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女神と星座の導きによりて

作者:草ナギ
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星18 出会い

はーい☆あれから七年経ちました!
 長いようで短く感じました。もう七年です。
 アテナの事は最初の頃はお嬢様と呼んでいたのですが、少し大きくなると私に名前で呼んでほしいと言ってきました。いきなり呼び捨てには出来なかったんで、光政公とアイオロスから許可を頂き、今ではアテナを”沙織”と呼び捨てにさせて頂いてます。
 それから、沙織も大きくなり、明るく穏やかにというか、我儘で傲慢っていう言葉とはかけ離れた性格になりました。え?どうしてかって?
 私なりの方法でお世話してましたからね。
 教育係に任命されましたし、優しい使用人の人とか周りにも助けてもらってましたけど!
 ふっ、教育の賜物というモノです。まぁ、私一人の手柄ではありませんが……。
 あ、でも時々位は我儘言いますよ。めちゃ可愛い我儘ですけど。一緒に本を読んでほしいとか、一緒にお昼寝してほしいとか。
 陰で一部の使用人さんから”お嬢様になんて事を”とか”お嬢様の教育係だからと生意気”とか言われてますが気にしてません。言いたい人には言わせておけばいいのです……と、思っているのか?
 放っておけないですよ!沙織にもろに聞こえるとこで話してるんですから、沙織の教育に悪いので、沙織にも気にしないようにしっかり言い聞かせてます。

 「私の事を色々言っている方々がいらっしゃいますが、気にしないでくださいな」

 と。けれど沙織は

 「でも、おかあさま……」

 そう、沙織は教育係である私の事を”おかあさま”と呼んでくれています。年的には姉ではないのです?なんて思いましたが、他の使用人も居るとはいえ基本的に育てたのは私ですからね。……はぁ、超可愛い、流石女神の化身。美幼女です。
 って、萌えてる場合じゃねーです。
 
 「沙織、私を気遣ってくださってありがとうございます。貴女の優しさはとても大事なモノ、その誰かを気遣う心を忘れてはいけませんよ」

 「はい、おかあさま」

 「良いですか?沙織。後、誰かを信じる事は良い事です。けれど、その人の言葉をなんでも鵜呑みにしてはいけません。ちゃんと、どうしてそう思って言葉にしたのか、理由はどうしてか。自分で考え、自分の目で確かめる事も大事です」

 「はい、おかあさま」

 ほらほら、言ってる傍から。

 「沙織、私の事を信じてくださるのはとても嬉しいです。でも、私が言った事も理由があるのですよ。ちゃんと理解はしていますか?」

 ちょっとビックリしましたっていう顔ですね。うむうむ、考えてる考えてる。
 
 「さっき言っていた通り、おかあさまはわたしに考えてほしいのですね?他の人の言葉をそのまま信じるのではなく、自分自身で確認をする事が大事であると」

 良く出来ました。沙織って、幼い割には知性的なんですよね。まぁ、メタい話が知恵の女神でもありますからね。アテナは。でも今は人間の沙織として頑張って考えた結果なのです。偉いわぁ。

 「その通りですよ、沙織。今の貴女には難しい話かと思いましたが……、そういう理解しようとする姿勢、偉いですよ」

 そういうと沙織は目を伏せて頬を赤らめながら照れていました。うーん、めっちゃ可愛い。
 そんなカワイ子ちゃんはなでなでの刑です。

 「きゃぁ、おかあさま。髪が乱れてしまいます」

 「その時は私が整えてあげましょうね」

 櫛の準備はばっちりです!
 
 「もう!おかあさまたら……」

 しょうがない人だと笑う沙織。そこでハタっと思い出したという顔になりました。
 
 「そういえば、おかあさま。おじいさまからお話は聞いていますか?なんでも近い内に、大勢の孤児の子達を引き取るというお話なんですが」

 おや、ついに来るのですね。

 「いいえ、まだ聞いていませんね。教えてくれてありがとう」

 これはアイオロスとも話をしなければ。

 「ねぇねぇ、おかあさま?」

 「なんでしょう?」

 「ロスさまと今日はお話できないの?」

 ロスさまとはアイオロスの事です。実は一時期”おとうさま”って呼ばれてたんですけど、アイオロスってば本人に直接言えなかったので私だけ部屋に居た時、

 ━━━━━アテナから”おとうさま”とは、恐れ多過ぎる……。真名、頼むから止めてもらえるように、伝えてもらえないか?

 って。いや、あの時は起き上がれなかったけど、少しなら喋れるようになってましたから自分で言えるでしょう?ってアイオロスに言ったら、

 ━━━━━もしも泣いてしまったら私はどうすればいい……?
 
 泣いたら泣いたで傍に居てあげて慰めてあげればいいのでは?と、今度はそう伝えると、
 
 ━━━━━真名、これでも私は真剣なんだが……。

 「……ええい、面倒!男なら直接言いなさい!今連れてきます!」

 そう言って、沙織を連れ出し、アイオロスの前まで連れてきて、あれよあれよと遠回りで説得し、愛称で呼ぶ事になったのでした。
 ちょっと泣きそうになっていた沙織に大慌てなアイオロスが見れて眼福眼福。←(ドS)
 まぁ、そんな事があったってだけなのですがね。

 「後ででも大丈夫でしたら、お話出来ますよ。します?」

 「はい!」

 あー、本当に可愛いわー。まったく、辰巳さん達は本当にどんな教育したんでしょうか?多分、ただ沙織の言った事を実行するだけで注意なんてしなかったんでしょう。沙織は本当にギリシャ神話通り、我儘放題だったんでしょうねぇ。
 でも、今は私が此処に居て、アイオロスが居る。その為、沙織に変化があるのでは?っと思う訳で。実際、女神として自覚してなくても聡明で、優しい心を持った可愛い美幼女になっているのです。変態に気を付けなければ……!

