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地味娘と思えば

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第一章

               地味娘と思えば
 双葉敦美はクラスで非常に地味な存在である。
 まず成績優秀である、通っている高校の学年でいつも五番に入っている。特に理系がいい。
 化学部に所属していていつも活動している、ただ体育はあまり得意でない。
 外見は黒く長いだけのボサボサの髪でやけに分厚い眼鏡をかけていて制服にアクセサリーはなくスカートも長い、かなり地味だ。
 休み時間は自分の席で本を読んでばかりでお昼は食堂に行って一人で食べてから図書館に入ってまた読書だ、午後の授業までには戻る。
 所謂地味でボッチだ、しかし。
 クラスの女子達は勉強を聞くと教えてくれて話をするとすぐに応えてくれて何かあるとそっと助けてくれる彼女を嫌いではなくだ、彼女達の何人か敦美と結構話す面々が話していた。
「双葉さんもあれでね」
「眼鏡外したら結構可愛いしね」
「しかも胸あるしね」
「背は一五八だけれど九十あるから」
「実は居乳だし」
「ちょっとファッション変えたらね」
「それで結構いけるのに」
 こう話すのだった。
「だからね」
「もっとお洒落したらいいのに」
「ああした地味系じゃなくてね」
「もっと派手にすれば」
「物凄い美人なのに」
 こう言うのだった、しかし。
 肝心の敦美は相変わらず地味なままだった、だが。
 クラスの女子達のところにだ、隣のクラスの剣道部員である古田幸太郎が来て聞いてきた。
「こっちのクラスの双葉敦美さんだけれど」
「双葉さんがどうしたの?」
「何かあったの?」
「いや、あの人ね」 
 背は一七五程で敦美より十五センチ位高い、髪の毛は黒く七三にしていて眼鏡がよく似合う理知的な顔立ちである。野球部のキャッチャーで成績は実は敦美と争う位だ。
「彼氏いるのかな」
「彼氏?いないわよ」
「というかクラスの男子誰も声かけないわよ」
「所謂陰キャラだから」
「私達にも自分からは声かけないし」
「話しかけたらちゃんと応えてくれるけれど」
 人付き合いがないというのだ。
「これといってね」
「人付き合いのある娘じゃないから」
「部活でも黙々と実験してるらしいし」
「あまりね」
「人付き合いはないわよ」
「そうした娘よ」
「だったら」
 それならとだ、また言う幸太郎だった。
「僕が彼氏になっていいかな」
「えっ、まさか」
 幸太郎が聞いている面々は実は敦美とは殆ど話をしない面子だ、それで彼の言葉に驚いたのである。
「双葉さんなの?」
「あの娘かなり地味だけれど」
「いいの?」
「あの娘で」
「彼氏がいないなら」
 それならというのだ。
「僕は」
「ううん、いいの?」
「あの娘で」
「いや、頭いいし性格も悪くないし」
「クラスのお仕事も真面目にしてるし」
「困ってたら助けてくれるけれど」
「だったら問題ないよ」
 性格もいいのならとだ、幸太郎は笑って答えた。 
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