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八条学園騒動記

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第五百十四話 真理の実行その二

「人を疑う」
「それも信じないといけない人をね」
「そうしたのだからな」
「そこも愚かよね」
「そうだった、しかしな」
「自分が絶対にそうならないとはね」
「言えるとすればな」
 そうした者はというのだ。
「冗談抜きでどちらかしかない」
「そうよね、恐ろしいまでに意志が強いか」
「桁外れの馬鹿だ」
「自分は絶対に大丈夫って根拠なく言える」
「ヤーゴの謀略も恐ろしいしな」
 その為舞台の作品で第一の悪人とさえ呼ばれている。
「それも跳ね返せる」
「根拠なく言ったら」
「俺はそこまでの馬鹿に出会ったことがない」
「私もよ。あれね」
 ナンシーはどうかという顔でこうも言った。
「昔テロが起こって権力に反対するならいいってね」
「テロを認めたのか」
「ええ、何人も死んだけれど」
「無関係な人がか」
「平気で言ったのよ」
「そいつは本当に馬鹿だな」 
 実際にとだ、洪童は今度は侮蔑する顔で述べた。
「権力に反対するなら何をしてもいいのか」
「しかもそのテロリスト中央政府や各国政府の転覆考えてたのよ」
「自分達が権力者になるつもりか」
「それでテロ起こしたのに」
「権力に反対するならか」
「それならいいって言ったのよ」
「その馬鹿はテロの犠牲者の遺族の人達の前に突き出せ」 
 洪童は侮蔑しきった顔で述べた。
「遺族の人達はどう思う」
「殺された人や遺族の人達のことも考えてないのよね」
「はっきりと言い切った」
 その様にというのだ。
「権力に反対するならテロで人を殺してもいいとな」
「殺人オッケーってね」
「そして殺された人や遺族の人達のこともな」
「何も思わないってね」
「そんな馬鹿はだ」
 今度は怒ってだ、洪童は述べた。
「まさにだ」
「容赦なく?」
「そうだ、遺族の人達に突き出せ」
 テロで殺された人達の、というのだ。
「それでどうなってもな」
「構わないわよね」
「馬鹿は馬鹿でも悪質だ」
「オセローで根拠なく言えた人と同じレベルでも」
「その場合の馬鹿は悪質かどうかわからないが」
 それでもといのだ。
「その馬鹿はな」
「悪質だっていうのね」
「お前もそう思うな」
「これうちのひいひいお祖父ちゃんが言ってたけれど」
 ナンシーのというのだ。
「父方のお祖父ちゃんのお父さんのお父さんね」
「凄い先に思えるな」
「その人がお話してくれたのよ」
「そんな馬鹿がいるとか」
「ひいひいお祖父ちゃん百歳になるけれど」
 それだけの年齢だが、というのだ。
「これまで会った中で一番の馬鹿だってね」
「そう言ってるか」
「ええ、最低最悪の馬鹿だったって」
「そう言われても仕方ないな」
「それでその人を雇っていたお店はね」
「どうなった」
「潰れたらしいわ、雇ってから三年で」
 そうなったというのだ。
「その時は繁盛していても」
「そこまでの馬鹿を雇うとな」
「お店も人を見る目がないわよね」
「そんなのだとな」
「変な店員を雇って」
「というかそいつ自体がだ」
 まさにというのだ。
「変な店員だ」
「そうよね」
「テロリストの正体がわからず」
 彼等が権力の奪取を考えているとだ。 
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