子犬を探して
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第四章
「そうなんだ、ご主人心配しているんだ」
「そやからな」
陳は自分を見上げている犬に率直に話した。
「今から戻ろうか」
「そうしないと駄目だね」
「ここに入ったのは好奇心からか」
「うん、どんな場所か興味が出てね」
それでとだ、犬は陳に話した。
「ここに入ったんだ」
「それはわかるけれどな」
「それでもだね」
「ああ、飼い主さんや他の人達を悲しませ鱈あかん」
「心配させてだね」
「そやからな」
それでとだ、陳は犬にさらに話した。
「今から戻ろうな」
「そうするよ」
「素直やな」
「いや、僕だってご主人もお屋敷の人達を悲しませるの嫌だから」
犬は陳に真面目な声で答えた、まだ子犬だがその考えはしっかりしていた。
「だからね」
「僕等と一緒にか」
「うん、ここを出てね」
「家に帰ろうな」
「そうさせてもらうよ」
「しかしな」
今度は金が犬に話し掛けた、彼も犬を見下ろしている。身体の大きさの関係でどうしてもそうなっているのだ。
「自分ここまで一匹で来たか」
「そうだよ」
犬は金にも素直に答えた。
「モンスターや獣を倒しながらね」
「自分一匹でもか」
「うん、これまでダメージ受けてなかったよ」
「ここのモンスター結構強いけどな」
「そうだったんだ、全然弱かったよ」
「そうか、自分子犬やけどめっちゃ強いな」
金はこのことがわかった、犬の話と彼が実際にここまで一匹で来ていて先程も強いモンスターと互角以上に戦っていたのを見て。
「末恐ろしいわ」
「そうかな」
「自分は自覚してなくてもな」
そうだとだ、金は犬にしみじみとして言った。そしてだった。
二人は犬を連れて地下迷宮の出口に向かった、その間もモンスターや獣達が出て来たが二人はそこでも犬のかなりの強さを見た。子犬だが俊敏で攻撃も的確で恐ろしい強さだった。
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