敵の動きを見てだ、英雄はこうも言った。
「敵の動きがバラバラだな」
「興福寺の軍勢はともかくとしてのう」
 当季も彼等を見つつ言った、右目を瞑って着物の前から手を出して顎をさするいつものポーズをしての言葉だ。 
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