ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第一幕その三
「どうしてもね」
「日本語は書く人の癖が出る」
「他の言語と比べても」
「その傾向が強いのね」
「うん、文体が独特で」
またこのことに言及する先生でした。
「それにね」
「それに?」
「それにっていうと」
「平仮名に片仮名があるね」
今度は文字のお話をするのでした。
「そして漢字も使うしアルファベットも入ったりするから」
「ああ、そうしたこともあるね」
「ローマ字なんて文字もあるしね」
「アルファベットを日本語読みにして片仮名で書くなんて常で」
「そのせいか難しいんだよね」
「それもかなりね」
「僕も日本語には苦労したよ」
学んで理解することにです。
「文体が違う、文字も複数あってね」
「こんな言語そうそうないよね」
「何でこうなったのっていう位不思議な言語だよ」
「アルファベットや漢字だけじゃないから」
「アラビア文字やキリル文字だけでもない」
「文字が複数あることも難しいわ」
「そうだね、だから書く人の特徴も出て」
そうしてというのです。
「泉鏡花もなんだ、特にね」
「特に?」
「特にっていうと」
「泉鏡花は明治から活動している人だから」
この時代からというのです。
「文章が昔の趣を残している感じなんだ」
「そうなの」
「泉鏡花って人の文章は」
「そんな感じなの」
「日本語の文章は文語と口語があってね」
先生のお話は続きます。
「文語は言うなら古典の言葉だよ」
「ああ、昔の日本の文章ね」
「江戸時代までの」
「枕草子とかそうよね」
「あと太平記も」
「それが文語で明治の二十年位から口語っていうね」
ここで口語のお話を出しました。
「今日本で使われているみたいな言語になったんだ」
「そうだったんだ」
「その頃から日本の文章は今みたいになったの」
「ライトノベルとかにあるみたいな」
「ああいう風になったの」
「そうだよ、二葉亭四迷っていう作家さんが最初に口語の作品を発表したけれど」
それがというのです。
「まだまだわかりにくくてね」
「最初の口語はそうだったの」
「つまりまだ文語に近かった」
「そうだったのね」
「そうだよ、それが徐々に変わってね」
そうしてというのです。
「泉鏡花の文章も口語だけれど」
「まだ文語の感じが残っていて」
「それでなのね」
「少し独特なのね」
「そうなんだ」
「泉鏡花自身の癖もあるから」
このこともあってというのです。
「結構ね」
「その癖に注意して読んでるんだ」
「先生にしても」
「そうして研究しているんだ」
「そうだよ、研究してね」
そうしてというのです。
「また論文を書くよ」
「先生本当にいつも論文書いてるね」
「何かしらの学問の」
「論文を書いたらすぐに次の論文書くし」
「それも様々な学問の」
「そうしてるね」
「うん、学問ならね」
それこそというのです。
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