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ある晴れた日に

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347部分:白銀の月その十二


白銀の月その十二

「それはね。違うのよ」
「違うって何処がだよ」
「どう見たってレスラーじゃないじゃねえか」
「なあ」
 また話す男組だった。
「話に聞く限りな」
「そう思うでしょ、あんた達も」
「うち等もなんだよ」
 五人組からも声が出て来た。
「何処がレスラーなのかね」
「さっぱりわからないのよね」
「しかもあれだろ?」
 春華はいぶかしむ顔で咲の異性の好みに対してまた語った。
「咲の趣味ってよ。他には王さんとか秋山監督だろ?」
「あとマリナーズの城島とかホークスの小久保さんよね」
 静華も同じくいぶかしむ顔になっていた。
「じゃあやっぱり」
「どう考えてもあれじゃない」
 奈々瀬も首を捻るばかりだった。
「慶彦さんとはね」
「っていうかやたらと男臭い人ばかりじゃねえかよ」
「ホークスらしいって言えばホークスらしいけれどよ」
 また男組の中から声があがる。
「それで何でその優男みたいな人がいいんだよ」
「それも結構一途みたいだけれどよ」
「だから。ブッチャーさんや王監督はアイドルなのよ」
 ブッチャーをアイドルと言うのだった。
「咲にとっては。わかる?」
「その人達をアイドルと呼ぶのは全然わかんねえよ」
「やっぱり御前センス悪いよ」
 男組もこの点を突っ込む。
「何だよ、それはよ」
「全員ごついか筋肉質のアスリートか男そのものの人なのによ」
「それでアイドルなのかよ」
「いや、待てよ」
 しかしここで佐々が言った。
「その慶彦さんってな」
「ああ」
「どうなんだ?」
「服の上からであまりわからないけれど身体は筋肉質だぜ」
「筋肉質なのかよ」
「それじゃあよ」
「しかも背もあるぜ」
 プラスアルファであった。
「顔立ちはともかくな」
「あれっ、じゃあそれってよ」
「柳本の趣味か?」
「筋肉質だからな。しかも背も高いってよ」
「だよなあ」
「それに性格もよ」
 咲はこれを言い加えてきた。
「っていうか性格よ。性格が漢じゃなかったらどうしようもないじゃない」
「性格ってブッチャーさんとかはな」
「有名だけれどな」
 これについてはもう皆知っていることだった。実際にブッチャーは少年院に行きそこにいる少年達を励ましたりジャイアント馬場と熱い友情を交えさせたりと相当な人格者でもあるのだ。その外見は厳しいが心は優しいのだ。これはアジャコングのような女性レスラーでも同じである。
「王さんはまさに武士だしな」
「あの人も人格者だしな」
「秋山監督もそうだったよな」
「確かな」
 皆かなり知っていた。プロレスのことも野球のことも。
「で、その慶彦さんもか」
「男らしい性格なのかよ」
「そうよ。きっぷはよくって豪快でね」
 こう皆に話す咲だった。
「その性格が一番いいのよ。人間性格じゃない」
「それはな。確かにな」
「その通りよ」
 皆咲の今の言葉には納得した顔で頷く。
「しかしまあ。何ていうかな」
「何でそんなに男臭いのが好きなんだか」
「そうなのよね、昔からなのよね」
「アイドルよりもスポーツ選手見るのよね」
 またしても五人組からも声があがった。
 
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