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おぢばにおかえり

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第五十一話 お餅つきその二十一

「だから先輩にあんなことまた言ったら許さないし」
「絶対にですね」
「二度と言ったら駄目よ」
「先輩あの人凄く信頼されてるんですね」
「そうよ、どれだけよくしてもらったか」
 寮に入った時から一年間ずっとでした、長池先輩には感謝してもしきれない位です。あの人が同じ部屋で本当によかったです。
「凄くいい人なのに」
「そうですか、先輩にとってはいい人なんですね」
「そうよ」
「けれど僕には違いますよ」
 こう私に言ってきました。
「はっきりと申し上げますと」
「阿波野君には?」
「はい、僕あの人とお会いしたのはじめてですよ」
 だからというのです。
「いえ、前にもお会いしたでしょうか」
「そうだったかしら」
「とにかくです」
 こう私に言うのでした。
「僕そんなことされたら絶対に嫌ですし」
「神殿の階段の上からきついこと言われたり学校の門で待ち伏せされて聞こえる様に陰口言われたり」
「そんなことされたら先輩だって嫌ですよね」
「それはね」
 そう言われるとでした、確かに私もそんな目に遭ったら凄く嫌です。というか耐えられないと思います。
 それで阿波野君にもです、ついでした。
「私だってそうよ」
「そうでしょ、ですから」
「そう言うの」
「はい、僕あの人がそんなことしていたら許せないですし」
「だからああ言ったのね」
「それであの人好きじゃないです」
 少しむっとしたお顔になって私に言いました。 
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