色々言っても
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第二章
「お水や肥料をあげればね」
「いいっていうの」
「そう、ここは日光よりも」
「お水、肥料なの」
「そっちよ」
こう言う、すると美香も反論し両者はそのまま言い合った、議論と言うか言い合いは完全に平行線になっていた。それで一時間程二人は花壇をどうするか言い合ったが。
「はい、終わり!」
園芸部の部長、二人の同学年の若林朋絵が叫んできた。友紀と美香も部長であり統率力のある彼女が叫ぶと黙った。
その黙った二人と部員を前にしてだ、朋絵は強い声で言った。今度は言ったのだがまだ叫んでいる様にも見える。
「今年からチューリップはビニールハウスでやることなったから」
「この花壇でお水や肥料やらずに?」
「花壇を移さずに?」
「そう、ビニールハウスあるでしょ」
学校の中にとだ、朋絵は友紀と美香に答えた。
「あそこで球根から一つ一つ一つの鉢でね」
「育てていくのね」
「そうしていくの」
「そう、あそこで育てたら花壇で育てるよりいいでしょ」
「確かにね。肥料やお水もあげやすいし」
「お日様の光も当てられるし」
「しかも暖かい。お花を育てるのにあんないい場所ないから」
それでというのだ。
「今年からはビニールハウスでチューリップ育てていくわよ、皆異論はないわね」
「はい、そっちの方がいいですね」
「ここの花壇で肥料やお水やって育てるより」
「別の日差しのいい場所に花壇作ってそこで育てるよりも」
「そう、お水や肥料と日光にプラス暖かさよ」
この要素が加わるからだというのだ。
「これで行きましょう、二人もそれでいいわね」
「ええ、プラス暖かさなら」
「余計にいいわね」
友紀も美香も今回は賛成した、二人も別に私があってではなくそれぞれの主張が一番いいと思っての主張だったのでさらにいい要素が加わったのなら文句はなかった。しかも朋絵の提案は二人の意見の折衷でもあったので余計にだ。
だから二人も頷いた、これで全ては決まり。
チューリップはビニールハウスの中で育てられた、そうして全ての鉢からそれぞれの色の奇麗なチューリップ達の花が開いたのだった。
色々言っても 完
2019・5・27
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