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迷宮の中での競争

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第三章

「スポーツマンシップを守って」
「そうしてなのね」
「活躍しておられるのです」
「そうした人なのね」
「はい、だからそちらでも敬愛されています」
 冒険者としての実績からだけでなくというのだ。
「見事な方です、ですが」
「あの人に勝たないといけないわね」
「必ず、では」
「ええ、行きましょう」
 デリーロはルイスに確かな声で言った、そしてだった。 
 レースがはじまった、冒険者達は一階で早速だった。
 出没するモンスター達やトラップそれに複雑な迷宮に苦しめられ前に進めなくなった。だがルイスとデリーロは。
 事前の研究と二人の星の者としての強さからモンスター達を何なく倒し迷宮もトラップも何処をどう進めばいいのかわかっていて。 
 順調に進めた、ルイスは二階に入ったところで一緒にいるデリーロに言った。
「やはりです」
「事前に研究してね」
「開催前に入って調べもしましたし」
 中を踏破もしてみせたのだ、この時は普通に市民用のアトラクションとして開放されていたので二人も入られたしルール違反でもなかったのだ。モンスターもトラップもこの時は出されていなくて安全だった。
「ですから」
「楽に進めてるわね」
「多くの冒険者はそこまでしていませんでしたね」
「そうね、それはね」
「ですから苦戦していますが」
「あたし達はね」
「この通りです」
 事前に、ピラミッドの中に入ってまで調べたからというのだ。
「楽に進めています」
「そうね、ただね」
「はい、あの人は」
 老トレジャーハンターはというと。
「その私達よりもです」
「先に進んでいるわね」
「流石です」
「あの人も事前に研究していたのかしら」
「プロですからね」
 このことを自認しているからとだ、ルイスはデリーロに答えた。
「ですから」
「それ位のことは」
「していたでしょう」
「ただ腕がいいだけではないのね」
「はい、ですが」
「あたし達もね」
 デリーロは強い光を放つ目で言った。
「ここは」
「負けていられないですね」
「そうね、ではね」
「追い掛けましょう」
「そして最後はね」
「私達が勝ちます」
「必ずね」
 二人で話してそしてだった。
 二階も進んでいった、ピラミッドの中は複雑だが四角すいの形の為に上に行く程狭くなりそれと共に進むのが楽になっていた。だがその間ルイスは医師としてだった。
 怪我をしている冒険者がいれば術や薬で怪我を回復させていた、彼はこのことについてこう言った。
「救護班の方がおられても」
「怪我人を見付けたらなのね」
「その傷を癒すことが務めです」
 医師のというのだ。
「ですから」
「そうしているのね」
「そうです、しかも今回は」
「敵同士で戦っていないわね」
「レースです、スポーツですので」
 例え命懸けでもというのだ。
「競争相手であって敵でないので」
「困っている人がいれば」
「医師として」
 その職業倫理からというのだ。
「お助けしています」
「そういうことね」
「左様です、では」
「先にね」
「行きましょう」
 競争相手でも傷付いている人を助けつつだ、ルイスはデリーロと共に進んでいた。これもまた医師の行いだった。 
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