読者に見放され
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第二章
「保守派では」
「よく言われるがな」
「違いますか」
「わしはわしだ」
こう言うのだった。
「保守でも革新でもない」
「そうなんですか」
「あくまでわしはわしだ」
その眼鏡の顔で言うのだった。
「どっちでもない」
「だから保守もですか」
「ここで言う」
彼が思うに批判しているというのだ。
「徹底的にな」
「そうですか」
「アメリカに諂ってばかりだ」
嫌割が言う保守はだ。
「それが正しい保守か」
「違うんですか」
「アメリカと戦争をして多くの人が殺されたんだ」
だからだというのだ。
「そしてその前にも散々人種差別を受けてきた」
「排日移民法とかですね」
「そうだ、そうした歴史があるしだ」
嫌割はさらに言った。
「アメリカは今も世界を支配している」
「世界のリーダーとは言っていますね」
「経済もな、そして世界経済はな」
それはというと。
「格差社会になっている」
「日本みたいに」
「一部の人間だけが豊かになって他の人間は貧しい」
「資本主義社会の悪い特徴が出ていますか」
「そうなっている、そのアメリカを打倒することを目指さないで何が保守だ」
こう言うのだった。
「違うか」
「だから嫌割さんはアメリカについては批判されるのですね」
「今の日本の保守もだ!」
嫌割はこの時のインタヴューからすぐに所属していたある歴史学会を退会した、このことにファン達の中で眉を顰めさせる者達がいた。
「反米が強くなってきたな」
「しかも保守派批判はじめたぞ」
「歴史学会も退会したしな」
「おかしくないか?」
「ああ、おかしいな」
その主張や行動がというのだ。
「どうもな」
「一体何やってるんだ?」
「何考えてるんだ?」
「おかしなことになってるな」
「ある程度の違いはいいだろ」
「人それぞれの主張や考えがあるんだ」
「親米は親米で考えだろ」
その人のというのだ。
「それで何であそこまで攻撃するんだ」
「媚びてるとかな」
「あと資本主義批判もはじめたな」
「前は資本主義いいって言ってただろ」
「社会主義、共産主義を徹底批判してな」
「何でそうなるんだ?」
「反米からでも極端過ぎるだろ」
経済の話についても疑問が出ていた。
「最近おかしいな」
「テロ賛美したりするしな」
「ああ、過激派のアメリカへのテロな」
「あれで沢山の民間人死んだけれどな」
「民間人殺したら駄目だろ」
「それじゃあ自分が言うアメリカと一緒じゃないのか?」
多くの民間人を戦争で殺したと嫌割はアメリカを批判している、原爆投下にしてもそのうちの一環だと言っている。
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