 「沙織、後でおやつに紅茶のシフォンケーキを食べませんか?生クリームたっぷりですよ?」

 「わぁ!食べたいです!えっと、おかあさまはご一緒ですか……?」

 上目遣いで聞いてきました。この幼女、自分の容姿わかってる!しかし、私は顔に出しません。平常心平常心。

 「沙織が良ければ一緒に食べましょうね」

 「はい!おかあさま!」

 うん、可愛い可愛い。あ、鼻血は出てませんよね?大丈夫大丈夫。
 ……もしも此処にデス君が居たらこう言うのでしょうね?

 「変態はお前だよ」

 って。
 ふふふっ、本当に言われたら、もちろん双魚宮裏ですけどね……。
 この時まさか遠くの異国で、銀髪をオールバックにした少年がくしゃみをした事を私は知りませんでした。
 

 □■□■□■□■□■□■


 「おかあさまー」

 「あら、沙織?」

 花園で花の世話をしていると背後から五つの気配を感じ、呼ばれたので振り向きました。
 すると沙織が四人の男の子……一人は女の子でしょうか?いえ、もしかして、あの子は……
 
 「おかあさま、今日からうちに来た子達ですよ!えっと……」

 名前を言おうとしたのでしょうね。中々出てこない様子なので一人の子が前へ出てきました。

 「はじめまして!おれの名前はじゃぶです。邪武と呼び捨ててください!」

 おお!ちゅう……いえ、ユニコーンの邪武ですか。え、なんですか。まさか、沙織に一目惚れでもしてこうなっているんですか?もう忠犬……らしさが出てますね。早っ。
 ちょっと感動して握手します。今度は黒髪を長髪にした男の子が出てきました。お、もしかして……

 「はじめまして、おれの名はしりゅうともうします。おれも紫龍と呼び捨てでかまいません」

 おお、やはりドラゴンの紫龍。この頃から礼儀正しい……。はい、握手です。ん?紫龍の後ろから女の子の様な子が出てきました。この様子からしてやっぱり

 「あの、えっと、ぼくの名前はしゅん、瞬と言います。今日からよろしくお願いします……」

 おずおずといった感じで挨拶してきました。うん、アンドロメダの瞬でしたね。わかりやすいです。瞬とも握手しようとしたら横から声がしました。

 「なーなー、菓子が食えるって言うから付いてきたんだぜ?早く食わせてくれよー。腹減った」

 「な!お前、失礼だぞ!」

 邪武が少年の言葉に注意します。おおう、この子はわかりやすいですね。でも……

 「こら、少年」
 
 「ん?おわっ!?」

 少年の脇に手で掴み高く上げます。まぁ、ただの”高い高い”ですね。

 「ほーら、高い高い!」

 「ちょ、ま、なんだよ!やめろよ!恥ずかしいだろ!」

 うん、確かに顔が赤くなって暴れ出します。でも、無視です。

 「この状態から失礼します。私は真名。このお屋敷でお世話になっている者です。そちらに居る沙織お嬢様の教育係をさせて頂いてます」

 そういうと暴れていた少年はピタッと止まり、他の少年三人も驚きに満ちた表情で沙織と私を見比べています。

 「え、でもさっき、”おかあさま”って……」

 そう瞬が呟くとすかさず発言させていただきます。

 「私が沙織お嬢様に言って、呼んでもらってるんですよ」

 「え……違っ……」

 沙織が正そうとしますが畳みかけます。

 「それはそうと少年よ」

 「な、なんだよ……」

 私は輝かんばかりの笑顔で言いました。

 「ご挨拶は?」

 「は?」

 「皆さん私に挨拶してくださいました。私も挨拶を返しましたよ?でも、貴方は?」

 「へ?」

 ちょっと混乱してます?

 「私は貴方とは初めて会いました。それになんて言うお名前です?」

 「あ」

 まぁ、つまり……

 「挨拶は人として基本です、大事なのですよ。挨拶するまでこのままですよ?」

 「うげっ」

 ふっふっふ、どうします?

 「せ、せいや!おれの名前は星矢ってーんだ!よろしく!これでいいだろ!」

 そう叫ぶと私はすぐさま星矢を下ろしました。

 「え」

 「良く出来ました」

 そう言って星矢に微笑み、頭を撫でました。

 「あ……」

 「ちゃんと出来るんじゃないですか。挨拶。皆さん、これからよろしくお願いしますね?」

 邪武、紫龍、瞬を見渡し、最後に星矢を見つめて改めて挨拶します。すると撫でていた手の下から

 「よ、よろしく……」

 小声でしたがしっかり聞こえましたよー。ふふっ、可愛いですねー。聖域に居た頃を思い出します。

 「さて、この辺で堅苦しいのは止めましょう。皆さんはお菓子目当てです?なら、丁度いいですね。クッキー焼いてるんですよ、今なら一枚づつ摘み食い出来ます。内緒ですよ?沙織、もしよかったら手伝って?」

 「あ、はい。おかあさま」
 沙織が駆け寄ってきます。ちょっと膨れてますが多分、焼きもちですかね?
 なので沙織に手を差し出し、繋ぎます。すると沙織は笑顔になって私に微笑んできました。可愛いですー……。
 と、いう訳で、これが主人公達との初めての出会いでした。
 さて、これからどうなる事やら。
 
 

 
後書き
私の方がこれからどうなる事やらだい……。 
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